ギリシア・ローマ神話

ギリシア神話は、古代ギリシア人が伝えるゼウスを最高神とした神々と、ヘーラクレースなどの多数の英雄たちの物語である。紀元前9世紀頃から前4世紀頃に主に古代ギリシア語でまとめられた資料に基づく。紀元前3世紀頃から宗教としての神話から、娯楽的な文学作品に変質していく。前2世紀頃にローマ帝国の支配下に入り、キリスト教の広がりとともに、次第に古代ギリシア世界は消滅する。

ギリシア神話の舞台

しばしば「古代ギリシア」と一括りにするが、ギリシア世界は最後まで統一国家にはならなかった。紀元前8世紀頃から都市国家(ポリス)が成立し始め、結局、1,000以上の都市国家が群雄割拠する世界だった。都市国家は互いの利益を巡って絶えず戦争をしていたが、一方では、同じ言葉と文化を共有し、同じ神々を信じており、同じ「ヘッレーンの一族」であるという民族意識は強かった。そして、多くの都市国家が、定期的にオリュムピアなどで開催される競技会に参加していた。

ギリシア神話には数多くの「王」たちが登場するが、古代ギリシア世界の都市国家の多くは共和制を敷いており(スパルタは例外的に王政だったが)、平民が平等に暮らす世界だった。神話に「王」が登場するのは、ミケーネ文明(紀元前16~11世紀頃)の時代には王がいたからである。つまり、神話を語る古代ギリシア人たちにとっても、すでに神話の世界は遥か大昔の出来事だったのである。

古代ギリシアの地図

ギリシア神話の資料

ギリシア神話はキリスト教の「聖書」のような統一的な原典はなく、さまざまな作家たちによって語られる。最古の作品は前8世紀頃の詩人ホメーロスがこれまでの口承をまとめた叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』である。前7世紀頃の詩人ヘーシオドスが『テオゴニアー(神統記)』の中で、神話を体系的に整理した。その後、ピンダロスやアイスキュロス、アリストパネースなどの劇作家が登場し、喜劇や悲劇を創作していった。これに加えて、ヘーロドトスのような歴史家やパウサニアースなどの地理学者、プラトーンやアリストテレースなどの哲学者の著作もある。

ギリシア神話はその後、古代ローマの時代にも引き継がれ、ラテン語で語り継がれて行った。ウェルギリウスやオウィディウスなどの詩人が知られる。

ギリシア神話の主な神々

ギリシア神話の主な英雄

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