ティーターン

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Τιτάν 〔tītān〕(ティーターン)【古代ギリシア語】
複数形:Τιτᾶνες〔tītānes〕(ティーターネス)【古代ギリシア語】
容 姿巨人。
特 徴ゼウス以前にこの世界を支配した古い神々。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など

古い神々、地下に幽閉されて地震を起こす!?

ティーターン族はギリシア・ローマ神話に登場する古い神々の一族で、ゼウス率いるオリュムポスの神々がこの世界を支配する以前にこの世界を統治していた。元々は天空神ウーラノスと大地女神ガイアの12柱の子供たちで、ゼウスが率いる新しい神々との戦いに敗れて、その多くはタルタロス(奈落)へと投げ込まれた。古代ギリシアでは、地震が起こるのは、彼らが地下深くで暴れているからだと信じられた。元々はゼウス信仰が確立される前に、バルカン半島で信じられていた古い自然神だと考えられている。

新しい神々、古い神々を打ち倒して新しい時代を切り開く!?

ヘーシオドスの『神統記(テオゴニアー)』などでは、最初にこの世界を支配したのは天空神ウーラノスだったと説明されている。ウーラノスとガイアは交わり、12柱のティーターン族をもうけた。オーケアノスコイオスクレイオスヒュペリーオーンイーアペトスクロノスの6人の男神とテイアーレアーテミスポイベームネーモシュネーテーテュースの6人の女神である。

その後、ウーラノスとガイアは再び交わり、キュクロープス族(一眼)とヘカトンケイル族(百腕)をもうけた。しかし、ウーラノスは彼らの異様な姿とその強大さに驚いて、彼らを大地(ガイア)の奥底に押し戻してしまった。ガイアはこの仕打ちに苦しみ、ティーターン族を呼び集めると、父親を打ち倒すように命じた。兄弟姉妹たちが戸惑う中、末子のクロノスだけが名乗りを上げた。そして、ウーラノスが再び交わろうとガイアに覆いかぶさったとき、飛び出してきて、鎌で父親の陰部を切り落とした。こうして、ウーラノスは倒され、クロノスとその兄弟たちが世界の覇権を握ることになった。

しかし、ウーラノスが息子クロノスによって倒されたように、クロノスもまた、息子によって打ち倒されることが予言される。そこで、クロノスはレアーを妻に娶った後、子供が生まれるたびに、次々と飲み込み、世界の覇権が奪われないようにした。しかし、ゼウスが生まれたとき、母親のレアーはこっそりとゼウスを助け、代わりに岩をおむつで包んでクロノスに飲み込ませた。こうして、ゼウスは生き延びて成長し、クロノス率いるティーターン族との戦いを開始する。クロノス勢はオトリュス山に陣地を構え、ゼウス勢はオリュムポス山に陣地を構えた。このクロノス陣営とゼウス陣営の戦いはティーターノマキアーと呼ばれていて、決着がつかないまま10年間続くことになる。ゼウスはガイアの助言に従って、大昔より幽閉されたままになっていたキュクロープス族とヘカトンケイル族を救出し、味方につけた。キュクロープス族はオリュムポス族にさまざまな武器を与え、ヘカトンケイル族は100本の腕で岩を投げ続けてオリュムポスの神々を支援した。こうして、戦況は変わり、見事、ゼウスはティーターン族を倒し、この戦争に終止符を打つことができた。

ティーターン族とその末裔たち!?

ティーターノマキアーの後、ティーターン族の多くはタルタロスに幽閉されたが、オーケアノスのように積極的に戦争に参加しなかったものやゼウスの側についたものたちもいて、一部のティーターン族はその後もゼウスの統治下で活躍している。12柱の子供たちの子孫で、たとえば、ヒュペリーオーンの息子のヘーリオス(太陽神)やセレーネー(月の女神)、イーアペトスの息子のプロメーテウスアトラースなどもティーターン族であり、また、コイオスの孫はアポッローンアルテミスで、オリュムポスの神々に仲間入りしている。

なお、古代ギリシア語のティーターンは英語ではtitan(タイタン)で、豪華客船タイタニック号や原子番号22の元素チタンなどの語源になっている。

《参考文献》

Last update: 2022/04/24

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