ぺーガソス
分 類 | ギリシア神話 |
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Πήγασος〔Pēgasos〕(ペーガソス)【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 有翼の馬。 |
特 徴 | 雷を運ぶ。蹴った地面からは霊感を与える泉が湧く。 |
出 典 | ヘーシオドス『神統記(テオゴニアー)』ほか |
英雄を乗せて飛翔する神馬!?
ペーガソスはギリシア・ローマ神話に登場する神馬。背中に翼を生やしていて、自由に空を飛び回る。ゼウスの館に棲み、雷霆を運ぶ役目を与えられている。
一般には怪物メドゥーサと海神ポセイドーンの子とされる。英雄ペルセウスがメドゥーサの首を斬り落としたときに、その切り口からクリューサーオールとともに飛び出したという。
通常、人間には乗りこなせないとされている。けれども、英雄ベッレロポンテースはだけは、女神アテーナーから黄金の手綱を受け取り、コリントス市にあるペイレーネーの泉で水を飲んでいたペーガソスを捕らえて乗りこなしている。彼はペーガソスに跨(またが)って怪物キマイラを退治したという。その後もベッレロポンテースはソリュモス族やアマゾーン族を討伐するなど活躍した。しかし、ベッレロポンテースは次第に思い上がり、ペーガソスに乗って天に昇ろうなどと大胆なことを考えた。これに怒ったゼウスは虻を放つと、虻はペーガソスの鼻をチクリ、と刺した。ペーガソスは大暴れし、英雄はペーガソスを御すことができず、振り落とされて地面に叩きつけられた。こうしてベッレロポンテースは墜落死したとも、身体を不自由にして荒野を彷徨ったとも言われている。
一説では、英雄ペルセウスも海の怪物ケートス退治のときにペーガソスに乗っていたという。
ペーガソス、蹴られた場所から泉、湧く!?
あるとき、技芸の女神ムーサたちがピーエリア王ピーエロスの娘たちと歌競べをした。その際、ヘリコーン山はあまりの楽しさにどんどん膨らんで大きくなり、天に届きそうになった。そこでポセイドーンの命令でペーガソスが蹄で山を蹴って元の大きさに戻したという。ペーガソスが蹴った場所からは水が湧き出て、ヒッポクレーネー《馬の泉》という霊感を与える泉になったという。
ペーガソスはπηγή(ペーゲー)《水源》と結びつけられていて、ペーガソスの蹄によって湧き出した泉というのは、ヒッポクレーネー以外にもギリシア各地にたくさんあるという。
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ちなみに最近のイラストレータさんは大抵、白馬のペーガソスを描くけれど、古典の中ではペーガソスが「白馬」であるという記述は見つからない。壺絵でも、必ずしも「白」で描かれているわけではなく、しばしば黒を基調にしたペーガソスも描かれる。
《参考文献》
- 『神統記』
(著:ヘシオドス,訳:廣川洋一,岩波文庫,1984年)
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』
(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』
(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2019/02/17