ムネーモシュネー
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
---|---|
Μνημοσύνη(ムネーモシュネー)《記憶》【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 女神。 |
特 徴 | 記憶を司る女神。ゼウスとの間に芸術の女神ムーサを生んだ。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー(神統記)』ほか |
学問や芸術を生んだ記憶の女神!?
ムネーモシュネーはギリシア・ローマ神話に登場する「記憶」を象徴したティーターン族の女神。天空の神ウーラノスと大地の女神ガイアの娘で、クロノスやレアー、オーケアノスやテーテュースなどの兄弟である。ピーエリアにてゼウスと9夜続けて交わり、人々から苦しみを忘れさせるために、9柱の女神たちを生んだ。それが芸術を司る女神ムーサたちである。
古代ギリシア人たちは何か学問を始めようとするときには、ムネーモシュネーとムーサたちに祈りを捧げたという。
《忘却》の水と《記憶》の水!?
《記憶》のムネーモシュネーと《忘却》のレーテーはしばしば対の存在として描かれる。一部の神秘主義的な宗教においては、ムネーモシュネーと対になってレーテーの名前が挙げられている。レーテーは冥府を流れる忘却の河であり、その水を飲んだものは一切の記憶を忘れるという。一方、ムネーモシュネーの河の水を飲むと全てを記憶できるようになり、全知になると信じられた。ボイオーティア地方にあるトロポーニオスの神託所の傍らには、この2つの女神と同名の泉があり、神託を受ける者は、《忘却》と《記憶》の2つの泉の水を飲む必要があった。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 4 西洋神名事典』(監修:山北篤,画:シブヤユウジ,新紀元社,1999年)
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2022/04/25