ステュムパーリス・オルニス
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
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Στυμφαλίς Ὄρνις(ステュムパーリス・オルニス)【古代ギリシア語】 複数形:Στυμφαλίδες Ὄρνιθες(ステュムパーリデス・オルニテス)【古代ギリシア語】 ステュムパーロスの鳥【日本語】 | |
容 姿 | 金属の翼と青銅のクチバシを持った鳥。 |
特 徴 | ペロポンネーソス半島のステュムパーロス湖畔の森に棲み、人を喰らい、糞害を引き起こした。 |
出 典 | アポッロドーロス『ビブリオテーケー』(1~2世紀頃) |
糞害を引き起こす青銅の翼を持つ鳥!!
ステュムパーリス・オルニスはギリシア・ローマ神話に登場する怪鳥。ペロポンネーソス半島のステュムパーロス湖畔の森に群れで棲息していた。青銅のクチバシを持ち、翼の先端が金属でできていた。集団で人々を襲い、周辺の田畑を糞害で悩ませていた。パウサニアースによれば、大きさはツルほどで、体型はトキに似ているが、クチバシは真っ直ぐで、金属の鎧をまとっていても、勢いよく飛んでくるこの鳥のクチバシは鎧を突き破ったという。
英雄ヘーラクレースが十二の難業の一つとしてこの地を訪れ、退治した。ヘーラクレースはヘーパイストスがつくったという青銅の巨大な鳴子をガンガンと叩き鳴らし、驚いて飛び立った鳥たちをヒュドラーの毒矢で射落としていった。もともとはこの鳥たちは戦神アレースのペットだったとされる。
ちなみにこの鳥の怪物のことを「ステュムパーリデスの鳥」、あるいは単に「ステュムパーリデス」として紹介されることが多い(英語でもその用法で用いられている)。でも、古代ギリシア語の「Στυμφαλίδες(ステュムパーリデス)」は《ステュムパーロス(地名)の》という形容詞の複数形を修飾する活用であるため、正確には「ステュムパーロスの鳥」とするのが正しい。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2021/03/26