エレボス
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
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Ἔρεβος〔erebos〕(エレボス)《闇》【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 男神。詳細不明。 |
特 徴 | 暗黒の神さま。原初神。カオスの息子。ニュクスとの間にヘーメラーとアイテールを産んだ。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など |
地下の暗闇の神さま!?
エレボスはギリシア・ローマ神話に登場する暗闇の神。原初神であるカオス(穴)、ガイア(地)、タルタロス(奈落)、エロース(性愛)などの神々と同世代の古い神々である。
ヘーシオドスが『テオゴニアー』の中で語った創世神話によれば、この世界に最初に生まれたのはカオス(穴)である。そして、その「穴」の中にガイア(地)やタルタロス(奈落)とエロース(性愛)などの神々が生まれていった。ガイアは我々が住むこの大地となり、タルタロスは「穴」の底に下降していった。エロースが原初に生まれているのは、これからさまざまな神々が生まれるためには、愛の結びつきが必要だからである。ガイアは単独でウーラノス(天)などを産むと、彼を伴侶にして、次々と神々を産み出していった。
夜と闇からは昼と光が生まれる!?
こうして、さまざまな神々が誕生して、この世界が出来上がっていく中で、カオスは二人の神々を産んでいる。それがニュクス(夜)とエレボス(闇)である。「穴」から生まれるには相応しい神々である。そして、エレボスはニュクスを伴侶にして、ヘーメラー(昼)とアイテール(光)を儲けた。夜と闇から逆説的に昼と光が誕生して、ようやく真っ暗だった世界は明るくなる。
古代ギリシア人の世界観を解説!?
古代ギリシア人は、大地を円盤のようなものだと考えていて、その上方にはウーラノス(天)があり、下方にはタルタロス(奈落)があると考えていた。そして、天の上部には澄んで輝くアイテールがあり、奈落の底には暗く淀んだエレボスがあると考えていた。
ニュクス(夜)とヘーメラー(昼)で母と娘で対になっているのと同様に、エレボス(闇)とアイテール(光)で父と息子で対になっている。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2021/10/01