デーメーテール
分 類 | ギリシア神話 |
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Δημήτηρ〔Dēmētēr〕(デーメーテール)《母なる大地》【古代ギリシア語】 Cerēs(ケレース)【ラテン語】 | |
容 姿 | 麦の穂を持った女神。 |
特 徴 | ギリシア神話の大地母神。植物、穀物、豊饒、収穫の女神。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など |
彼女の怒りは凶作を引き起こす!?
デーメーテールはギリシア神話の豊穣の女神で、植物や穀物、豊饒と収穫を司る。クロノスとレアーの娘で、ヘスティアー、ヘーラー、ハーデース、ポセイドーン、そしてゼウスとは兄弟である。
豊作と凶作は彼女の気分次第で変わる。ゼウスとの間にペルセポネーを産んでいるが、ハーデースがペルセポネーに恋をし、ゼウスに唆されて、彼女を冥府に連れ去った。デーメーテールは娘を探し、太陽神へ―リオスからハーデースが娘を冥府に攫ったこと、ゼウスがそれを唆したことを知り、激怒した。そして天界を捨てて老婆の姿でエレウシースで降った。デーメーテールが天界に不在になったことで、地上の植物は実らなくなり、収穫物は一切取れなくなった。これに困ったゼウスはハーデースにペルセポネーを天界に戻すように命じ、再び、大地は豊饒と実りを取り戻した。しかし、すでにペルセポネーは冥府でザクロの実を何粒か口にしていた。冥府の食べ物を口にしたら冥府に留まらなければならない掟がある。そこで、ゼウスは食べたザクロの実の分として1年の3分の1は冥府に留まり、残りの3分の1は天界でデーメーテールと暮らせるようにした。ペルセポネーがハーデースの元にいる間は、デーメーテールが嘆き、実りをもたらさない。こうして、季節ができあがった。
ペルセポネーは穀物の種であり、地下に蒔かれ、やがて芽吹くことを表現した神話である。
デーメーテールは古い大地母神!?
崇拝の中心地はエレウシースで、ギリシア各地でペルセポネーと組になって「二柱の女神」として祀られる。また、デーメーテールが娘を探して地上を放浪した際、彼女が立ち寄った先では、水車の発明や穀物や果実の栽培方法の伝授など、さまざまな物語が伝わっている。
名前のメーテールは《母》を意味し、デーはγῆ(ゲー)《大地》が変形したものと考えられている。非常に古く、紀元前10世紀頃には彼女への信仰が成立していたと考えられる。本来、古代ギリシアの土着の大地の女神で、ゼウスを信仰する遊牧民族の神話に取り込まれたと考えられる。しかし、結局、デーメーテールの信仰を無視できず、デーメーテールはゼウスの姉及び愛人の地位に就き、ゼウスとの間にペルセポネーをもうけ、神話の中で重要な位置を占めている。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2011/07/24