メーティス

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Μῆτις 〔mētis〕(メーティス)《知恵》【古代ギリシア語】
容 姿女神。
特 徴知恵の女神。ゼウスの最初の妻で、アテーナーを産んだ。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など

知恵の女神、ゼウスに飲み込まれる!?

メーティスはギリシア・ローマ神話の知恵の女神である。海神オーケアノステーテュースの間に生まれた3,000柱の海や泉、地下水の女神(オーケアニス)の1柱で、ゼウスの最初の妻であり、ゼウスとの間にアテーナーを儲けた。

ゼウスが神々の王となる以前、世界を支配していたのはゼウスの父クロノスだった。クロノスは父であり天空神であるウーラノスから王位を簒奪して神々の王となった。ウーラノスはクロノスに「お前も子によって倒される」という予言を残す。そのため、クロノスは子供が生まれるたびに飲みこんだ。クロノスの妻のレアーはこれを悲しみ、ゼウスを産んだときに、石を産衣に包んで、ゼウスだと偽ってクロノスに飲み込ませた。ゼウスはクレータ島で密かに育てられた。成人したゼウスは知恵の女神メーティスを協力者として、嘔吐薬をつくって酒に混ぜてクロノスに飲ませた。クロノスは石、ポセイドーンハーデースヘーラーデーメーテールヘスティアーの兄弟を吐き出した。こうして、ゼウスは兄弟たちを率いて、クロノス率いるティーターン族と戦い、クロノスを倒して王位を簒奪した。

神々の王となったゼウスはメーティスを最初の妻としたが、ウーラノスは「メーティスの子はゼウスよりも聡明で、男神だったらゼウスの地位を脅かす」と予言した。ゼウスは息子による王位簒奪を恐れ、メーティスを飲み込んだ。こうして、ゼウスはメーティスの知恵を取り込んだ。しかし、飲み込まれたメーティスはすでに身籠っていて、胎児はゼウスの頭部で成長を続けた。ゼウスは痛みに耐えかね、ヘーパイストスに斧で頭を叩き割るように命じると、ゼウスの額から完全武装した女神が飛び出した。これがアテーナーである。

《参考文献》

Last update: 2022/01/10

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