テーセウス

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Θησεύςthēseus〕(テーセウス)【古代ギリシア語】
容 姿英雄。
特 徴ミーノータウロスを退治した英雄。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)ほか

アテーナイの英雄テーセウス!?

テーセウスはギリシア・ローマ神話に登場するアテーナイの英雄で、ミーノータウロスを退治したことで知られる。その他にもパイアマラトーンの雄ウシを退治している。

トロイゼーンからアテーナイまでの冒険

テーセウスはアテーナイ市の王アイゲウスとトロイゼーン市の王女アイトラーの息子で、トロイゼーンで育った。テーセウスは成人すると、アイゲウスに認めてもらうために、アテーナイを目指した。道中、旅人を襲う棍棒使いのペリペーテース、怪力の盗賊のシニスを退治し、クロミオーンを荒らしまわっていた人喰いイノシシのパイアを退治した。その後も、盗賊のスケイローン、力比べを挑んできたケルキュローン、強盗のプロクルーステースも退治した。

こうしてアテーナイに到着すると、今度はアイゲウスの妻だったメーデイアがテーセウスを危険視し、用心するようにアイゲウスを言い含めた。アイゲウスはテーセウスのことを息子だと気づかずに、マラトーンの雄ウシを退治するように命じた。テーセウスが見事に雄ウシを捕らえてアイゲウス王の下に連れてきたので、アイゲウスはこのウシを生贄としてアポッローンに捧げた。その後、メーデイアは毒入りの食事でテーセウスをもてなそうとしたが、テーセウスはアイゲウス王に一振りの剣を献上した。この剣はアイゲウス王がトロイゼーンに残してきた剣だった。こうして、アイゲウス王はテーセウスが自分の息子であることに気づき、メーデイアはアテーナイを追放された。

テーセウスのミーノータウロス退治

当時、アテーナイはクレータ島のミーノース王の勢力下にあった。ミーノース王の息子アンドロゲオースがパンアテーナイア祭の競技会で優勝した際、アテーナイ人の妬みを買って殺されるという事件が起っていて、怒ったミーノース王は兵を率いてアテーナイを攻め、アテーナイはこれに降伏した。その賠償として七人の少年少女を貢ぎ物として送ることが取り決められていた。クレータ島には怪物ミーノータウロスがいて、少年少女たちはミーノータウロスによって喰われていた。テーセウスはこれを知って憤り、自ら貢ぎ物の少年少女たちに混ざってクレータ島に渡った。ミーノータウロスは、一度入ったら出られないという迷宮ラビュリントスに幽閉されていたが、ミーノース王の娘のアリアドネーがテーセウスに一目惚れし、迷宮ラビュリントスの攻略法を伝授した。入り口に糸を縛りつけておき、糸を伸ばして迷宮に入り、帰るときにはその糸を手繰って戻れば、無事に迷宮から脱出できるという方法である。テーセウスは糸を入り口に縛ると、ラビュリントスの中に入り、ミーノータウロスと格闘して退治し、無事に迷宮から脱出したのである。テーセウスはアリアドネーを妻にする約束をして、一緒にクレータ島から脱出した。

しかし、アリアドネーは結局、テーセウスとは結ばれなかったようである。テーセウス一行がアテーナイに戻る途中、ナクソス島に立ち寄った際、ディオニューソスに見初められて攫われたと言われる。また、テーセウスが帰還した際、黒い帆を張っていたため、テーセウスはミーノータウロスに殺されたと勘違いしたアイゲウス王は悲しみのあまり海に身を投げて死んでしまった。このため、この海は「アイゲウスの海」、すなわち、エーゲ海と呼ばれるようになったと伝わっている。こうして、テーセウスはアイゲウス王の跡を継いで、アテーナイの王となった。

その後のテーセウス

テーセウスはアテーナイの王となった後も、イアーソーンと一緒に黄金の羊毛を探しにアルゴー号の冒険に参加したり、盟友ペイリトースと一緒に冥界を旅したりしている。

《参考文献》

Last update: 2019/02/11

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