アレース

分 類[ギリシア神話]
名 称Ἄρης〔Arēs,Ārēs〕(アレース,アーレース)【古代ギリシア語】
容 姿
特 徴
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など

アレースはギリシア神話の戦争の神である。最高神ゼウスヘーラーの息子で、オリュムポス12神の1人に数えられ、巨漢の美しい青年神として描かれている。しかし、軍神としての戦争の勝利という側面よりも、思慮に欠けた暴力とその敗北を表現した神話の方が多い。そのため、オリュムポス神族のならず者のような描かれ方をしている。

アレースは非常に好戦的で、戦闘を好み、トロイア戦争では、トロイアの軍勢に与しているにも関わらず、ときにはアカイア人を助けたこともある。しばしば、人間にすら敗れることもあり、トロイア戦争ではアテーナー女神の加護を受けた英雄ディオメーデースに傷つけられ、一万人の戦士の雄叫びにも匹敵する大声を上げて倒れた。英雄ヘーラクレースにも戦いを挑み、敗れてオリュムポス山に遁れている。また、神々に反逆を試みたアオーエウスの息子たちに13か月も青銅の甕(かめ)に閉じ込められ、息絶える直前にヘルメースに助け出されたという神話もある。

アレースは美の女神アプロディーテーの愛人として描かれることもある。アプロディーテーの正式な夫であるヘーパイストスによって情事の真っ最中にベッドに仕掛けられた縄で縛り上げられ、神々の晒し者にされている。アプロディーテーとの間にデイモス(恐怖)、ポボス(敗走)、ハルモニアー(調和)を儲けている。

信仰の中心地はテーバイ市である。彼の住居はトラーキアにあることから、北方から移入された神であると考えられている。

ローマ神話ではマールスと同一視される。

《参考文献》

  • 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)

Last update: 2019/01/07

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