ポリュペーモス

分 類[ギリシア神話]
名 称 Πολύφημος〔Polyphēmos〕(ポリュペーモス)【古代ギリシア語】
容 姿一つ眼巨人。
特 徴ギリシア神話に登場する人喰いの怪物。
出 典ホメーロス『オデュッセイア』(前8世紀)など

オデュッセウス一行を襲った人喰いの一つ眼巨人!?

ポリュペーモスはギリシア神話に登場する人喰いの怪物である。ホメーロスの『オデュッセイア』の第9書に登場する。海神ポセイドーンの子で、一つ眼巨人キュクロープスである。

英雄オデュッセウスはトロイア戦争を終えて帰国する途中でキュクロープスたちが暮らす島に立ち寄った。ポリュペーモスは羊飼いをしていたが、オデュッセウスは知らずのうちに羊を追ってポリュペーモスの洞窟に入り込んでしまった。ポリュペーモスはオデュッセウスと12人の部下を洞窟に閉じ込めると、次々に部下たちを食べていった。オデュッセウスはワインを差し出して機嫌を取ると、ポリュペーモスを酔っ払わせた。気を良くしたポリュペーモスはオデュッセウスに名前を尋ねたが、オデュッセウスは「ウーティス」(Οὖτις 《誰でもない》の意)と名乗った。そしてポリュペーモスが眠りについたところで、部下たちと協力してポリュペーモスの一つしかない眼を潰した。ポリュペーモスの悲鳴を聞いて仲間のキュクロープスたちが集まってきたが、「誰にやられたのか」と問う仲間たちにポリュペーモスは「誰でもない(ウーティス)」と答えるばかりで、仲間たちは訳も分からず帰っていった。オデュッセウスたちは羊の腹に捕まって、目の見えないポリュペーモスをやり過ごして洞窟を脱出し、海に逃げ出した。

この出来事をポリュペーモスから聞いた父親のポセイドーンは腹を立て、オデュッセウスの航海を邪魔した。このため、オデュッセウスはなかなか帰国できず、各地を漂流する羽目になる。

《参考文献》

  • 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)

Last update: 2019/01/15

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