ゲーラス
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
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Γῆρας〔gēras〕(ゲーラス)《老い》【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 痩せた老人。 |
特 徴 | 老いを神格化した神。高徳の象徴でもある。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など |
老いとともに徳を得よ!?
ゲーラスはギリシア・ローマ神話の老いを神格化した神で、痩せた小さな老人の姿で描かれる。ヘーシオドスは『神統記(テオゴニアー)』の中で、夜の女神ニュクスが単独で生み出したと説明している。ニュクスからは、一緒に死や眠り、争いなどの概念も生まれている。一方、後代の詩人ヒュギーヌスは『神話集(ファーブラエ)』の中で、ゲーラスは夜の女神ニュクスと闇の神エレボスの間にうまれたと説明している。ウェルギリウスやセネカは冥府を描写するときに、ゲーラスを描いている。ゲーラスは病(ノソス)や恐怖(ポボス)、飢え(リモス)などと一緒に、冥府に住んでいるようだ。
ゲーラスが英雄ヘーラクレースとともに描かれた壺絵が残されている。ヘーラクレースが老いを克服しようとした神話なのかもしれないが、神話は失われていて、ヘーラクレースとの間にどのようなエピソードがあったのかは分からない。
ゲーラスは青春の女神へ―ベー(若さ)とは正反対の存在である。ただし、古代ギリシアにおいては、必ずしも「老い」はネガティブな意味だけを含んでいたわけではない。老いとともに地位や名声を得るため、高徳のような意味も含んでいる。
《参考文献》
Last update: 2022/04/16