ピュートーン

分 類ギリシア神話
名 称 Πύθων(ピュートーン)【古代ギリシア語】
容 姿巨大な蛇。
特 徴古くからデルポイの神託所を守護し、神託を行っていた怪物。アポッローンに退治される。
出 典アポッロドーロス『ビブリオテーケー』(1~2世紀頃)ほか

古より神託所を護る蛇神!?

ピュートーンはデルポイの山に古くから棲んでいた大蛇である。デルポイといえば古(いにしえ)から神託所のあった場所。デルポイは昔は「ピュートー」という名前で、大地の女神ガイア、あるいは掟の女神テミスの神託所があって、ピュートーンという大蛇がこれらの女神に代わってこの地を支配していて、神託を行っていた。

ピュートーンは予言により、レートーの子によって殺されると知った。あるとき、レートーはゼウスの子を身籠った。ゼウスの正妻だったへーラーはゼウスの不貞に怒り、レートーが太陽の光の下で出産することを禁じた。一方、ピュートーンも自分が殺されることを回避しようと、レートーを亡き者にしようと謀った。そこでゼウスの頼みによって海神ポセイドーンはレートーをデーロス島に導くと、海の水で天蓋をつくって彼女を隠して無事に出産させた。こうして生まれたのがアポッローンとアルテミスである。

アポッローンは生まれて3日後に弓矢を執るとデルポイにやって来て、ピュートーンを射殺したという。こうして母の恨みを晴らしたのである。ピュートーンの亡骸は、デルポイの聖なる石オムパロスの下にある大地の裂け目に葬られ、アポッローンはピュートーンのために葬礼競技のピューティア祭を開始したという。その後、アポッローンはそのまま神託所を引き継いだ。

神託所の巫女たちはピューティアーと呼ばれ、トランス状態で神の言葉を伝えるが、これはピュートーンの死体から出るガスによって引き起こされているとされた。

ちなみにニシキヘビを英語でパイソン(Python)と言うが、これはピュートーンに由来している。

《参考文献》

Last update: 2011/07/10

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