ケール
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
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Κήρ〔kēr〕(ケール)《破滅》【古代ギリシア語】 複数形:Κῆρες 〔kēres〕(ケーレス)【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 黒い翼と長い歯、爪を持つ女性の悪霊。 |
特 徴 | 暴力的な死を擬人化した存在で、戦場で死すべき者に群がる。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など |
戦場で死すべき運命の者に群がる!?
ケールはギリシア・ローマ神話の死を司る悪霊の一族である。彼女たちは夜の女神ニュクスの娘たちで、死の神タナトス、眠りの神ヒュプノス、運命の女神モイラたちなどとは兄弟関係にある。暴力的な死を擬人化した存在で、黒い翼を持ち、長い歯と爪を持ち、戦場で死ぬべき人間を見つけると群がり、死体の血を吸うとされる。ケール自身が人々に死を与える決定権を持っているわけではなく、死が訪れると群がってくるというイメージに近く、まさに死を具現化したような存在と言える。
ケールは「運命」という意味にも用いられ、ゼウスがアキッレウスのケールとヘクトールのケールを天秤にかけ、ヘクトールの方が重く、傾いたことから、ヘクトールが死ぬことになった。また、ケールは個人に適用されるだけでなく、トロイア勢とギリシア勢のケールという風に集団に対して用いられることもある。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2021/10/02