ホーラ
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
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Ὥρα 〔hōra〕(ホーラ)《時間》【古代ギリシア語】 複数形:Ὧραι 〔hōrai〕(ホーライ)【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 花の枝、果物、種などの季節を象徴する事物を持った女神。一般には3柱。 |
特 徴 | 季節の正しい移り変わりと人間社会の秩序を担う女神。 |
出 典 | ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など |
ホーラ、季節の正しい移り変わりを司る!?
ホーラはギリシア・ローマ神話に登場する季節と秩序を司る3柱の女神たち。最高神ゼウスと掟の女神テミスの娘たちで、運命の女神モイラたちとは姉妹である。元々は天候神ゼウスの従者として、規則正しい天体の運行や季節や天候の循環を表わす女神だったと考えられる。やがて、季節の正しい移り変わりに加えて、人間社会の秩序も担うようになった。
三女神のそれぞれについては、ヘーシオドスの『神統記(テオゴニアー)』にエウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)の名前が挙げられていて広く知られているが、実は文献によってその人数や名前はさまざまで一定しない。タロー(芽生え)、アウクソー(生長)、カルポー(結実)の3柱の女神の名前もよく知られている。人数は必ずしも3柱だけでなく、2柱、4柱、9柱、12柱など、詩人によって異同がある。これは、古代ギリシア人が当初は1年間をおおきく春と秋に2分割していたものが、やがて春、夏、秋の3分割となり、春夏秋冬の4分割になったことが背景にある。1年間を12か月に区分するようになり、12柱のホーラたちが考案される必要が生じた。
ホーラたちは花の枝、果物、種を持った姿で描かれるなど、それぞれの季節を象徴する事物や植物を持って表現されることが多い。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2022/04/24