ポイニクス

分 類ギリシア伝承
名 称 Φοῖνιξ〔Phoinix〕(ポイニクス)【古代ギリシア語】
Phoenix(フェニックス)【英語】
容 姿猛禽類。金色の首、紫色の身体、薔薇色の混じった青い羽の尾。
特 徴不死鳥。死ぬ間際に自らの身体を燃やし、やがて炎の中から甦る。
出 典プリーニウス『博物誌』(77年)ほか

炎の中から甦る伝説の不死鳥!?

ポイニクスは古代ギリシア・ローマを中心に信じられた伝説の霊鳥。英語ではフェニックス、日本では不死鳥などと訳される。ワシくらいの大きさの猛禽で、首の周りが金色、身体は紫色、尾は薔薇色が混ざった青い羽をしている。世界に1匹しか存在しないとされ、多説あるが、500年ほど生きて寿命を迎えると、香料を薪として積み上げ、自ら火の中に飛び込む。やがて、その炎の中から甦るとされた。

古代ローマのプリーニウスは『博物誌』の中で、死体の骨からウジ虫の姿で生まれ、それが雛鳥になって、やがて立派な親鳥に成長すると説明している。そして、ポイニクスは一生に一度だけ、エジプトのヘリオポリス(イウヌゥ)に飛んでくる。目撃されるのはこのときだけだという。

この古代ギリシアのポイニクスは、古代エジプトの聖なる鳥ベヌウの伝説を原型に発展したものと考えられる。古代エジプトでは、ベヌウは太陽神に従う鳥とされ、ヘリオポリスの神殿の炎に毎晩飛び込み、毎朝、その炎から生まれると信じられていた。これは夜になると沈み、朝になると昇る太陽を象徴していた。この伝説がギリシアに伝えられ、ポイニクスになったと考えられる。しかし、死と再生の伝説は古代ギリシア・ローマの文献にしか現われない。

《参考文献》

Last update: 2019/11/10

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