ヘーラクレース

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Ηρακλήςhēraklēs〕(ヘーラクレース)【古代ギリシア語】
容 姿たくましい男性。ライオンの毛皮を着て、棍棒と弓矢を持つ。
特 徴ギリシア神話最大の英雄。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など

ヘーラクレースはギリシア・ローマ神話最大の英雄である。大神ゼウスと人間の女性アルクメーネーの子として生まれた。ペルセウスの子孫で、ミュケーナイ王家の血を引く。元々はアルカイオスという名前だったが、デルポイの巫女が《ヘーラーの栄光》という意味で「ヘーラクレース」と呼んでからは、そう名乗るようになった。古代ギリシアでは神として崇拝され、ローマでも盛んに信仰された。

ゼウスはアルクメーネーが産気づいたときに「最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言したが、アルクメーネーとの浮気を快く思っていなかったゼウスの妻ヘーラーは出産を司る女神エイレイテュイアを遣わしてヘーラクレースの誕生を遅らせ、もう一人のペルセウスの子孫のエウリュステウスを先に世に出した。

ヘーラクレースは逞しく成長し、テーバイのクレオ―ン王の娘メガラーを妻とし、子供をもうけるが、ヘーラーが狂気を送り込み、気が触れて子供を火にくべて殺してしまう。正気に返ったヘーラクレースは、デルポイに赴き、アポッローンから罪を償うために「ミュケーナイ王エウリュステウスに仕えて10の勤めを果たせ」という神託を得た。こうして、ヘーラクレースはエウリュステウス王に仕えて、以下の「12の難業」(後に2つ追加された)を成し遂げることになる。

  1. ネメアーのライオンの退治
    ネメアーの谷の洞窟に棲んで、周辺の人畜を襲っていた巨大なライオン。固い毛皮で武器が効かないため、ヘーラクレースは窒息させて退治した。
  2. レルネー沼のヒュドラーの退治
    レルネー沼に棲みつく猛毒の大蛇。9本の頭を持っていて、首を切り落としても再生する。そこで従者のイオラーオスが首を切り落とすたびに松明で傷口を炙り、再生を防ぎ、ヘーラクレースは全ての首を切り落として退治した。なお、従者の助けを借りたことを理由に、エウリュステウス王はこの難業を認めなかった。
  3. ケリュネイアのシカの生け捕り
    弓よりも脚が速い雌鹿で、アルテミスも捕獲できなかったが、ヘーラクレースは丸1年間も追いかけ続け、ようやく水辺で休んでいるところを生け捕りにした。
  4. エリュマントスのイノシシの生け捕り
    エリュマントス山に棲む人喰いイノシシで、ヘーラクレースは雪原で大声をあげながら追いまわし、疲れ果てたところで生け捕りにした。
  5. アウゲイアースの家畜小屋の掃除
    30年間一度も掃除されたことのないエーリスのアウゲイアス王の家畜小屋を、ヘーラクレースは2つの川の水を流し込んで掃除をした。しかしヘーラクレースがアウゲイアス王に報酬を要求したため、エウリュステウス王はこの難業を認めなかった。
  6. ステュムパーロスの鳥の退治
    翼の先とクチバシが金属の怪鳥。ステュムパーロス湖畔の森に棲み、人を襲い、糞害で悩ませていたため、ヘーラクレースはヘーパイストスの鳴子で大きな音を立て、鳥たちが驚いて飛び立ったところを射て退治した。
  7. クレータの牡牛の生け捕り
    クレータ島で暴れていた牡ウシ。ミーノース王の妃との間にミーノータウロスを生んた。ヘーラクレースは格闘の末、生け捕りにしてミュケーナイに連れて行った。
  8. ディオメーデースの人喰い馬の生け捕り
  9. アマゾーンの女王の腰帯の取得
  10. ゲーリュオーンのウシの生け捕り
  11. ヘスペリデスの黄金の林檎の取得
  12. ケルベロスの生け捕り

ヘーラクレース、死後、神になる!?

冒険の後、ヘーラクレースはカリュドーン王オイネウスの娘デーイアネイラを妻にし、息子のヒュロスをもうけた。その後も彼らは旅を続け、あるとき、川を渡ろうとしたが、あまりにも流れが激しく渡れずにいた。すると川辺にいたケンタウロスのネッソスが、デーイアネイラを担いで渡すと申し出た。そこでヘーラクレースはデーイアネイラはネッソスに任せ、自分はヒュロスを担いで激流を渡った。しかし、先に岸についたネッソスはデーイアネイラに欲情して襲い掛かったため、ヘーラクレースはヒュドラーの毒矢でネッソスを射殺した。ネッソスは死の直前、デーイアネイラの耳元で「自分の地は媚薬になるため、ヘーラクレースの愛が減ったときには服にこの血を浸して着せれば効果がある」と言い残し、血を渡した。

ヘーラクレースがオイカリアの王女イオレーにうつつを抜かしているとき、デーイアネイラはネッソスの言葉を思い出して、血を浸した服をヘーラクレースに送った。ヘーラクレースがこの服に身を包むと、あっという間にヒュドラーの毒が回り、身体が焼けただれた。あまりの苦しみにヘーラクレースは薪を積み上げると自らの身体を燃やした。こうして、ヘーラクレースは焼け死に、死後、神々の仲間入りを果たした。ここに至って、ヘーラーはヘーラクレースを許し、その証として、娘のヘーベー(若さの女神)を妻に与えたとされる。

《参考文献》

Last update: 2022/04/16

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