オーケアノス
分 類 | ギリシア・ローマ神話 |
---|---|
Ωκεανός〔Ōkeanos〕(オーケアノス)【古代ギリシア語】 | |
容 姿 | 髭をはやした男性神。 |
特 徴 | 世界を取り囲む河を神格化した神。 |
出 典 | ホメーロス『イーリアス』(前8世紀)、ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)ほか |
この世界をぐるぐると取り巻く海流の神格化!?
オーケアノスはギリシア・ローマ神話に登場する海神。古代ギリシアの世界観では、この世界は円盤状になっていて、大陸の周りをぐるりと海が取り囲んでいて、ぐるぐると海流が流れていると考えられていた。その大きな海流を神格化したのがオーケアノスである。英語のocean(オーシャン)の語源になっている。
オーケアノスは天空神ウーラノスと大地の女神ガイアの間に生まれたティーターン族の長兄である。同じティーターン族である海の女神テーテュースとの間に3,000柱の海や泉、地下水の女神(オーケアニス)、3,000柱の河神(ポタモス)を儲けた。ティーターン族の末の弟クロノスがティーターン族を率いて父親ウーラノスに叛逆して王位を簒奪したときには、オーケアノスはこれに加わらなかった。また、クロノスの息子のゼウスが兄弟たちを率いてティーターン族と王位を巡って争ったときにも、オーケアノスはすぐに娘のステュクスにゼウスに降伏するように勧め、この戦いには参加しないなど、常に中立的な立場を取っているのが特徴的である。
オーケアノスは世界の果て!?
オーケアノスは円盤状のこの世界の周りに存在する海流であるため、人格的な神でありながら、次第に地理的な神になっていった。河川や泉などは、オーケアノスから地下を流れて地上に現れると考えられていた。「世界の果て」を意味するようになり、半ばおとぎ話的な異世界(エーリュシオンの野、ハーデースの国、ヘスペリスの園など)はオーケアノスの岸辺とされるようになった。太陽もオーケアノスに沈み、オーケアノスから昇る。ホメーロスは『イーリアス』の中で「オーケノアスは神々の親、万物の始まり」と評している。
《参考文献》
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)
Last update: 2022/01/10