ネメオス・レオーン

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Νεμέος λέων〔Neméos léōn〕(ネメオス・レオーン)《ネメアーのライオン》【古代ギリシア語】
容 姿巨大なライオン。
特 徴毛皮は固く、武器が効かない。不死身のライオン。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー(神統記)』(前7世紀頃)、アポッロドーロス『ビブリオテーケー』(1~2世紀頃)ほか

武器が効かない不死身のライオン!?

ネメアーのライオンはギリシア・ローマ神話に登場する巨大なライオンの怪物。固有名詞は与えられていない。一般的にはキマイラオルトロスの子とされるが、エキドナの子とされることもある。ネメアーのライオンはネメアーの谷に棲んでいて、通常のライオンよりも大きく、また、その毛皮は非常に固く、矢や棍棒では傷一つつけられない不死身のライオンだった。女神ヘーラーに育てられ、人間たちの災いとするためにネメアー渓谷に送られ、周辺の人や家畜を襲っていた。

英雄ヘーラクレースがエウリュステウス王に命じられた「12の難業」のひとつ目が、このネメアーのライオンの毛皮を持ってくることだった。ヘーラクレースはネメアーの谷にやってくると、ライオンに向かって射掛けた。しかし、その毛皮は固く、矢を弾き返して傷一つ与えられなかった。ネメアーのライオンは2つの入り口のある洞窟へと逃げ込んだ。ヘーラクレースはそのうち一方を塞ぐと、棍棒を片手に洞窟へと入った。武器が効かない不死身の怪物に対し、ヘーラクレースは素手で首を締め上げると、窒息させて殺した。その後、ヘーラクレースはライオンの爪で毛皮を引き裂いて、身にまとった。以降、ライオンの毛皮がヘーラクレースのシンボルとなった。

ちなみに、退治されたネメアーのライオンはゼウスによって天に上げられ、獅子座になったという。

なお、ネメアーのライオンが洞穴に暮らす性質を持つことから、約55万年前に棲息していたヨーロッパホラアナライオンの記録だと主張する人もいる。

《参考文献》

Last update: 2021/03/21

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