《日々の雑記》
2025年1月12日 朝鮮半島で一括り
「ベトナムの妖怪」と「朝鮮の妖怪」を更新してみた。
ベトナムの妖怪は「クイモッゾー」。一本足で毛むくじゃら。森の中を跋扈する妖怪だ。タイの森にはピー・コンコーイがいるし、日本の山の奥には「山精」がいる。どちらも一本足だ。森や山の奥深くには、こういう一本足の妖怪が潜んでいるのかもしれないなあ。
朝鮮の妖怪として今回、チョイスしたのは「シンギウォンヨ」だ。「バラバラの実」を食べたバギーみたいな妖怪で、天井の梁に姿を現し、ボトリ、ボトリと手や足、頭などがバラバラになって降ってくる。想像するにとても怖い。そして、それを見た人は驚いて死に至ることもある。
ちなみに「朝鮮の妖怪」については全体的にかなり改訂した。もともとは「韓国の妖怪」というタイトルで打ち出していたし、妖怪の名称の原語も「韓国語」という風に表現していた。でも、最近、韓国の歴史とか韓国語をよくよく勉強してみると、どうも「韓国」という定義は厳密ではないっぽいと印象を受けた。もっと大きな括りで「朝鮮」にしてやらないと、歴史的につながっていかないし、言葉だって、厳密には韓国語ではなくて朝鮮語だ。韓国語としてしまうと、それなら北朝鮮で話されている言葉は何なのだという問題が生じる。たまたま現代の我々に馴染みがある国が韓国なのであって、韓国で話されている言葉を学んでいるだけだ。
そんなわけで、ウェブサイト「ファンタジィ事典」では、「韓国の妖怪」を改め「朝鮮の妖怪」とし、韓国語を改め朝鮮語とした。別に韓国を軽んじているわけではない。「韓国の妖怪」と限定してしまうと「北朝鮮の妖怪」も定義しなければいけなくなる。でも、それって大部分が同じものである。
たとえば、キジムナーを「沖縄の妖怪」として捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか、コロポックルを「北海道の妖怪」と捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか。まあ、ね。厳密には昔は沖縄には琉球王国があったし、北海道にはアイヌの人々が暮らしているわけで、歴史的にも文化的にも違いがある。でも、今は日本だ。朝鮮半島だって、韓国と北朝鮮に分かれているけれど、第2次世界大戦の前はひとつの国だった。李氏朝鮮という国だった。もっと遡れば、新羅、百済、高句麗に分かれていた。そういう意味では、朝鮮半島を一括りにした方が妖怪を整理しやすいんだと思う。
2025年1月10日 1月からはLEGOマリオカート
久し振りに「LEGOスーパーマリオ」で楽しんでいる。1月からの新シリーズはマリオカートだ。マリオやルイージ、ピーチで乗ると、スーファミ時代のマリオサーキットの音楽が流れる。とてもよい。このセットは3台の車がついているのがよい。しかもベビーピーチがかわいい。ふふふ。
それにしても、LOGOのパーツが入っている袋がビニル製から紙製になった。さすがは世界のLEGO。キットカットが紙袋になったとき以来の衝撃。LEGOは食品ではないから、もっと早く紙袋に切り替えることもできたはず。思いつけばあっという間のこと。でも、思い込みで変えられない部分って結構、あるよなあ。自分自身の生活でも、きっと、不合理を当たり前に受け入れていることってあると思う。発想を変えれば、もっとずぅっといろんなことができそうだと自戒する。
2025年1月8日 文脈を補う難しさ
ウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新する際に、どの妖怪を選んで調査し、更新するかというのは、常々、悩むところだ。そこで、『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)をランダムに開いて、そのページに出てきた最初の妖怪を更新するというやり方を採用することも多い。何を更新するか考えるのが結構、面倒くさいので、こうやってシステマティックにやることで、考える手間が省けるので、手が止まることなく、黙々と作業ができる。
一方で、それとは別に、東南アジアの妖怪を更新する際には、恣意的に選んでいく作業が必要になる。結構、面倒臭いので、サボりがちになる。これではいかんと思って、久々に「ベトナムの妖怪」の「マーザウ」を更新した。決して、東南アジアの妖怪シリーズをやめたわけではないのだ、というアピールだ。
さて、結構、東南アジアの妖怪は資料が少ないので、多少は想像で補ってやる必要が生じる。たとえば、現地の人にとっては当たり前の感覚とか習慣、文化みたいなものが、日本人であるボクたちには分からない。地理とか歴史も分からない。そういうのが文章で省略されている可能性もある。あんまり、現地の感覚から外れると嫌なので、必死になって行間を読む努力をするし、いろいろと別の文献を調査して、想像力を高めてやる必要もある。そうやって補って、何とか形にしている。
最近、『ダンダダン』がアニメ化されて、海外に輸出されているが、モモの友人のムーコ(原作だとケイなんだけど)がどこまで海外で正しく理解されているかは謎だ。ボクたち日本人はムーコを見ると、ガングロとかヤマンバとか、当たり前に「ギャル」だと認識する。でも、多分、海外の人はムーコが何なのかよく分からないのではないか。一部ではポリコレの主張のネタにされて、ムーコは黒人の声優が担っている。実は、息子のツクル氏も、ガングロとかヤマンバという文化が分からないので、ムーコがよく理解できないらしい。
つまり、こういうことが東南アジアの妖怪を調査するときにも生じるわけだ。フィリピン人やベトナム人、タイ人にとっての常識が、ボクたちには常識じゃない。認識のズレやギャップがあって、うまく翻訳できていない可能性はある。そういうのを、どこまで想像力で補えるか。そんな挑戦を常々、やっている。
ちなみに、ボクが東南アジアの妖怪を日本語に翻訳して紹介すると、あっという間にピクシブ百科に転載される。ボクはこういう妖怪たちの知名度が上がることを願っているので、まあ、よいのだけれど、でも、正しさの保証はないので、大丈夫かな、と心配になる。現地の人からしたら、それこそ「ムーコは黒人」みたいな全く的外れな解説になっている可能性だってあるのだ。
2025年1月6日 ブループを調べて感じたこと。
本日、久々にウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新してみた。今回は「ブループ」という妖怪を紹介している。
実は、年末に息子のツクル氏がまいぜんシスターズの動画を見ていて、そこにブループというクジラのような怪物が登場した。まいぜんシスターズはときどき、マニアックな妖怪を企画に取り入れる。八尺様なんかも登場したこともあるので、もしかしたらブループも神話・伝承のバックグラウンドがあるのかもしれない。そう思って調べたら、予想通り、未確認生物の類いだった。こんな妖怪、全然、知らなかったなあ。
とは言え、実際には観測されているのが「音」だけで、目撃した人はいないので、未確認生物にしてはちょっと珍しいパターンだ。アメリカ海洋大気庁が1997年に南太平洋で「謎の音」を観測して、この低周波がクジラの鳴き声に似ていて、音の大きさから逆算すると、その体長は215メートルを超える。そんな推定から誕生した怪物である。
今回の「ブループ」の記事の中ではちょっとしか触れていないが、同じ「音」だけ観測されている怪物として「ユリア」というのもいて、こちらは800メートルを超えると言うから、とんでもない大きさだ。史上最大の動物はシロナガスクジラで、30メートルなので、800メートルになると荒唐無稽という感じがする。でも、「音」の大きさから逆算して生き物の大きさを決めていくという発想は、ちょっと面白いなと思う。
ちなみに、身体が大きくなればなるほど、身体を動かすのにエネルギーが必要になる。畢竟、獲物を追い掛けて捕食するというのが現実的ではなくなる。だから、巨大な海洋生物というのは、プランクトンを吸い込んで食べる「濾過摂食」というやり方を採用している場合が多い。そんな生物学的な背景もあって、ブループもユリアもヒゲクジラの仲間のような姿・形や生態が想定されている。仮に空想の生き物であっても、科学的な発想で姿・形が組み立てられていく。そういう点も、ちょっと面白いなと思う。
2025年1月4日 新年のご挨拶。
あけましておめでとうございます。みなさまにとって、2025年がよい年になりますことを祈念しております。
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さてさて。およそ1か月振りの投稿になります。体調を崩していました。精力的に妖怪のイラストを描いていた一方で、ずぅっと背後痛に悩まされており、結局、原因は分からないまんま、病院をたらい回しにされる日々でした。血液、CTスキャン、レントゲン撮影、超音波検査などなど、いろいろとやってみたものの、結果は「100パーセント健康です!」というお医者さんの満面の笑顔。そう太鼓判を押されましても、現実問題、背後痛は治らないわけで、どうしたものかと反問する日々でした。まあ、謎の背後痛と付き合っていかなきゃならないなあと覚悟を決めて、歩いているところです。
1か月も経ってしまったので、もう、いっそのこと「ですます調」にしてしまえ、と思いながら「日々の雑記」を綴っています。……というのは嘘で、正直に白状すると、毎年、新年のご挨拶のときの「日々の雑記」は、文末表現の文体で悩むのです。「あけましておめでとうございます」と「ですます調」で始めてしまって、途中から「である調」に移行していくのは少し気持ち悪いし、だからと言って、出し抜けに「あけましておめでとう」で始めると、不躾な印象もありますよね。だから、毎年、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」と書き出して、そこから段落を変え、気分も一新してから「である調」に戻すみたいな策を弄してきたわけです。
だから、本日は徹頭徹尾、「ですます調」で書いてみている次第です。常に新しい試みに挑戦することが大事です。
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……新年早々、変な話題から始めているわけですが、体調が快方に向かわないことを理由に、ウェブサイト運営をサボっていました。1か月の長いお休みでした。さすがにそろそろ再開しなければというタイミングでお正月が来たので、そこまで休んで、心機一転、本日からウェブサイト運営を再開してみようと思います。まあ、「日々の雑記」は、あまり根を詰めずに楽しみながらやって参る所存です。
昨年は東南アジアの妖怪、特にフィリピンの妖怪にフォーカスして調査してきましたが、今年もこのスタンスを継続していきたいと考えています。フィリピンは結構、メジャーなところはやり尽くした感じはあるのですが、タイやベトナム、それから韓国なんかも視野に入れつつ、幅広くやっていくイメージを持っています。イラストの方は少しペースダウンする予定です。今までは3日に1枚のペースだったのですが、さすがに息切れしたのと、最近、少し手癖がついて雑になっている印象もあるので、ここら辺で仕切り直しをしたいところです。
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そんなこんなで、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2024年12月2日 「置いてけ堀」を描いてみた。
日本の妖怪の「置いてけ堀」を描いてみた。
本所七不思議のひとつで、たくさん魚が獲れる堀で釣りをしていると「置いてけ、置いてけ……」と声が聞こえる。無視して帰ると、魚籠(びく)の魚が消えてしまったという話。
イラストは歌川国輝の浮世絵ヴァージョン。
2024年11月27日 「アムピスバイナ」を描いてみた。
ヨーロッパ伝承の「アムピスバイナ」を描いてみた。
Ἀμφίσβαινα(アムピスバイナ)とは古代ギリシア語で《両方向に進むもの》という意味で、その名前が示すとおりに、両端に頭がついている。
プリーニウスは『博物誌』(1世紀)の中で「猛毒を吐くのにひとつの口では足らないかのようだ」と説明している。
ちなみに、今回、イラストを描くに当たってヘビの骨格図とか写真とかをいろいろと調査していたら、ヘビって、口を開けた状態で舌を出したりはしないらしい。今まで口を開いた状態で舌を出したようなヘビを描いてきた気がするなあ。……というわけで、今回は厳密に、口を開けたヘビは舌を出さず、口を閉じたヘビからは舌をチロチロと覗かせている。わっはっは。
2024年11月25日 料理と向き合って心を整える
1か月ほど、原因不明の腰痛に悩まされている。病院を経巡ってみたものの、依然、原因は特定できない。むしろ、採血、レントゲン、MRI、エコーなどを試して「100点満点の健康です!」と医者に言わしめてしまった。うーん。
そんなわけで、病は気からとも言うので、気分転換に料理をしようと思って、久しぶりに本格的に料理に向き合ってみた。
本日の一品は生姜焼き。賛否両論の笠原さんのレシピなので、結構、濃いめの味付け。カイワレなんかも入れてみて、いい感じ。そして、気分は晴れやかになる。そうね。たまには気分転換も必要だよね。
2024年11月23日 「ターボババア」を描いてみた。
都市伝説の「ターボババア」を描いてみた。
ターボババアは1990年代の中頃から都市伝説、あるいは学校の怪談などの文脈で語られ始めた存在だ。夜の高速道路などで自動車と並走し、時には自動車の窓を叩いたり、追い抜いて振り返るとニヤリと渡って運転手を驚かせる。たったそれだけなのに、100キロババアとかマッハババア、ジェットババアなど、いろんな名前で日本各地で知られている。リヤカーババアとか、ホッピングババア、ヘリコプターババアなどの変種も多種多様だ。
最近は「ダンダダン!」の中で大活躍なので、一躍、有名になった感じがする。めでたくタイにも進出したらしく、タイでは「ピー・ヤーイ・サピート」と呼ばれて、やっぱりタイの高速道路を走っているらしい。でも、長い舌を伸ばしているという点が、タイらしさ満載である。
2024年11月21日 八朔シータのサインを考えてみた!!
突然ながら「八朔シータ」のサインを考えてみた。
……というのも、最近、Xで規約変更があって、AI学習が明文化された。これを受けて、イラストレータ界隈が大騒ぎしている。やれ、ウォーターマークを入れなくちゃ。やれ、AI生成反対の意を表明しなくっちゃ。やれ、Blueskyに避難しなくちゃ。まあ、ボク個人としては、オンラインに公開した時点ですべての情報は公開情報だと思っているので、AI学習に利用されるのは致し方ないと思っている。ウォーターマークそのものも、そのうち技術的に乗り越えられちゃうだろうなあと思っていて、あんまり意味がないとも思っている。でも、これを機にいろいろと勉強した。
ウォーターマークはともかくとしても、国際的には「署名」って必要らしい。国によっては、署名がないイラストはフリー素材だと勘違いされることもあるらしい。へえ。だったら、国際規格で行こうかなと思って、この期に及んで「署名(サイン)」を考えてみた次第。
意外と署名を考えるのは楽しかった。いろんな人のサインを調べて、並べてみて、簡略化の方法とか、筆の進め方なんかを模倣したり、類型化したりして、それを組み合わせながら、それっぽく拵えてみた。一応、「八朔シータ」って読めるし、いい感じなのではないか。ふふふ。
2024年11月19日 オーソ・ワンを描いてみた。
アメリカの宇宙人「オーソ・ワン」を描いてみた。
日本では「アウッソ」として紹介されることもある。ヒグドン氏がワイオミング州で遭遇した宇宙人で、ヒグドン氏を立方体型の宇宙船に乗せて誘拐したとされる。テレパシーで会話する。16万3,000光年離れた惑星に棲む。
最近、アメリカの妖怪にも手を出している。意外とアジアに目を向けて、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマーの妖怪を調べていたけれど、アメリカの妖怪というのも盲点で、知名度は低いよなあ、と思っている。
ちなみに、Xの方では、イラストに署名を入れてみた。海外では、署名のないイラストはフリー素材だと認知されることもあるという記事を読んで、それは困るなあと思っての対応だ。
2024年11月15日 あぎょうさんを描いてみた。
学校の怪談に登場する「あぎょうさん」を描いてみた。
あぎょうさんは謎掛け系の現代妖怪で、天井から降りてくる老婆の妖怪で、抱きついてきて、首筋を舐めてくる。そして「あぎょうさん、さぎょうご、いかに?」と問うてくる。これにうまく答えられれば、あぎょうさんは退散するが、答えられないとかぶりつかれるという。
こういう質問とそれに対応する答えがあるというのが、学校な怪談っぽさがある。世の中の大半の課題には必ずしもピタッとした答えがないのだよ、と子供たちに諭したくなる。
巷のイラストでは、結構、たくさんの人が蜘蛛のような姿で描いている。まさに8本足で描いている人もいるし、蜘蛛のようにたくさんの複眼を描いている人もいるんだけど、特に姿について明確な描写はないみたいなので、あんまり蜘蛛には寄せずに、人の要素を多く残してみた。それでも、上からぶら下がっている点は強調してみた。そんなこんな。
2024年11月11日 テケテケを描いてみた。
学校の怪談に登場する「テケテケ」を彩色してみた。白黒のときには感じなかったが、色をつけたら結構、グロテスクだ。
最近、腰を据えて都市伝説の調査をしている。資料そのものはかなりの部分、朝里樹氏がまとめてくれている。その一方で、朝里氏もそうなんだけど、2ちゃんねるのオカルト板とか、洒落怖系で語られる怪異は、創作的な側面が強い。匿名性は担保されていながら、作者の存在について考えさせられる。また、昔ながらの「友達の友達(FOF)」を介在させずに、自分の体験談としてまとめられる点で特異性がある。その辺をもう少し自分なりに検討したいなと思っている。
そんなこんなで、昔ながらの都市伝説も再整理しながら、洒落怖系やアメリカの現代妖怪(宇宙人的なものも含む)を調査しているこの頃である。
2024年11月7日 エンフィールド・ホラーを描いてみた。
アメリカの未確認生物の「エンフィールド・ホラー」を描いてみた。
エンフィールド・ホラーはイリノイ州のエンフィールド村に出没した怪物で、1973年にヘンリー・マクダニエル氏が遭遇。その身長は約1.4メートルで、3本足に小さな手がある。ピンク色に光る大きな目で、15メートルを3歩で跳躍したという。
マイナーな妖怪を紹介した方が面白いかと思いつつ、アクセス解析を見ると明らかにメジャーな妖怪を紹介した方が伸びるので、悩ましいところだ。今回、アメリカの妖怪に挑戦してみた。結構、アメリカは未確認生物や都市伝説の妖怪がたくさんいる。昔ながらの伝承がない分、ネイティヴ・アメリカンから借りてきたものと、その後、入植した人々が想像したものに溢れている。
歴史が新しいので、比較的、突飛なものが多い。エンフィールド・ホラーは「3本足」という変わった妖怪。ペットのカンガルーが脱走したものを見間違えたのではないかとの説もあるので、ちょっとカンガルーっぽさも残してイラスト化してみた。
2024年11月2日 ザガンを描いてみた。
ソロモン72柱の「ザガン」を描いてみた。
17世紀頃の魔法書『ゴエティア』によれば、彼は地獄の王の一人で、33個の悪魔の軍隊を率いている。あらゆる金属から硬貨を造り、水をワインに、血液を油に、愚者を賢者に変える。当の本人は自分を賢く見せている。
本来はグリュプスの翼をはやした雄ウシの姿か、その後、人間に変身した姿を描くべきなのだろうけれど、今回はその中間ら辺を狙って描いてみたので、若干、原典から見ると厳密さには欠けるイラストになっている。そのせいで、ちょっとファンタジー漫画のイラストっぽくなってしまった。
でも、自分を賢く見せかけている雰囲気を醸すべく、眼鏡をかけて本を持つというスタイルにしてみた。中世の学者っぽい服装も身につけさせてみた。そんなこんな。まあ、ソロモン72柱は、大抵の場合、ブルトンのイラストにみんな、引っ張られるので、ブルトンが挿絵をつけていない悪霊なので、自由に描いてみてもよいだろうと思っている。
2024年10月29日 ハッグを描いてみた。
イギリス伝承のハッグを描いてみた。
森に棲む魔女の妖怪で、邪悪なものが多い。妖術を駆使し、大鍋で薬を調合する。人を喰らうこともある。一見すると人間のようだが、人間ではなくて、森の精霊である。『ヘンゼルとグレーテル』に登場する人喰い魔女もハッグの一種とされる。日本の鬼婆や山姥のイメージに近い。
いかにも「イーヒッヒッヒ!」と笑い出しそうな感じのイラストに仕上がって満足している。ハロウィンが近いしね。それっぽいイラストをアップロードしておいた方がいいじゃん。そんな感じ。
2024年10月25日 口裂け女を描いてみた。
日本の都市伝説に登場する「口裂け女」を描いてみた。
都市伝説と言えば「彼女」というほどに有名な現代妖怪だと思う。最近だと赤いコートとか赤い傘みたいな装飾で語られることが多い。でも、ボクが子供の頃は、普通にOLのイメージだった印象だ。派手な赤いコートじゃない。赤い傘で空を飛ぶみたいなトンデモ設定もなくって、普通のOLの女性がマスクをしているからこそリアリティがあって怖かった。そんなイメージを伝えたくて、80年代っぽい感じのトレンチコートを着た女性を描いてみた。肩からショルダーバックを下げている。とある女優に似ているとして週刊誌に掲載されていた。そのときに週刊誌に載っていたイラストに髪型は寄せてみた。少なくとも、ボクのイメージする口裂け女はこんな感じである。
もう少しデフォルメしてでっかい鎌にしてもよいのだろうし、真っ黒い長い黒髪にしてもよかった。美人でもよかった。でも、80年代の当世っぽくすると、こんな感じではないだろうか。どうだろうか。
2024年10月21日 ジャック・オ・ランタンを描いてみた。
10月はハロウィンの季節なので、「ジャック・オ・ランタン」を描いてみた。
通常、ジャック・オ・ランタンと言えば、カボチャ頭のお化けを連想するが、本来、アイルランドでは、ジャック・オ・ランタンは西洋カブ(ルタバガ)でつくる。カボチャでランタンをつくるようになったのは、アメリカに入植して以降である。アイルランドには次のような古い伝承が残されている。
その昔、ジャックという男は、盗みや詐欺などを繰り返し、遂には悪魔を騙して地獄行きを阻止した。しかし、酒を飲みすぎて死んでしまった。しかし、日頃の悪行のために天国に行くこともできなくなった。これを憐れに思った悪魔は、ジャックに火を与え、以降、ジャックは西洋カブのランタンを手にこの世を彷徨い続けているのだとか。
そんなわけで、西洋カブのランタンを手に現世を彷徨うジャック・オ・ランタンを描いてみた。なお、西洋のお化けが足がないというわけではないんだけど、その方がお化け感が出るかと思って、今回はそういうデザインにしてみた。
2024年10月20日 ハイレタハイレタハイレタハイレタ
トイレの花子さんを描いてみたの記事でも書いているとおり、最近、都市伝説系の絵を連投しているボクだ。ネットロアや「洒落怖」に興味があって、その辺をリサーチしている関係で、そういう系のイラストに徐々にシフトしている。トイレの花子さん(学校の怪談)を皮切りに、ヤマノケ(洒落怖)、怪人アンサー(ネットロア)、マッド・ガッサー(アメリカの都市伝説)なんかを描いてきた。次はいよいよ口裂け女(日本の都市伝説)を描こうと思っているので、乞うご期待だ。そうして、近いうちに都市伝説(特に匿名性と作家性の部分)について一考してみたいなと思っている。
漫画『ダンダダン』はオカルトと妖怪をモチーフにした漫画で、10月からアニメ化された。アニマックスでの公開はまだなので、ボクはそちらを楽しみに待っている状況だが、ここでもターボババアやアクロバティックサラサラなどがたくさん登場する。そういう意味では、現代妖怪たちのオンパレードだ。鳥山明の再来と言われるほどの見事な立体造形とぶっ飛んだ世界観が素敵な漫画だ。
アニメの主題歌はCreepy Nutsの「オトノケ」だ。これはもちろん、ヤマノケのパロディだろう。歌詞の「ハイレタハイレタ」と連呼するところなんて、メチャクチャ、怖さがある。でも、ラッパーのR-指定的には自分の歌がリスナーの中に入っていくイメージなのかもしれない。そういう意味で「オトノケ」なのだろう。オトノケの歌詞については、各所で考察がなされていて、いろんな都市伝説の妖怪たちが練り込まれているようだから、是非、聴いてみて欲しい。
2024年10月19日 孤島、仮面、密室……に斜め上を行く展開!?
体調は相変わらず絶不調。遂に動けなくなってしまった。うーん。
そんなわけで、本日は『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』(著:早坂吝,講談社文庫,2017年)を読んだ。ものすごいハイペースで読書が進んでいる。
これもメフィスト賞の作品。当然の如く、風変りな作品である。何が風変りかを説明すると、トリックに関わってしまうので不用意には書けない。でも、斜め上を行く展開には驚かされる。Amazonの書評は大きく割れているが、でも、ロジックは合理的で、フェアな作品である。「孤島」「仮面」「密室」という今までの古典作品をオマージュしながらも、どれも少しずつずらしながら、意味のある展開になっている。何故、「孤島」が舞台になっているのか。圧倒的に怪しい「仮面」をつけた男が存在しているのか。手垢のついた「密室」が用いられるのは何故なのか。バカバカしいけれど、全てにちゃんと意味と答えが用意されている。そういう意味では、従来の本格ミステリを読みつくした人ほど、その素材の使い方に驚く展開だと思う。それが1本の糸でちゃんと結ばれていることに、驚きを禁じ得ない。
まあ、だからと言って、おいそれと人にオススメできないのは、風変りな設定のせいだ。でも、それが何か説明できないところが、何とも歯がゆいのである。わははー。