2023年7月20日 プチブロック幻獣シリーズの4つ目!!

プチブロック幻獣シリーズの4つ目はフェンリルだ。北欧神話に登場し、ラグナロクのときにまさかの最高神オージンを倒してしまうという衝撃の怪物である。

近年のイラストレータはみんな、フェンリルを白いオオカミで描く。稀に青いオーラで装飾する。その意味では、フェンリルは白と青いうイメージは現代ファンタジィの中では何となく定着しているのかもしれない。このプチブロックでも白と青を基調にデザインされている。首と四肢、そして尻尾が動く。爪も生えていて、格好いい。

今のところ、ダイソーのプチブロックでは、幻獣シリーズは4つで終わりらしい。今後も何か発売されるといいのになあ。

  

  

2023年7月16日 トッケビは日本人によって変質させられた!?

ウェブサイト「ファンタジィ事典」には韓国伝承の項目を設けているが、韓国の妖怪と言えば、最も有名なのはトッケビクミホだ。

トッケビについて触れると、どうしても、韓国人の歴史観、日本統治時代に対する複雑な感情にあてられてしまうので、何となく避けてきた。曰く、日本統治時代、日本人がトッケビを日本の鬼と同様、2本の角を生やし、トラのパンツを履き、金棒を持った姿で描いたために、トッケビの本来の姿が失われて、変容してしまったという。そのため、韓国本来のトッケビの姿を取り戻すべく、「トッケビ復元プロジェクト」なるものも動いている。

でも、妖怪というのは想像上の存在なので、常に変容するものだ。中国文化の影響もあるし、インド文化の影響もある。いろんな文化が混ざりながら、妖怪というのは形作られていく。日本文化の影響だけを排除しようとする思想には無理がある。

そもそも、クミホにしたって、中国の九尾狐であり、中国の妖怪を韓国の中でアレンジしたものだし、プルガサリも、中国のを韓国で独自に発展させたものである。

でも、トッケビを書かないと、何となく韓国伝承について触れたという気持ちになれないので、今回、思い切って、トッケビについてまとめてみた。

  

  

2023年7月14日 都市伝説を通じて、今、考えていること2

7月10日の記事の続き。

普段、あんまり意識はしないけれど、でも、本来、妖怪や怪物には必ず作者がいる。古代ギリシアのケルベロスペーガソスキュクロープスだって、神話上の怪物たちだけど、必ず最初に言及した人物がいるはずだし、広まっていく中で、影響力のある著述家が書いた記述が「正」になるパターンだってたくさんあったはずだ。分かりやすい例を挙げれば、今やハロウィンの代名詞みたいになっているドラキュラフランケン。これらにはブラム・ストーカーとメアリー・シェリーという明確な作者がいる。それなのに、ドラキュラもフランケンも、何となく、昔からいる由緒正しい妖怪のように市民権を得て、エンタメの世界で暴れ回っている。不思議なことに、ハロウィンの世界では、オオカミ男魔女は古い伝承に根差しているけれど、ミイラ男スケルトンゾンビは比較的、新しいホラー映画やゲームの文脈から登場している。シーツおばけも、その歴史は比較的新しくて、子供向けアニメの中で生まれたとされている。そして、ドラキュラやフランケンは小説の世界から持ち込まれているわけで、そういうごった煮がハロウィンの文脈の中では、当たり前のように定着している。

都市伝説もそういう側面があって、人面犬とか小さいおじさんなんかは、いろんな芸能人たちが、我こそが創作主だと主張している(笑)。ゴム男も、テレビで的場浩司が話題にしたのが最初で、その後、連鎖的に目撃情報が寄せられた。ニンゲンとかクネクネの場合、明らかに最初のインターネットの掲示板の書き込みが特定されている。このように、匿名でありつつ、作者が特定されてしまった場合、それは都市伝説なのか創作なのかの線引きが、とても不明確になる。でも、仮に誰かの創作であっても、一般に膾炙するときに、その創作性というか、作者の顔が見えなくなって伝わったら、きっと、それは都市伝説になるのだろう。ドラキュラやフランケンが昔からの妖怪の振りをしてハロウィンのお祭りに紛れ込んでいるような感じだ。山口氏の取り扱う都市伝説の内容は、実はそういうネットロアと呼ばれるものの割合が多いので、都市伝説の創作の境界が曖昧なまんま、ごった煮になって広まっている印象がある。個人の創作が、山口氏のような影響力のある著名人がネットの記事や書籍で取り上げることで拡散されて、都市伝説と化した場合、これは都市伝説なのだろうか。その辺が今っぽくて不思議な現象である。つまり、ボクからすると、何でもない個人のTwitterの書き込みを有名人がリツイートしてバズるみたいなイメージに近い。

正直に話すと、実はニンゲンとかクネクネがばっとネット上で拡散されたとき、ボクは「それって結局、個人の勝手な書き込みじゃん」と思って、あんまり興味を持てなかった。でも、それから1年、2年経って、だんだんと様相が変わってきて、一般に膾炙される都市伝説に昇華したときに、「あ、クネクネもニンゲンも都市伝説になったなあ」と感じた。当初の書き込みからは独り立ちして、勝手に発展していったからだ。そういう意味では、インターネット時代にわーっと生まれて広がった都市伝説の芽みたいなものを、山口氏がどんどん収集していて、それを朝里氏が、改めて今の視点で振り返って整理してくれているような印象がある。

多分、今後も、こうやってオンライン上でいろんな都市伝説や現代妖怪が量産されていって、定着するものと消えていくものとがあるのだろうな、と思う。

  

  

2023年7月10日 都市伝説を通じて、今、考えていること1

ここのところ、都市伝説について調査している。我が家には以下の本があって、それを下地にウェブサイト「ファンタジィ事典」に落とし込んでいる。

ここには載せていないけれど、2009年以降も、宇佐氏は定期的に本を出し続けていたし、並木氏も未確認生物やUFOの本と合わせて、都市伝説の本を出版し続けていた。山口氏も精力的にネット上でいろいろな情報を収集していて、定期的にいろいろと発信していた。でも、ここ最近は都市伝説と言えば朝里氏という感じ。朝里氏は都市伝説だけでなくて世界の妖怪や怪談、怪異など、幅広く手掛けているんだけど、結構、出版業界の勢力図が様変わりした印象がある。最近は犬も歩けば朝里氏というくらいたくさんの本を出版している。

実は、都市伝説に関して言うならば、ボクは松山氏、宇佐氏の頃のものが、一番、体感としてしっくり来る。並木氏は少し陰謀論寄りな雰囲気があって、「実はこの話の裏には……」みたいなオカルトライターっぽい語り方をするし、山口氏は雑多な感じで、何でもありという印象。そして、今、朝里氏の時代が来たという感覚。おそらく、山口氏の辺りが都市伝説としては転換点で、インターネットができて、SNSが発達して、都市伝説の広がり方が大きく変わったのだと思う。人の口から口へと広まっていく都市伝説は、やっぱり大きなうねりになるまでに時間が掛かって、その間にいろんなヴァージョンが生まれて、その中で面白いものが定着して収斂していく印象がある。伝播していくうちに、いろんな人の視点で揉まれて精度が上がっていく。でも、インターネット以降、オンライン上に拡散されると、その拡散速度はものすごく速くなって、発信者も多くなるので、何となく量産されて、あっという間に消費されていく。ぽっと出たものが、そのままコピペで広がっていくようなチープさもある。まさにクリーピーパスタだ。そういう雑多なものを、山口氏は精力的に拾い集めていた感じがする。そして、今、朝里氏の時代になって、そうやって拡散されたものの中で定着したものを拾い集めている印象がある。

  

  

2023年7月6日 プチブロック幻獣シリーズの3つ目は……

プチブロック幻獣シリーズの3つ目はフェニックスである。

フェニックスは古代ギリシアで信じられた「不死鳥」で、500年生きると火の中に飛び込んで死に、その後、復活する。

プチブロックでは、尻尾、翼、首などの部分に駆動部があって、いろいろなポーズが取れる。羽根の部分には金色のブロック、オレンジ・黄色などの透明ブロックが使われていて、非常にカラフルで格好いい。透明のブロックで台座が作られているので、駆動部を使って、いろんな空を飛んでいるポーズをさせることができるのが素敵だ。

中央に何か所か青い透明ブロックが使われているが、小学4年生の息子のツクル氏は「青いということはこの真ん中の部分は一番熱いということだよ」などとしたり顔で説明してくる。

  

  

2023年7月4日 都市伝説は「偏見」や「差別」の温床だ

ウェブサイト「ファンタジィ事典」は「世界各地の神話や伝承の事典。古代の神話から都市伝説やUMA(未確認動物)まで」をモットーに「ファンタジィ」に関する言葉を事典形式で整理していくウェブサイトだ。そのように「ファンタジィ事典」のトップページに標榜している。けれども、実のところ、あんまり「都市伝説」にはタッチしてこなかった。これは偏に「偏見」とか「差別」みたいなところに触れていくので、少しだけ怖さがあったからだ。

たとえば、牛女という妖怪は、屠場の娘という設定になっていて、明らかに「屠殺」に対する差別意識に根差している。つまり、牛を殺している家だから、牛の頭がついた女の子が生まれてもおかしくはない、という気持ちが含まれている。エイズ・メアリーなんて、そのままズバリ、エイズという病気を相手にしているので、非常にセンシティブだ。「性行為を介して意図的にエイズをばら撒く女性」というイメージなので、エイズ=性的放蕩という前時代的なイメージがあって、ものすごく取り扱いが難しいし、そういうのを「ファンタジィ」だと取り扱ってしまうのは、やっぱり、どこか後ろめたさがある。でも、結局のところ、エイズ・メアリーは妖怪なのだ。本当は存在しないのに、何だかリアリティがあって、怖くなって信じてしまう。そこに「ファンタジィ」の「ファンタジィ」たる所以がある。難しいのは、このエイズ・メアリーとかエイズ・ハリーとかは80年代後半に生まれた都市伝説だが、後になって、実在の事件が発覚してしまう。少なくとも、90年代後半に、Darnell McGeeやNushawn Williamsなどの複数の男性が、意図的にエイズを蔓延させた罪で逮捕されているし、1998年にはPamela Wiserという女性も同様の罪で逮捕されている。つまり、嘘から出た実ということになる。

ボクなんかは、マラウイに行ったときに、まさに「吸血鬼」の幻想と遭遇した。マラウイの田舎で、吸血鬼だと疑われる人が次々と村人たちに火をつけられて殺された。JICAは「吸血鬼」と呼んで、我々に避難を呼びかけていたが、実は現地ではBlood Sucker(ブラッド・サッカー)と呼んでいて、曰く、「最近、外国人と仲良くなって急に羽振りがよくなったあいつは、俺たちから血液を採取して、外国人に高額で売って儲けたんじゃないか」ということなのだ。まさに腎臓ドロボーの都市伝説に近くって、決して、ドラキュラ的なものを想像してはいけない。ああいうのも、本気でマラウイ人の田舎の人たちは信じて、暴徒と化したわけだから、笑いごとではない。

ミャンマー伝承をまとめていると、ハンセン病やくる病などへの恐れを表現した精霊たちがいて、こういうのをちゃんとまとめていくと、ああ、どちらにしても「偏見」や「差別」からは逃げられないな、と感じているところだ。だから、もう諦めて、そしてある程度は覚悟して、ここのところ、まとめて都市伝説を投稿している。

  

2023年7月2日 フィリピンは多民族国家であり、土着の精霊信仰がある。

ウェブサイト「ファンタジィ事典」ではここのところフィリピン伝承を整理しているところなので、頭の整理も兼ねて、少しだけフィリピンについてまとめておこうと思う。

フィリピンと言えば、英語ネイティブで熱心なカトリック教徒の国というイメージがある。厳格なカトリックなので、法律上、離婚制度がないというのも有名な話だ。でも、実際にはフィリピンは7,000もの島々からなる多民族国家で、180以上の民族が暮らしていて、それぞれに言語もたくさんある。

フィリピンは、オランダやアメリカに植民地支配され、一時は日本にも統治された歴史を持つが、そんな歴史の中で、独立運動の中心になったのがタガログ族だった。ルソン島を中心に暮らしていて、現在、公用語になっているフィリピン語は、タガログ語を標準化したものである。セブを中心としたヴィサヤ諸島にはヴィサヤ族が暮らしていて、セブアノ語を話す。ミンダナオ島の西部やスールー諸島では、ムスリムが暮らしている。歴史的には、インドネシアやマレーシアからイスラームが流入し、15世紀や16世紀にはフィリピンにスールー王国やマギンダナオ王国などのイスラーム国家が成立している。スールー諸島やマギンダナオに点在するこれらのイスラームの民族はモロ族と呼ばれている。その他、ルソン島の山岳部などに多数の少数民族がいて、現在でも独自の文化を残している。

実際、ボクは2014年に仕事でフィリピンに行った。そのときには、サンボアンガはイスラーム過激派の拠点になっていて、ミンダナオ島は護衛警官と一緒じゃなきゃ町中を歩けなかった。また、ルソン島の山岳民族が信じる先祖霊「アニト」とされる木製の人形がたくさん売っていた(後から調べたところ、必ずしもアニトはルソン島の少数民族だけに伝わるものではなくて、フィリピン全土で信仰されていた土着の精霊信仰のようだけれど)。

それぞれの民族には、それぞれの神話があったようで、たとえば、タガログ族では、バタラと呼ばれる創造神が最高神だとされる。ヴィサヤ族ではカプタンと呼ばれる天空神が最高神だ。その他、たとえばイフガオ族であればカブニアン神、ティンギアン族であればバガトゥラヤン神、ガダン族であればナノライ神、ヒリガイノン族であればラオン神が最高神であるらしい。当然、それぞれの民族は互いに影響を与えながらも、それぞれ独自の神さまと神話を持っていたらしい。その辺の詳細は、追々調査していかなきゃいけないなあ。

  

  

2023年6月30日 プチブロック幻獣シリーズの2つ目

ダイソーのプチブロックの幻獣シリーズの2つ目はユニコーンだ。

元々の一角獣の起源は古代ギリシアやローマで、たくさんの著述家が「モノケロース」とか「ウーニコルニス」などと言及しているが、これらは「インドサイ」のイメージを踏襲している。プチブロックのデザインは、中世のキリスト教時代のものだ。白馬としてのユニコーンがデザインされている。

このプチブロックのユニコーンもよく出来ていて、頭、首、四肢、尻尾の部分に駆動部があって、ある程度、自由に動く。四肢の関節部分も1か所、曲げられるようになっているので、色々なポーズをとらせることができる。たてがみや尻尾が青い透明ブロックになっているのも格好いい。

ちなみに、中世ヨーロッパの『フィシオロゴス』では、別に毛が青いわけではない。白馬の場合には、真っ白い毛並みであるし、実は古いものでは、茶色っぽいウマだったりする場合もある。

  

  

2023年6月26日 プチブロックに幻獣シリーズが!!

プチブロックに幻獣シリーズが出ていたらしい。調べてみると、去年の5月頃からダイソーで売られていたみたい。息子のツクル氏が見つけて欲しがったので、彼の分と自分の分とを買ってきた。現時点で4種類出ているみたいだけれど、1つ目は「ドラゴン」だ。早速、組み立ててみた。

赤い色のドラゴンで、タイプとしてはワイヴァーンの仲間っぽいデザインだ。脚が2つに翼が2枚。頭部からは2つの角が生えている。また、鼻のところからも1本、角が生えている。

首と翼、脚、尻尾の部分に駆動部があって比較的、自由に動く。尻尾も3か所で左右に曲げることができるし、脚の爪も広げることができる。目は青い透明パーツで、翼のところにはオレンジの透明パーツも使われている。よく出来ているなーと思った。

  

  

2023年6月24日 クリューサーオールが大人気!!

最近、「日々の雑記」を隔日で投稿しているが、それだけではなく、「ファンタジィ事典」も頻繁に更新しているつもりだ。学生の頃の情熱を取り戻している。そんなわけで、今までは更新だけ更新して更新しっ放しにしていたボクだけど、ちゃんとサイトを分析すべく、Googleアナリティクスを見たり、Google Search Consoleをチェックしたりしている。

今週になって、急にクリューサーオールの検索数とクリック数が増加した。クリューサーオールはギリシア・ローマ神話で、ペルセウスメドゥーサの首を斬ったときに。その首からペーガソスとともに飛び出してきた怪物で、黄金の剣を持って生まれたと記述されている。そして、怪物ゲーリュオーンの父親となった。古代ギリシアの文献では、それだけしか記述がない非常にマイナなよく分からない怪物だ。それなのに、ここ数日で20~30件、閲覧されている。何故だろう。何かクリューサーオールが登場するゲームやアニメがあったのだろうか……。誰か、テル・ミー。

  

  

2023年6月20日 強いピーチ姫って本当に必要!?

映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」について大絶賛のコメントをしたが、1点、ポリコレだと感じたのは、ピーチ姫の取り扱いである。そんな想いもあって、事前に、全体を通した映画の感想(ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー)と、ディズニーのポリコレの記事(そもそもアリエルはデンマーク人が演じるべきでは!?)を先に投稿しておいた。

マリオとピーチ姫の関係は、しばしば、ペルセウス=アンドロメダ型と称される。要するに、囚われのお姫さまを英雄が助け出すという典型的な構図で、ギリシア神話の英雄ペルセウス、アンドロメダ姫、そして怪物ケートスの図式が、そのまんま、マリオ、ピーチ、クッパに対応しているわけだ。クッパは退治され、ピーチ姫は救出され、マリオは英雄として讃えられる。この構図が非常に古臭いわけだけど、でも、そういう構図の物語になっている。

でも、今回の映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」では、ピーチ姫は、マリオと戦う強い女性に修正されている。キノコ王国の危機に自ら立ち上がり、王国を救うべく冒険に繰り出す。こういうのは、ある種のポリコレの押し付けだと思う。女性が助けを待つだけの弱い存在である必要はないが、そういうか弱い女性がいたっていいのだ。それを敢えてキャラクタを変更して、強いピーチ姫像を描こうとしたのは、やっぱりその背後にポリコレ意識が見え隠れする。それが透けて見えてしまった時点で、物語の世界に入り込めないので、失敗だと思う。

そして、その癖、たくさんの人質を前に、ピーチ姫は結局、クッパに屈服して、結婚を承諾し、最後にマリオに救出される。最終的には、ペルセウス=アンドロメダ型の構図の中に落とし込まれてしまって、何のこっちゃ、と思ってしまう。そこだけが、唯一、この映画に対して不満を持ったところである。

  

  

2023年6月16日 そもそもアリエルはデンマーク人が演じるべきでは!?

ポリコレが叫ばれる昨今である。Political Correctness(ポリティカル・コレクトネス)《政治的正しさ》という意味で、特定のグループを差別したり、誤解を招いたりしないように、中立的な表現をすることが社会的に求められている。でも、近年、ポリコレを前面に押し出して、それとは真逆の、ある種のマイノリティの側だけの立場に立った主張をする文化が横行している気がする。それはそれで中立ではないと思う。

少し前に話題になったのは、実写『リトル・マーメイド』だ。主人公のアリエルにハリー・ベイリーが起用されて、色んな意味で話題になっている。ボクは黒人起用を批判するつもりもないし、歌唱力で人選するディズニーの方針も、それはそれでよいとは思う。でも、たとえば、日本の時代劇で、芝居が上手というだけで白人や黒人が起用されてチャンバラを始めたら、それはそれで見ていて違和感があるし、気になってしまう。

そもそものディズニーの『リトル・マーメイド』は、アンデルセン童話の『人魚姫』を下書きにしている。『人魚姫』は1837年にデンマークのハンス・クリスチャン・アンデルセンが発表した童話で、英語の『リトル・マーメイド』の名前でよく知られているが、本来、デンマーク語では『Den lille Havfrue(デン・リレ・ハウフル)』である。havfrue(ハウフル)はデンマーク語で《海の女》という意味で、人魚のことを指している。つまり、リトル・マーメイドの主人公は、デンマーク伝承に登場する人魚の妖怪ハウフルなのである。

当然、デンマーク伝承のハウフルは、昔のデンマーク人が想像した妖怪なので、当時のデンマーク人の肌の色で想像される。それは変なことではない。日本伝承の人魚の神社姫の頭が日本人女性で想像されるのと同じだ。だから、デンマーク伝承に根差した『リトル・マーメイド』の人魚アリエルが、デンマーク人っぽい風貌であることには妥当性がある。

だから、いくらポリコレと言っても、白人が演じることに妥当性があるキャラクターまで、黒人に置き換える必要はない。逆に言えば、それは逆差別だ。白人の枠を奪うことになるし、より一層、黒人と白人の断絶というのか対立を強める結果になりそうだ。

ディズニーのプリンセスが黒人であることは、これまで差別されてきた黒人たちへのエールになるという主張もよく分かる。でも、仮にそうであるならば、真っ正面から新しい黒人プリンセスの物語を作ればいいのである。何なら、黒人たちの間に昔から伝わる面白い昔話を発掘した方が、彼らの文化や歴史を掘り起こすことになって、大きな意味があるような気がする。

  

  

2023年6月10日 アスワン・プロジェクト

昔から犬のクンクン by 河村賢一というウェブサイトがあって、フィリピン在住の管理人が、日本語でフィリピン文化やフィリピン情報を発信してくれていた。そこにかなり詳細に「フィリピンの妖怪」がエンタメたっぷりにまとめられていた。ボクは結構、フィリピンの妖怪に関しては、そこの情報を最初の足掛かりにして、その後、英語やタガログ語で調べてみて、情報を拾ってまとめていた。

最近、また面白いことがしたいなー、と思って、改めて「フィリピンの妖怪」を整理しようと思い立った。何しろ、ボクは2014年から2016年までに、8回もお仕事でフィリピンに行っていたのだ。フィリピンの雰囲気はよく分かる。あの国を跋扈する妖怪たちは、容易に想像ができる。それでもう一度、フィリピンの妖怪を調査し始めたら、「The Aswang Project」というウェブサイトを発見した。YouTubeもある。結構、細かくフィリピンの伝承上の妖怪たちを調査して、まとめてくれている。特にA Compendium of Creatures from Philippine Folklore & Mythology(フィリピンの神話・伝承の生き物の概要)というページがいい。

単純に「ああ、これは凄いウェブサイトだ」と思った。こういう伝承の類の妖怪は収集が要だ。日本でも、その昔、民俗学で柳田國男などの先人たちが足を使ってフィールドワークをして、妖怪や怪異の情報を収集してくれた。だから、日本は妖怪の情報が豊富にある。今はオンラインの時代だ。フィリピンでは、こうして「The Aswang Project」が始動して、オンライン上にフィリピン各地の情報を集めることができたら、ものすごい価値のあるサイトになる。まだ辞書っぽい印象もあって、解説としては物足りない側面もあるんだけど、妖怪に関わる固有名詞を大量に集めてくれているのは素敵だ。しかも知名度のある妖怪は、分析記事に書いているライタもいて、そこにリンクが貼られていたりする。YouTubeなんかでも仰々しく情報発信していて面白い。

日本では、あんまりフィリピンの妖怪って知られていないけれど、こういうプラットフォームがフィリピンに出来ているのなら、日本にフィリピンの妖怪を紹介するのも一興だなあ、と思った。しかも、YouTubeの英語を聞いていても、ちゃんと聞き取れるくらいにはボクの英語も上達している(笑)。

そんなわけで、引き続き、今年はミャンマーの37柱の精霊ナッも更新は続けつつ、一方でフィリピンの妖怪もフォローして、こういうマイナな妖怪に関しては、絵も添えて、イメージを強く喚起していく方向で進めてみようかな、と思っている。

  

  

2023年6月8日 自分のウェブサイトを分析中。

4月の頭くらいに新しいパソコンを調達したんだけど、バタバタしていて、セットアップがいろいろと追いつかず、このたび、ようやく腰を据えて対応した。IllustratorやPhotoshopをインストールした。Google Chromeでログインしてお気に入りを移し替えたし、SNSも全てちゃんとログインをできるようにした。そして、ようやくGoogleのSearch ConsoleやAnalyticsを新しいパソコンでも見られるように設定した。

ずっと低空飛行だったウェブサイト「ヘタっぴなアルコール蒸留」だったんだけど、4月に日々の雑記の隔日キャンペーンを始めてから、アクセス数が緩やかに右肩上がりだ。こういう雑記にも、一定の効果があるのだろうか。更新頻度もSEOのひとつのファクタになるので、そういう要素で、Google先生なんかが反応してくれているのかもしれない。

被リンクがたくさんあるページは、ボクが真摯に書いた記事であることも、改めて確認できた。例えば、ゴブリンノームアーヴァンクなんかが評判がいいので、こういう記事を増やしていけばいいのだと再認識した。最近、少しだけ原点回帰して記事を書いているので、そういう意味では、この頃の感覚に近いイメージで執筆できているので、希望が見いだせた。

逆に、最近、力を入れていた南米の妖怪ミャンマーの妖怪は全然、かすっていない。フィリピンの妖怪も、あんまり見られていない。まあ、そりゃあそうか。でも、これはこれで、ボクが好きでやっていることなので、続けていこうかな、と思っている。実は、こういうマイナな妖怪こそ、絵にして提示して、知名度を上げていこうかな。今のところはそんなことを考えている。その名も、マニアックさをイラストで乗り越えていこう作戦であるが、さてはて。

  

  

2023年5月27日 ヨーウィーはトカゲと虫の混成獣なのか!?

今日はちゃんとウェブサイト「ファンタジィ事典」の話。アボリジニ伝承に「ヨーウィー」という怪物が登場する。実はオーストラリアには2種類のヨーウィーの伝承があって混乱するんだけれど、イエティみたいな獣人型のヨーウィーではなくって、爬虫類型のヨーウィーの話をしている。このヨーウィーは6本脚のトカゲの怪物なんだけど、しばしば、昆虫のような脚で描かれる。

でも、海外のウェブサイトを見ると、結構、普通に6本脚のトカゲで描かれていたりする。サイズも思った以上に大きくて、複数の部族が集まって、総がかりで戦って退治していて、まるで洞窟に棲み、村を襲うドラゴンのようなイメージである。Wikipediaの記述も、特に昆虫の脚とは明示されていない。さてはて。

実は明確に「昆虫の脚」という表現をしているのは、草野巧氏だ。『幻想動物博物館』(1993年)では、

ヨーウィーはカブト虫のように、とげとげした六本の足を持った鱗のある巨大なトカゲである。

と記載されている。以降、『幻想動物事典』(1997年)では

犬くらいの大きさがあり、身体つきは蜥蜴のようだが、胴体には鱗があり、蛇のような尾がある。奇妙なのは足で、かぶと虫のようなとげとげの足が6本ある。

と書かれている。

参考文献には『想像と幻想の不思議な世界』が挙げられている。これはオーストラリア在住のマイケル・ページとロバート・イングペンの共著の辞典である。英語のタイトルは『Encyclopedia of things that never were』である。1985年にイギリスで発行されている。日本語訳は教育社から1889年に出版されている。ページの文章、イングペンのイラストでまとめられているが、そこにヨーウィーが登場する。

オーストラリアの夜行性の生き物。爬虫類と昆虫の中間の形態をしているらしい。目撃者は、昆虫のような6本の足を持ち、頭はオオトカゲで、胴体は爬虫類のようなうろこに覆われ、ヘビのような尾をしていたと言っている。

とあって、イングペンはアリのような身体にトカゲの頭、ヘビの尾を生やした怪物を描いている。草野巧はこれを参考にしたのだろう。

セガサターンの『真・女神転生デビルサマナー』(1995年)では、妖虫としてヨーウィーが登場していて、その後、2021年には『遊戯王』のカードにも登場した。これらの作品でも、昆虫の脚を持った爬虫類の怪物として描かれている。

マイケル・ページもロバート・イングペンもオーストラリア在住の作者だから、一見するとアボリジニ伝承に関する情報は正しそうな印象を受けるが、虹蛇のユルルングルの記述などもほとんどなくて、どこまで信用していいのかはよく分からない。そもそも「昆虫のような6本の足」という部分をマイケル・ページがどのような意図で書いたのかはよく分からない。でも「6本脚であることがまるで昆虫のようだ」とも読める。ロバート・イングペンは明確にアリのような身体を描いているが、果たして、ロバート・イングペン以前にこのような昆虫と爬虫類の混成動物としてのヨーウィーを描いた人がいるのだろうか。

そんなこんなで、「ファンタジィ事典」の記事をどのようにまとめるか悩んでいる。

  

  

2023年5月13日 知的好奇心を掻き立てる。

本屋に『中野京子の西洋奇譚』(著:中野京子,中公新書ラクレ,2023年4月)が平積みになっていた。ハードカバーで出版されていたのは前から知っていたが、ボクは文庫や新書が好きなタイプなので、この機会に買ってみた。

カラーの絵が豊富に載っていて、それも楽しいし、いろんな文献に当たって調査されているのも好印象。「ハーメルンの笛吹き男」や「ジェヴォーダンの獣」、「ファウスト伝説」などの古い話もあれば、「コティングリー事件」やロバート・ジョンソンの十字路の悪魔などの比較的、新しい話もあって、全部で21の西洋奇譚が載っていた。新旧あるところが面白かった。資料性も高くて、ウェブサイト「ファンタジィ事典」の参考文献としても十分活用できそうな印象も受けた。

その意味で、とても興味深かったのが「マンドラゴラ」の章だ。マンドラゴラは、人間の姿に似た根を持つ植物で、引き抜くときに大きな悲鳴を上げ、その悲鳴を聞くと気が狂うとか死んでしまうと言われている。だから、犬に引き抜かせて、自分は耳を塞いでおく。引き抜いた植物は毒にも薬にもなってとても有用だとされる。その辺までは、おそらく、何となくみんなが知っているところかと思う。でも、『ロミオとジュリエット』でジュリエットを仮死状態にした薬がマンドラゴラだとか、旧約聖書での言及、ローマ時代の挿絵、古代エジプトのレリーフ、映画「ハリーポッター」での描写など、さまざまなマンドラゴラについて書かれていて、面白かった。いろいろと調べて、確認したいなと思った次第。

こういう風に、読んで、知的好奇心を掻き立ててくれる本に、ボクは魅力を感じてしまう。

  

  

2023年5月9日 久々にイラストを描いてみた。

ゴールデン・ウィークで時間もあったので、イギリス伝承のインプを描いてみた。相変わらず、iPhoneにタッチペンという状況。彩色もしてみたが、どうやって塗るのが正解なのかよく分からない。ClipStudioでの色の塗り方を勉強した方がよいかなあ。ガリガリな感じとかは表現できたので、その点は気に入っている。

  

  

2023年4月23日 原点回帰:自分らしい文章を書くこと。

ウェブサイト「ファンタジィ事典」は「世界の妖怪」に関わる情報を集めてまとめているウェブサイトだ。でも、本音を述べると、Wikipediaが登場したときに、その存在意義を見失っていた。何しろ、ボク個人が一人で集められる情報なんて限られているし、アクセスできる情報も限られている。複数の人が同じように情報を集めてまとめるなら、圧倒的に数の論理でWikipediaの勝ちだ。

特に、一時期、北欧神話に関するWikipediaは、レベちでクオリティが高くなった。かなり専門家や専門家に近い人が中に入ったのだろうなという印象があって、情報の出典明示度が極めて高くなった。原典のどの部分にどのように書いてあるのかが、Wikipedia上で明確に分かるようになった。正直、これはお手上げだな、と思った。

そんなことを頭の片隅で考えながら、数年間、漫然と項目を更新していたような気がする。極力、読める範囲で原典を読む。原語にこだわる。そして、絵を描いてみる。でも、ChatGPTが登場して、もう、そういうのはやめようと思った。情報量で勝負するのではなく、自分らしい文章で自分らしい感性で記述することが、唯一の価値だ。やっと、そういう境地に至って、最近、自由に更新している。

そうしたら、また昔みたいに楽しくなって、生き生きとファンタジィ事典を更新している。「日々の雑記」を隔日で開始したのも、そういう背景がある。文章を自由に書いて、記事にする。当たり前の出発点に、再び戻ってきた。

  

  

2023年4月21日 隠棲動物学

4月5日に13歳の少女が目撃したネッシーの画像が、このたび、「オフィシャル・ロッホ・ネス・モンスター・サイティングス・レジスター」に公式認定されたというニュースが流れてきた。目撃情報を公式に認定する仕組みがあるというのがそもそも面白いし、21世紀のこのご時世に、「未確認生物(UMA)」というジャンルがまだ健在なのかと感じる人もいるかもしれない。

日本では、「未確認生物(UMA)」はオカルトとかファンタジィのジャンルに区分されて、妖怪や幽霊、宇宙人などとごちゃまぜになって扱われがちであるし、ボクのウェブサイト「ファンタジィ事典」も御多分に洩れず、未確認生物も含めて、「世界の妖怪」と定義して取り扱っている。

海外では、隠棲動物学(Cryptozoology)と言って、学問ジャンルとして扱われていて、アメリカには「国際隠棲動物学会」も設置されている。こういう隠棲動物の事例としてよく引き合いに出されるのが「ゴリラ」だ。ゴリラは当初は「隠棲動物」として取り扱われていて、19世紀に「発見」された。コモドオオトカゲも恐竜の生き残りとされていて、20世紀になって「発見」された。コビトカバもそう。パンダやオカピもそうだ。日本だと、イリオモテヤマネコが同様のジャンルだ。

つまり、未確認の生物が実際に存在することは論理的にはあり得る。そういう学問が隠棲動物学……なのだが、ネッシーの場合はどうだろうなあ……。植物プランクトンの量、魚類の量などから、大型肉食獣の生存は困難だとか、肺呼吸の生物だと仮定すると湖面に顔を出す頻度が低いとか、1987年の大規模なソナー調査の結果、大型生物が発見されなかったとか、いろいろと科学的裏付けのある否定がたくさんあって、やっぱり、少しだけオカルトっぽい印象がある。多分、隠棲動物学で真正面から取り扱うべきジャンルではなくて、イロモノではないかな、とは思う。

13歳少女のネッシー画像が2023年初の公式認定 4月5日午前11時52分に目撃(東スポWeb)

  

  

2023年3月14日 粛々とミャンマーの精霊信仰について整理中

どこにニーズがあるのかも、誰に刺さるのかもよく分からないまんま、粛々とミャンマーの妖怪を更新し続けている最近のボクである。日本ではミャンマーの妖怪の知名度は高くない。ミャンマーの地理や歴史もよく分からない。ミャンマーのくるくる文字だって、読めない。そういうのをちゃんと丁寧に調べて積み上げていけば、それなりに資料性は高くなる。だから、やってみる価値はあるのではないか。そう信じてやってみている。

ミャンマーの公式の神々である「37柱の精霊ナッ」のドゥッタバウン群、タビンシュエーティー群、バインナウン群をまとめ終わって、今、ようやくアノーヤター群に着手した。ある意味では「37柱の精霊ナッ」の大枠を作ったのがパガン朝のアノーヤター王だとすれば、そのアノーヤター王に関わる精霊たちであるアノーヤター群は本丸に相応しい。日本人でも、観光の本なんかで取り上げられることがあるので、もしかしたらタウンピョン兄弟(シュエピーンチーシュエピーンゲ)を知っているという人もいるかもしれない。彼らはアノーヤター群の中核をなす精霊たちだ。実はミャンマーでは、タウンピョン兄弟の物語もそうだが、彼らの父親である超人ビャッタの物語もよく知られていて、ビャッタとビャッウィの兄弟の物語は映画になったり、絵本になったりしている。

「37柱の精霊ナッ」が整理できたら、イラストも描いてみて、ひとつの完成形を提示したい。ファンタジィ事典の目指す方向性みたいなものを示せればよいな、と思っている。