ジンジャヒメ

分 類日本伝承
名 称 神社姫(ジンジャヒメ)【日本語】
姫魚(ヒメウオ)【日本語】
容 姿巨大な人魚。
特 徴豊作と疫病の流行を予言し、自分の姿を描くように伝えた。
出 典

アマビエよりも古い疫病退散の由緒ある予言獣!?

ジンジャヒメのイラスト

神社姫(ジンジャヒメ)は、文政2年(1819年)4月に肥前国(現在の長崎県・佐賀県)の浜辺に現れた人魚の妖怪。全長約6メートルで、2本の角と人の顔を持つ。遭遇した人間に「私は龍宮の使者・神社姫で、これから7年は豊作だが、その後、コロリが流行する。けれども私の写し絵を見れば難を逃れられ、長寿を得られる」と予言した。江戸時代中期の医師・加藤曳尾庵の筆記『我衣』などに登場する。

此名を神社姫と号す龍宮御使女なり
于時文政二卯四月九日肥前国葦野濱上る因州八兵衛と申もの是を虫捕いたし 我は是神社姫龍宮よりの御使いなり 当年より七年の間豊年 しかれ共コロリと云病時行 人数多か死事有んへし 我姿を画に八を見る人を右の病をのかるゝ事疑ひなしと云々

江戸時代の摺物

類似のものとして、水野皓山『以文会随筆』には龍宮の使者・姫魚(ヒメウオ)が登場する。これは全長4~5メートルほどの金色の鱗を持つ人魚で、神社姫と同様にコロリの流行と大量死を予言し、自分の写し絵を家の門に貼って難を逃れられると伝えたとされる。他にも『藤岡屋日記』などでも、越後国(現在の新潟県)で人魚が流行病を予言している。

ジンジャヒメはアマビコ、クダンなどに引き継がれる!?

その後、このような疫病退散の予言獣はとしてアマビコなどの3本足の猿のような妖怪が流行する。神社姫と同様、豊作と疫病を予言し、自分の写し絵を描かせる。猿の妖怪なのに海に出現する違和感があるため、おそらく、アマビコは神社姫の影響を受けて誕生した予言獣である。3本足の人魚の妖怪であるアマビヱは、名称と3本足の側面はアマビコ、人魚の姿は神社姫の影響を受けて生まれた予言獣であろう。

さらには江戸後期にはクダベ、クタヘ、クダンなどの人間の顔を持ったウシの妖怪が同様の予言をした。人の頭を持つ魚である神社姫に対して、これらの予言獣は人の頭を持つウシである。このクダンの写し絵は大流行したが、すでに流行期の随筆などで「神社姫に似せた創作」などと看過されている。

《参考文献》

Last update: 2021/01/16

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