ゾンビ
分 類 | その他 |
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Zombie(ゾンビ)【英語】 | |
容 姿 | 腐乱死体の怪物。 |
特 徴 | 死体が復活して動いたもの。痛みを感じない。 |
神官によって墓場から掘り起こされて使役される死体!?
死んだはずの人間がふらふらと街を歩いている。これがゾンビである。しばしばハイチなどでは、「マーケットでゾンビを見た」などの目撃談が語られる。ゾンビという名称は、ンザンビ(Nzambi)というコンゴの神さまに由来していて、どうやら「不思議なもの」や「お化け」のようなイメージの言葉のようだ。
ゾンビといえば、スプラッタ映画に登場する動く腐乱死体のことを指すと思う人が多いかもしれないが、このゾンビの起源は西インド諸島に伝わるヴードゥー教の民間伝承にある。西インド諸島では、ボゴールと呼ばれる神官が、死んでからまだ間もない死体を墓場から掘り出して、その名前を呼ぶことで、復活させることができると信じられていた。そして、こうして復活した死体は、農場などに売りに出されて、奴隷として使役されると考えられていたのである。だから、ゾンビは口も利けないし、生前の記憶も持っていない。ただ神官のいいなりになって働くだけである。西インド諸島の人々は、したがって、神官によって死人がゾンビにされないように、死人の手にナイフを握らせたり、死者を傷つけたりして対処していたという。
もともと、ヴードゥー社会では、コミュニティで重大な罪を犯した人間を罰する刑罰の1つとしてゾンビがあった。神官(ボゴール)がつくったゾンビ・パウダーを肌に塗り込まれ、仮死状態にさせられて、自我のない奴隷として農場などで労働に従事させられると考えられていたのである。ゾンビ・パウダーにはフグ毒のテトロドトキシンが含まれていて、これが絶妙なバランスで仮死状態を生み出すなどと説明されることも多いが、その信憑性のほどは分からない。また、コミュニティから社会的に抹殺された人間のことを指してゾンビと呼んでいるのだという説もある。
スプラッタ映画の主役といえばゾンビ!!
このヴードゥーの動く死者という伝承をもとにして、ジョージ・アンドリュー・ロメオ監督が、映画で腐乱死体の怪物を登場させた。腐乱死体が次々と仲間を増殖しながら、襲ってくるというこの強烈なイメージは、現在の多くの創作にも踏襲されている。緩慢な動きでふらふらと歩き、頭や背骨を破壊されるか、炎で燃やされるまで、疲労することもなく動き続ける。そして人間を傷つけることで感染させ、次々と仲間を殖やしていく。これが現在のゾンビのイメージである。けれども、ヴードゥー教の本来のゾンビというのは、神官にコントロールされているので勝手に動き回らないし、人間を襲って仲間を増やしたりはしない。また、死んで間もない姿なので、本来は腐乱死体なわけでもない。死んだはずの人間が別の場所で活動していたという、まさにお化けに出くわしたような奇妙な体験こそが、ゾンビの本質だったのである。
ちなみにアイオワ州にはゾンビ・ウォークというイベントがあるらしい。ゾンビの格好をして街を練り歩くチャリティ・イベントなのだという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
Last update: 2011/05/04