インプ
分 類 | ヨーロッパ伝承、イギリス伝承 |
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imp(インプ)【英語】 impet(インペット)【英語】 | |
容 姿 | 子供くらいの背丈で色黒の肌。尖った耳、矢尻のような尻尾を持つ。額から角を生やし、コウモリの翼を持つことも。 |
特 徴 | 悪戯好きの妖精。下級の悪魔。魔女の使い魔。 |
出 典 | - |
悪魔に従う小悪魔、魔女に使役される!?
インプは古代ヨーロッパの伝承に伝わる悪戯好きの妖精、あるいは小悪魔である。一般的には、子供くらいの背丈で、色黒の肌で、尖った耳を持ち、矢尻のような尻尾を持つ。額から角を生やし、コウモリのような翼を生やした姿で描かれることもある。元々は妖精的な側面が強かったが、次第に悪魔的な側面が強くなり、16世紀頃には下級の悪魔と同じような意味となり、17世紀頃には魔女の使い魔(ファミリア)としての小悪魔を意味するようになった。
イングランドのリンカンシャー州リンカンでは、大聖堂の建設を妨害しようと悪魔が2匹のインプを引き連れて現れ、大騒動になった。天使が現れ、インプたちは石を投げたが、すぐに石化してしまったという。現在でも、大聖堂には石化したインプが残されており、飾られている。
impは《接ぎ木》を意味する古英語に由来し、キャサリン・ブリッグズは、インプはサタンから枝分かれした小悪魔を意味すると説明している。この説をとれば、インプは最初から悪魔として生まれたということになる。イギリスでは古くからさまざまな妖精が信じられていたが、キリスト教が持ち込まれて以降、しばしば、これらの土着の妖精は悪魔と見做されるようになったので、妖精が悪魔に変貌していく歴史の中で、インプが生まれたということなのかもしれない。
《参考文献》
- 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2023/04/12