ヨーウィー

分 類オセアニア伝承(アボリジニ)
名 称 Yowie(ヨーウィー),Whowie(フーウィー),Wowie(ウォーウィー)
容 姿6本脚の巨大なトカゲの怪物。体長は6メートルもある。
特 徴夜行性で、人間や家畜を襲って喰らう。
出 典

6本足の巨大なトカゲの怪物!?

ヨーウィーといえば、一般的にはオーストラリアの毛むくじゃらの獣人UMAを思い浮かべる人がいるかもしれないが、それはヨーウィー(獣人型UMA)で説明することにして、この項で説明するのはアボリジニ伝承に登場する6本足の爬虫類の怪物である。この怪物はオーストラリアの南東部にあるリバリーナ地域のマレー川に棲息しているとされる。全体的な姿はゴアナと呼ばれるオオトカゲの仲間に似ているが、その体長は6メートルほどと巨大で、奇妙なことに足が6本生えていた。そして、頭はカエルで、その大きな口で獲物を喰らうのである。ヨーウィーは夜行性で、夜になると6本の足で不気味な音を立てて這い回る。この不気味な怪物は日中はマレー川沿いの洞窟に棲んでいて、暗くなると獲物を探して出没し、人間や家畜などを襲うという。

あるとき、村はヨーウィーの襲撃でたくさんの人が殺されてしまうので、どこか別の土地へ引っ越すことも検討した。しかし、村の長老が戦うことを選択し、村人たちは周辺の部族も集めて、ヨーウィー狩りを開始した。ヨーウィーの足跡を追って洞窟を突き止めると、たくさんの薪を洞窟の入り口に積み上げて火を放った。煙で燻されて、たまらずに洞窟の外に出てきたヨーウィーは、炎で大火傷を負った。そこを村人たちは槍や斧、ヌラヌラと呼ばれる棍棒で攻撃し、見事にヨーウィーを退治したという。ヨーウィーは致命傷を負って、洞窟の奥に逃げ込み、二度と現れなかったという。

ヨーウィーは爬虫類と昆虫の怪物!?

しばしば、ヨーウィーはオオトカゲの身体からカブトムシのような昆虫の脚を6本生やした不気味な姿の怪物として説明されることが多い。これはオーストラリア在住のマイケル・ページとロバート・イングペンによる『Encyclopedia of Things that Never Were(創造と幻想の不思議な世界)』(1985年)に登場している。ページは「昆虫のような6本の足を持ち、頭はオオトカゲで、胴体は爬虫類のようなうろこに覆われ、ヘビのような尾をしていた」と書いていて、イングペンがアリのような身体にトカゲの頭、ヘビの尾のような不気味な怪物の絵を添えている。この昆虫と爬虫類の混成動物であるヨーウィーは、昆虫の脚でガサガサと這い回るので、非常に気持ち悪く、それはそれでとても魅力的なモンスターに仕上がっている。

この『想像と幻想の不思議な世界』を参考文献に、草野巧氏は『幻想動物博物館』(1993年)で「ヨーウィーはカブト虫のように、とげとげした六本の足を持った鱗のある巨大なトカゲである」と紹介していて、セガサターンの『真・女神転生デビルサマナー』(1995年)では、妖虫として、ヘビのような身体から6本の昆虫の脚が生えた姿で作中に登場している。

《参考文献》

Last update: 2023/05/21

サイト内検索