ハウフル

分 類ヨーロッパ伝承(デンマーク伝承/ノルウェー伝承)
名 称 havfrue(ハウフル)《海の女》【デンマーク語】
容 姿上半身は人間、下半身は魚の姿の人魚。
特 徴海に棲む。予言の能力を備える。人間の男性を誘惑して水中に引き込む。
出 典アンデルセン『人魚姫』(1837年)ほか

ハウフルは『人魚姫』に登場する人魚!?

『人魚姫』と言えば、1837年にデンマークのハンス・クリスチャン・アンデルセンが発表した童話である。『リトル・マーメイド(The Little Mermaid)』の呼称でよく知られているが、本来、デンマーク語では『Den lille Havfrue(デン・リレ・ハウフル)』である。havfrue(ハウフル)はデンマーク語で《海の女》という意味で、人魚のことを指している。ハウフルの男性版はhavmand(ハウマン)《海の男》である。

デンマークの首都コペンハーゲンには「人魚像」があり、世界3大がっかりの観光地とされているが、その人魚像はこのアンデルセン童話のハウフルである。

ハウフルには予言の能力があり、ハウフルとの遭遇は暴風雨の前兆である。また、デンマーク王のクリスチャン4世の誕生を予言したことで知られる。また、海辺の男性の前に美しい姿で出現し、海に誘い、そのまま海底の世界に連れていくこともある。当然、彼が地上に戻ってくることはない。

イギリスでは、女性の人魚はマーメイド、男性の人魚はマーマンと呼ばれていて、ほとんどデンマークのハウフルやハウマンと特徴は変わらない。しかし、ブリッグズは、イギリスの人魚に比べて、デンマークなどのスカンディナビアの人魚は性格が穏やかだと分析している。イギリスの人魚は人間を喰らう恐ろしい側面を持つが、スカンディナビアの人魚は人間を海に攫うが、喰らうような伝承は知られていない。また、イギリスのマーマンは美しいマーメイドに比べて醜く、乱暴だとされるが、ハウマンに関しては、緑か黒の髪の毛と髭を備えた美男子で、善良だとされる点でも異なる。

《参考文献》

Last update: 2023/04/22

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