フランケンシュタインズの怪物

分 類近代文学
名 称 Frankenstein's creature(フランケンシュタインズ・クリーチャー)【英語】
容 姿2.4メートルの巨体と醜い姿をした怪物。
特 徴死体を繋ぎ合わせてつくった人造人間。
出 典メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(1818年)ほか

若きマッドサイエンティスト、人造人間をつくる!?

フランケンシュタインの怪物は、メアリー・シェリーのゴシック小説『フランケンシュタイン』に登場する怪物。科学者を志す学生のヴィクター・フランケンシュタインが、化学と錬金術を組み合わせて、死体を繋ぎ合わせて創造した人造人間である。2.4メートルと巨体で、均整が取れずに異様にゆがんでいて、醜い。

若きマッドサイエンティスト、怪物をつくる!?

自然科学を学ぶ若いヴィクターは、次第に生命の創造に魅了され、あるとき、理想の人間の設計図を完成させ、墓場から人間の死体を盗み出すと、それを繋ぎ合わせて人造人間をつくる。誕生した人造人間のあまりに醜い容貌に、ヴィクターは研究所に怪物を残したまま故郷のジュネーブに逃走する。しかし、怪物は強靭な肉体で生き延び、山の中を彷徨い、盲目の老人の元に身を寄せ、言葉を覚え、教養を身につける。しかし、老人の家族に見つかって追い出される。逃げる途中、川で溺れる少女を助けるが、少女を襲っていると勘違いされて銃で撃たれる。そして、研究所に戻った怪物は、創造主がヴィクターであることを知り、ヴィクターを探し求める。

狂った怪物は絶望する!?

怪物はヴィクターの元に辿り着くが、醜さから人々に忌み嫌われ、迫害される。そして、遂にヴィクターの弟を殺してしまう。自己の存在に悩む怪物は、ヴィクターに自分の伴侶を創造することを要求し、この願いが叶えられれば、二度と人間の前に姿を現さないと約束する。ヴィクターはこの依頼を引き受け、もうひとりの人造人間の創造に取り掛かる。しかし、その途中、怪物がもうひとり増えることが恐ろしくなり、作業を放棄する。怒った怪物はヴィクターの友人や妻を殺す。ヴィクターは復讐のために怪物を追って北極圏に向かい、海に転落したところを北極探検隊の船に救助された。しかし、ヴィクターは深刻な肺炎にかかって息を引き取る。怪物は船に乗り込んできたが、ヴィクターの遺体を前に絶望し、自ら命を絶つべく、姿を消す。

身勝手な創造主と、創造主の愛を得られずに絶望する被造物の悲しさを描いた物語である。

継ぎ接ぎの皮膚、突き刺さったボルト!?

現在、フランケンシュタインの怪物は、継ぎ接ぎだらけの皮膚で、特徴的な四角い頭を持ち、しばしばそこにボルトが突き刺さったようなデザインで描かれることが多い。この現在のイメージはユニバーサル・ピクチャーズの映画『フランケンシュタイン』(1931年)が演じた俳優ボリス・カーロフのイメージを踏襲している。原作では、巨体で醜い以外に、具体的な記述には乏しかったが、監督のジェイムズ・ホエールの指示に基づき、ジャック・P・ピアースがメイキャップして、現在、定着しているようなイメージに仕上がった。人造人間であることを強調するため、全身の皮膚に縫い目だらけにしており、また、特徴的な四角形の頭部は、脳を入れやすくするためのアイディアだったとされる。このイメージが後世に大きな影響を与えた。

また、現在のフランケンシュタインの怪物は知性が低く、あまり流暢に喋ることができず、凶暴な怪物として描かれることも多いが、このイメージも映画『フランケンスタイン』の影響が大きい。元々、原作では複数の言語を習得するなど、知的な存在として描かれている。感情も豊かで、怪物は人間社会に適合しようと努力し、人間に拒絶され、絶望する。そして、人生を分かち合う伴侶の求める。しかし、この映画では、犯罪者の脳を移植し、発話障害を思わせる描写になっている。

《参考文献》

Last update: 2021/05/29

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