2026年9月21日 オプシンとチョンサ
コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』を参考に、朝鮮半島の妖怪たちとしてオプシン(業神)とチョンサ(天使)を追加した。しばらくは、こうやって朝鮮半島の妖怪とベトナムの妖怪を中心に項目を拡充させつつ、日本の妖怪と魔法書文献の悪魔をフォローしていこうと思っている。ボクの悪い癖は、あっちこっちに手を出して散漫になることなので、節制しなければいけない。
チョンサ(天使)については、一然(イルヨン)の『三国遺事(サムグクユサ)』の原文に実際に当たってみた。こういう地道な取り組みが大事である。オプシン(業神)については、韓国のアニメや漫画、ゲームなんかでは、もうヒキガエルの姿の神さまみたいになっていることが多い気がするが、古来よりアオダイショウのイメージの方が強かったはずなので、その辺をフォローしてみている。でも、きっとそのうち、ヒキガエルの神さまになってしまうのだろうなあ。もちろん、それはそれで間違ってはいない。妖怪というのは、常に変質していくものである。
2026年6月17日 『韓国怪物百科』をゲット。
また、韓国から新たな書籍を取り寄せた。韓国のSF作家である곽재식(クァク・ジェシク)氏の『한국 괴물 백과(韓国怪物百科)』(2024年)。作家らしく、学問横断的に再解釈した320体の朝鮮伝承の妖怪たちのエッセイである。

コ・ソンベ氏とは違う視点、違うアプローチなので、比較ができる。また、同じ妖怪なのに別の名前で立項されていることもあるので、それもまた面白い。でも、個人的には大混乱である。おそらく、韓国で一般に膾炙している名称はコ・ソンベ氏なのだろう。その辺もフォローしつつ、また、新たな視点で朝鮮半島の妖怪を整理できるのではないかと期待している。もう少し『韓国怪物百科』の内容を咀嚼できたら、また別の書籍を韓国から取り寄せてみてもいいかなあ、と思っている。実はすでに候補は3つ、決まっている。韓国人がどういう風に自国の妖怪を捉えるかという視点が大事なので、今度は韓国のイラストレータさんの視点で妖怪の描かれ方を抽出してみてもよいかなあなどと思っている。ふふふ。
2026年6月13日 朝鮮半島にはカテクシン(家宅神)というのがいるらしい。
先日、手に入れたコ・ソンベ氏の『意外と奥深い鬼神図鑑(의외로 사연 많은 귀신 도감)』(2023年)にカテクシン(家宅神)
がたくさん載っていたので、今回、彼らを重点的に調べてみた。便所の女神、竈(かまど)の女神、居間の神、そして正門の神だ。他にも煙突の神とか裏庭の女神とか、いろいろといるんだけど、取り急ぎ、メインの4柱の神々をアップしてみた。
済州島のシャーマンたちの間に伝わる口伝説話『門前本神話(ムンジョンボンプリ)』の中に、これらの神々の誕生秘話が語られている。でも、コ・ソンベ氏の本では、居間の神を中心とした世界観になっていて、これらの神々の誕生秘話はほとんど触れられていない。正門の神もほぼ触れられない。もしかしたら、済州島と朝鮮半島本土では、若干、信仰や世界観が異なるのかもしれない。その辺の温度差を踏まえつつ、一応、コ・ソンベ氏の本と、『門前本神話』の両方からアプローチして、記事をまとめてみた次第。さてはて。
2026年5月31日 トラに喰われた人間はトラの下僕に!?
最近、韓国との物流経路を確保したので、韓国より韓国の書籍をゲットできるようになった。コ・ソンベ(고성배)氏の『韓国妖怪図鑑(한국 요괴 도감)』(2019年)を活用して、ガンガン、朝鮮半島の妖怪を更新していたが、今回、新たにコ・ソンベ氏の『意外と奥深い鬼神図鑑(의외로 사연 많은 귀신 도감)』(2023年)を調達してみた。『意外と奥深い鬼神図鑑』はイラストも多いし、コラムも多いし、読んでいて非常に楽しい。しかも、『韓国妖怪図鑑』には載っていなかった民間伝承の神々も載っている。面白かったのが、竈の女神とトイレの女神の対立の神話。こういうのも、ちょっとずつ紐解いて、更新していこうと思う。

今日は、中国伝承の倀鬼(チャングイ)と、それに紐づく形で朝鮮半島のチャングィ(倀鬼)とベトナム伝承のマーチャインを更新してみた。トラに襲われて死んだ人間が、死後、トラの下僕になる点は一緒だ。でも、中国の場合、あくまでも山の怪であって、山に立ち入った旅人をチャングイがトラの前に誘って襲う。そうやって新たな獲物を身代わりに、自分は成仏するという筋書きだ。朝鮮半島では、何故か1匹のトラに3人のチャングィがとり憑いている。恐ろしいのは、チャングィが成仏するためには自分の親類を生贄にしなければならないという点。誰でもいいわけじゃないのが朝鮮半島のチャングィの悲惨な点である。ベトナムのマーチャインは1匹のトラの尾にたくさんのマーチャインがとり憑いている。マーチャインがたくさんとり憑けばとり憑くほど、トラの霊力が高まるというから、それはそれで恐ろしい。
というわけで、同じトラに襲われた人間がなる妖怪なんだけど、国によって若干の違いがあったので、それを比較してみた格好だ。さてはて。
2026年5月17日 朝鮮半島の妖怪たちに向き合って試行錯誤!?
ウェブサイト「ファンタジィ事典」に朝鮮伝承のソンガクシ(孫閣氏)とモンダルグィ(夢達鬼)を更新。久々にガッツリ、朝鮮半島の妖怪と向き合った。結構、ソンガクシにしてもモンダルグィにしても、韓国では知名度のある妖怪なので、情報が多くって、うまくまとめられなかった。最近じゃ、文章が多いだけでも拒否反応を示す勢が多いので、もう少し短く要点を絞ってまとめないと、読んでもらえないよなあ、と思いつつも、長文になってしまっている点は反省だ。でも、今時点で答えを持っていないので、当面はこんな文章だなあ。イフリートも少し長い印象があったけど、読み物としては興味を惹けた。ソンガクシとモンダルグィは若干、冗長かもしれないなあ。うーん。
2026年3月20日 「ファンタジィ事典」1,500項目達成!
本日、ウェブサイト「ファンタジィ事典」に、朝鮮半島の妖怪のチョマグとチュドゥンイ・ダッパル・コンジ・ダッパルを追加した。
チョマグは毛むくじゃらの四足獣の怪物、チュドゥンイ・ダッパル・コンジ・ダッパルは嘴(くちばし)と尾が長い怪鳥で、姿こそ違えども、どちらも母親を殺し、息子に退治されるという点で、同じ起源の妖怪なのだと思う。
チョマグは朝鮮半島の北側(現在の北朝鮮)、チュドゥンイ・ダッパル・コンジ・ダッパルは南側(現在の韓国)に伝わっているので、同じような話が伝播する過程で、一方は獣、他方は鳥になっていったものだと考えられる。
実は、これでウェブサイト「ファンタジィ事典」は通算1,500項目を達成した。長く続けてきて、めでたいことだ。特にこの妖怪で1,500項目を迎えようと決めていたわけではない。粛々と進めていく中で、結果的に、この2体で1,500項目に相成った次第。
2003年4月に「ファンタジィ事典」めいたものを開始して、2009年4月に独立させて本格運用を始め、1,000項目を達成したのが2022年1月末なので、明らかにペースアップしている。進むべき方向性が決まったので、それを粛々とやっているからペースがあがっているのだろう。そう自己分析している。
折角、1,500項目を達成したので、ちょっとだけ、ウェブサイト「ヘタっぴなアルコール蒸留」の中でイベントをやってみようと企画している。しばしお待ちあれ。ふふふ。
2026年3月9日 朝鮮古典データベースを開きながらワクワク
成俔(ソン・ヒョン)が記した説話集『慵齋叢話(ヨンジェチョンファ)』(1525年)の原文を見つけた。日本語で検索しても引っ掛からなかったし、CopilotやGeminiに尋ねても見つからなかったのに、Claudeが見つけてきた。AIにも得意不得意があるらしい。
見つけたのは한국고전종합DB(韓国古典総合DB)というウェブサイトで、基本的には韓国語のウェブサイトだ。古典を韓国語に翻訳したものが掲載されている。でも、原文にチェックを入れれば、漢文と韓国語の対訳になる。
たとえば、『慵齋叢話』の第1巻を見てもらいたい。左側に韓国語(翻訳)、右側に漢文(原文)が並ぶ。素晴らしいデータベースだと思う。
ここにいくつか朝鮮半島の古典が載っているので、コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』だけではなく、ここも参照しながら朝鮮伝承の妖怪を補正していけるなあと思っている。嗚呼、ワクワクするなあ。
2026年2月25日 死体が「くっついて離れない」怪異を調べてみた!?
本日は朝鮮伝承のチャクシ(着屍)を更新。妖怪なのかどうかもよく分からない。死体が身体にくっついて離れなくなったという現象だ。チャクシというのも、実のところ、『韓国妖怪図鑑』のコ・ソンベ氏による命名だと思われる。でも、独特な雰囲気があるので、今回、ウェブサイト「ファンタジィ事典」に加えてみた。
死体がくっついて離れなくなるというのは、結構、珍しいパターンなのではないか。しかも、実際に想像すると、メチャクチャ怖いのではないか。それを淡々と書いてしまうあたりに朝鮮半島っぽさを感じてしまう。
そんなわけで、多少のペースダウンはしているものの、着実に朝鮮半島の妖怪たちを追加している今日この頃である。
2026年2月10日 竹葉軍を更新。
本日、朝鮮伝承のチュギョプクン(竹葉軍)を更新。10日振りの更新。ちょっとだけウェブサイト「ファンタジィ事典」の更新ペースが落ちている。ヤバい。
それにしても、先代の王が竹の葉を兵士に変えて助力してくれるというのは、非常に朝鮮半島っぽい話だと思う。王朝が継続するのも滅びるのも、その王朝の正統性みたいなところがある。
2026年1月26日 ポモ(梵魚)を描いてみた。
朝鮮伝承のポモ(梵魚)を描いてみた。

ポモ(梵魚)は金色に輝く魚で、五色の雲とともに空を泳いでいるが、稀に地上で水浴びする。釜山の金井山の岩の上の泉はポモが水浴びして以来、決して枯れることはない。水面を跳ねる音は、澄んだ鐘の音だったとか。
ということで、久々に朝鮮の妖怪の絵を描いてみた次第。引き続き、日本の妖怪と朝鮮の妖怪を描いていきたい。頑張るぞ。
2026年1月25日 朝鮮半島の妖怪と日本の妖怪
継続的に朝鮮半島の妖怪たちを更新中だ。入院中のストックも限りがあるので、いつまで続くのかは分からないけれど、毎日更新を継続しているところだ。
直近の3日間でサムモック(三目狗)、サシクチュ(蛇食蛛)、ウロンガクシを更新した。サムモックは3つ目のイヌ。しかしその正体は地獄の三目大王。すでに過去に立項していたが、コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』を参照して、もう一度、記事を再構成してみた。サシクチュは李瀷(イ・イク)が実際に目撃したというヘビを食べるというクモ。毒の治療にも役立つという。そして、ウロンガクシはタニシが人間に化けて嫁入りする韓国の有名な昔話。ウロンガクシは有名な妖怪なので、今度、イラストにしてみようかなあ。うーん。
日本の妖怪も併せて更新している。結構、鳥山石燕の創作妖怪で現在、有名になっているものが多いなあ、と気がついた。まあ、そりゃあ、そうか。水木しげるは『ゲゲゲの鬼太郎』の中で、鬼太郎に味方する妖怪たちは柳田國男の採集した伝承妖怪から、敵対する妖怪たちは鳥山石燕などが描いたような江戸時代の妖怪から選んでいるので、必然的に、鳥山石燕の妖怪が敵役として登場することにあって、知名度があがる。その中に鳥山石燕の創作妖怪がたくさん混ざるのは、当然の帰結だ。その辺もいつか記事にしてまとめられるとよいなあ。
2026年1月22日 骨太な妖怪は楽しい♪
いいペースでウェブサイト「ファンタジィ事典」に朝鮮半島の妖怪を更新している。
最近の更新はチャトリョン(紫土龍)とインミョンジョ(人面鳥)だ。チャトリョンはミミズの精霊で、不思議なことに美男子に化けて長者の娘との間に男の子を儲けたという。この男の子が、後の後百済(フベクチェ)の建国者になったという。インミョンジョは2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピックの開会式に登場して世の中をざわつかせた気持ちの悪い人面鳥だ。あのときは「何じゃこりゃあ!」と衝撃を受けたけれど、今回、よくよく調査した結果、実は朝鮮半島全域で信仰(?)されていた瑞獣で、古墳の中の壁画など、あちこちに描かれていたものらしい。今までになく、いろんな情報があったので、まとめるのに一苦労だったが、面白い記事になったと思う。実際に、いろんな古墳の壁画とかを探しに行って、写真を眺めて回ったので、面白かった。
妖怪には骨太な妖怪とそうでない妖怪がいて、インミョンジョ(人面鳥)みたいな骨太な妖怪って、調査するのもまとめるのも楽しい。「この文献にこういう記述がありますよ」って1冊紹介して終わるものも悪くはないけど、いろいろと考察できるものって、調べても調べても尽きないし、好奇心がいろんなところに向かう。そんなこんなで、ちょっとインミョンジョに夢中になっていて、他の妖怪に手が出せなくなってしまった次第。わははは。
2026年1月20日 朝鮮の妖怪を引き続き。
引き続き、朝鮮の妖怪について調査してまとめている。チャンドゥサ(獐頭蛇)はノロジカの頭を持った大蛇(テサ)の妖怪である。小さい穴に棲んでいて、穴を掘り返したり、石で塞いだりすると、しばらくすると全部、元通りになっているという。ピョックァグ(壁画狗)は壁に描かれたイヌが抜け出して吠えたり、庭を駆けまわったりする。そして、ペックァリュン(白火輪)は朝鮮半島の謎の未確認物体だ。遭遇すると鼻と口から血を流して死ぬという。
ペックァリュンはちょっとだけ異質な感じがするが、チャンドゥサやピョックァグは朝鮮半島の伝承っぽい。何となく、朝鮮の妖怪のクセみたいなものが分かってきたような気がする。若干、中国っぽさもある。
2026年1月18日 韓国の民俗学者が日本語で出版した『朝鮮民談集』
コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』をベースに粛々と朝鮮の妖怪を更新しているが、『韓国妖怪図鑑』の参考文献のひとつに、民俗学者である孫晋泰(ソン・ジンテ)の『朝鮮民談集』(1930年)が挙げられている。この『朝鮮民談集』の作者であるソン・ジンテ氏は、日本に留学して、早稲田大学を卒業している。そして、東洋文庫に勤務している。そんな中で、朝鮮半島各地の口承文芸を採集してまとめたのが『朝鮮民談集』で、実は日本語で出版されている。そのため、韓国では、この日本語の『朝鮮民談集』を韓国語に訳して紹介している格好になるらしい。
そんなわけで、日本語なら入手して読まなければ、ということで、手に入れた次第。コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』と比較すると、若干、ニュアンスが違うところがある。1930年の文献なので、非常に硬い日本語で、漢字も旧字体なので、難しい。だから、うまく韓国語に訳せていないのではないか、と感じる。なので、ちょっと『朝鮮民談集』も参考にしながら、これまでの朝鮮妖怪の記事を加筆・修正していこうと思う。
2026年1月17日 最近の目標
年始の入院中にコ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』を病室で黙々と訳していたので、今、順次、それを事典に反映させているところだ。人間に化けて人間の生活を乗っ取ろうとするネズミの妖怪トゥンガプチュイ、空を泳いでいて、稀に地上の泉で水浴びするポモ(梵魚)、太陽と月を呑み込もうとするイヌの怪物プルゲを更新した。いいペース。順次、更新されていく気持ちよさだ。
一方で、同時並行的に日本の妖怪も粛々と更新している。実は、豆本キーホルダー『日本妖怪図鑑』(リリパットブックス)には120匹の妖怪が載っていて、これを順番に更新して潰していこう大作戦を密かに推し進めている。

当ウェブサイトの「ファンタジィ事典」は、意外とポピュラーな日本の妖怪にも抜けがあって、何となくこれまで後回しにされてきている部分もある。これを機に、日本の妖怪たちの有名どころを補完しようと考えている。そのために、120匹はちょうどよい量だなあと思って、順次、更新している次第。
そんなこんなで、入院中にウェブサイトの更新が長らく途絶えていた部分があるので、今になって一所懸命、遅れを取り戻している日々だ。
2026年1月15日 朝鮮妖怪を続々と……
引き続き、朝鮮伝承の妖怪を粛々と更新している。
ポンファン(鳳凰)は元々、中国の妖怪として取り扱っていたが、今回、朝鮮半島の要素を加筆した。ミョドゥサ(猫頭蛇)も地図を加えて、もう少し丁寧に原典を調査して加筆してみた。今回、再調査してみて、中国で則天武后が鳳凰を政治利用していた話とか、新羅の第27代の善徳女王(ソンドクニョワン)の時代に鳳凰が出現した話とか、女性と結びつけられてきたことが分かった。ミョドゥサについても、儒教と民間信仰の対立構造(民間信仰は誤りだという考え)が背景にあることも分かった。こうやって、勉強すればするほど、新しい気づきがあって、成長していることを実感する。
一方、新規の項目はカンギル(羌吉)とテイン(大人)だ。カンギルは昔にちょっと韓国のウェブサイトをリサーチしてまとめていたが、今回、コ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』を軸にまとめ直してみた。デインは韓国語で《巨人》を意味する言葉だから、立項する必要はないかなあとも思ったが、アニメ『猫の刻の伝説(묘시의 전설)』(YouTube、韓国語)で海と結びつきの強い怪物として描かれていたのを思い出した。《腰から下を水に入れた巨人》という意味で、요하입수거인(ヨハイプスゴイン)という表記の巨人も見たことがあるので、敢えて立項してみた次第。
さてはて。引き続き、朝鮮伝承を充実させていこうと思う。
2026年1月13日 特別展「朝鮮の妖怪を描く」を始動!!
朝鮮の妖怪を鋭意、まとめているが、その一環として、特別展「朝鮮の妖怪を描く」という企画を立ち上げてみた。今まで描いた妖怪たちをまとめてみた次第。
バナーに描いた妖怪はカンギルだ。でも、カンギルそのものの絵はまだ描いていないので、これから描いてみたい。
併せて、トゥビョン(豆兵)、テソ(大鼠)、テジョムオ(大点魚)も立項してみた。トゥビョンは豆が兵士に変化して戦う。テソはネコをも喰らう巨大なネズミだ。そして、テジョムオは潮の満ち引きを引き起こす巨大なナマズ。入院中にこつこつとコ・ソンベ氏の『韓国妖怪図鑑』を訳していたので、それを足掛かりに整理してみた次第だ。いい感じに朝鮮の妖怪も充実してきた気がする。楽しいなあ。
2026年1月11日 『韓国妖怪図鑑』よりホニョ(虎女)
2026年になって早々に入院していた八朔シータです。
さて、年始はずぅっと入院していたので、病院でやることがなかったので、コ・ソンベ(고성배)氏の『韓国妖怪図鑑(한곡 요괴 도감)』を読んで訳していた。4分の1くらい読めたので、それを順次、ウェブサイト「ファンタジィ事典」に反映させていこうと思っている。
まずはホニョ(虎女)から解説してみたい。実は『韓国妖怪図鑑』では「金現感虎(キムヒョンカムホ)」という名称で立項されていた。「金現(キム・ヒョン)に感動したトラ」みたいな訳になると思う。こういう有名な物語が韓国ではよく知られていて、人間の女に化けたトラがキム・ヒョンという男性が熱心に仏に祈るのに感銘を受け、自分の命を犠牲にしてキム・ヒョンを出世させたという物語だ。ホニョ(虎女)は、わざと市場で暴れて、キム・ヒョンに自分を退治させることで、キム・ヒョンを王に認めさせるという筋書きだ。
この「金現感虎(キムヒョンカムホ)」の物語に登場する女性には名前がない。ファンタジィ事典では、ホニョ(虎女)という名称で立項してみた。
ちなみに、ずぅっと念願だった朝鮮半島の地図も作成してみた。金現感虎の舞台となった興輪寺を、折角、作成した地図に明示してみた。

きっと、ホニョ(虎女)をファンタジィ作品に登場させるとしたら、愛する男性を必死で護る過保護で献身的なトラの妖怪というイメージになるのだろうなあ。ふふふ。
2025年11月19日 朝鮮伝承のクミホを描いてみた
朝鮮伝承の「クミホ(九尾狐)」を描いてみた。

クミホは中国の九尾狐が朝鮮半島に伝わったもので、1,000年生きたキツネが妖力を得て変化したものだ。朝鮮半島でも、中国と同様、美女に化けて権力者に取り入る点は変わらない。一方で、クミホは「狐珠」にまつわる独自の伝承を持つ。クミホは「狐珠」を口移しにすることで男性の精気を奪う。しかし逆にその「狐珠」を飲み込んだ人間は神通力を得るという。その一例として、「狐珠」を飲み込んだ秦國泰(チン・グクテ)という少年は、その後、名医になったと伝えられている。
最近の韓流ドラマでは、クミホは人間の肝臓を狙って近づき、そのままターゲットと恋に落ちてしまうというラブストーリーがよく描かれる。こういう妖怪と人間のラブストーリーというのも、クミホの中国や日本とは異なる特徴で魅力である。
2025年11月12日 朝鮮妖怪のトッケビを描いてみた
ここから少し頑張って、1週間投稿を繰り広げていきたい八朔シータである。

プルガサリに続いて、朝鮮伝承の「トッケビ」を描いてみた。トッケビは朝鮮半島の山や海に棲む精霊的存在だ。岩や木、古道具などに宿るとされる。夜道で旅人を驚かせ、牛を屋根の上に乗せるなどのいたずら好きな性格を持つ。山道で旅人にシルム(朝鮮相撲)を挑む。そういう意味では、河童にも似ている。勝利すると、消えてしまい、古い箒が残されているという伝承もあるので、正体は箒が化けた付喪神的な存在とも言えるのかもしれない。一方で、「トッケビの棍棒」で地面を叩くと望んだものが出てきたり、供物を奉げることで豊漁が期待できることから、福の神としての側面も持つようだ。
日本統治時代、日本語の教科書の中で、日本の「鬼」をトッケビと訳して紹介したため、両者が混同されるようになった。そのため、韓国本来のトッケビ像を復元しよう(日本残滓を排除しよう)と「トッケビ復元プロジェクト」が始まるなど、トッケビは政治的に利用されている側面もある。
今回描いたトッケビは、近年の韓国国内での議論を踏まえて、日本の「鬼」からは外れた形で表現にしてみた。角はないし、韓服を着ている。でも、こういう新しい「トッケビ像」に対して韓国国内でも批判はある。実際、角を描いている韓国のクリエイタも多いし、トゲトゲの棍棒を持たせていることもある。そういう意味では、扱いづらいところではあるんだけど、でも、トッケビを描かないで朝鮮妖怪を語れないので、今回、こうして描いてみた。




