ショゴス

分 類クトゥルフ神話
名 称 Shoggoth(ショゴス、ショグゴス)【英語】
容 姿タールのような不定形の粘液状生物。
特 徴怪力。自在に変形し、さまざまな器官を発生させられる。生命力が強い。
出 典ラヴクラフト『狂気の山脈にて』(1936年)ほか

ショゴスのイラスト

南極に眠る不定形生物は太古の宇宙生物の奴隷種族!?

ショゴス、あるいはショグゴスはクトゥルフ神話に登場する怪物である。その姿は不定形な粘液状の生物で、タールのような漆黒で玉虫色に光る。表面には無数の目が浮いている。大きさは4~5メートルくらいで、必要に応じて自在にその身体を変形させ、ときにはさまざまな器官を発生させることもできるという。「テケリ・リ、テケリ・リ」という独特の鳴き声をあげる。

H.P.ラヴクラフトの『狂気の山脈(At the Mountains of Madness)』(1936年)で詳細が言及されているが、もともとは太古に地球に飛来した宇宙生物「古のもの」によって創造された存在で、知性は低く、南極圏で巨大都市を建設するための肉体労働用の奴隷として使役されていた。しかし、数億年という長い時間が経過するうちに、脳を発達させ、次第に知能を備えるようになり、遂には創造主である「古のもの」に反抗し、彼らに戦いを挑んだ。「古のもの」によって何度も鎮圧されたが、最終的には「古のもの」は壊滅的なダメージを受けたという。ショゴスたちは「古のもの」によって南極の地中深くに封印された。しかし、「古のもの」の目の届かないところで生きていたショゴスは生き延びたとされ、ショゴスが地球生命の起源だと説明される場合もある。

ラヴクラフトの『インスマウスの影(The Shadow Over Innsmouth)』(1936年)では「深きものども」がショゴスを使役しているらしいことが記述され、『戸口にあらわれたもの(The Thing on the Doorstep)』(1937年)では、実際にインスマウスの魔術師がショゴスを飼い慣らしている。

スライムのプロトタイプ!?

現在のファンタジー作品には、アメーバや粘菌のような不定形のモンスターがたくさん登場する。J.P.ブレナンの『沼の怪(スライム)』(1953年)では食欲旺盛な恐ろしい怪物スライムが登場する。スライムは『ドラゴンクエスト』シリーズでもお馴染みのキャラクターになっている。他にも、ホラー映画『恐怖の殺人アメーバ』(1958年)のブロッブや、その他にも『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などに登場する種々のウーズやゼラチナス・キューブ、プディングなど、名前を挙げれば枚挙にいとまがない。

このような不定形の粘性の怪物という概念は、顕微鏡が発明されて、原生生物が発見される以前にはなかった。A.M.ラッドの『ウーズ(Ooze)』(1923年)が先駆けではあるが、『沼の怪』を描いたブレナンはラヴクラフトの大ファンで、スライムはラヴクラフトのショゴスの大きな影響を受けたと言われている。その意味では、スライムのプロトタイプはショゴスと言える。

《参考文献》

Last update: 2024/06/20

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