ハッグ
分 類 | イギリス伝承 |
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hag(ハッグ)【英語】 | |
容 姿 | 老婆。大きな鉤鼻とイボ、長い爪を持つ。 |
特 徴 | 妖術を駆使する。人を喰らうことも。 |
出 典 | - |
妖術を駆使する邪悪な老婆の妖怪!?
ハッグはイギリス伝承に登場する老婆の姿をした超自然的な存在である。善良なものも存在するが、邪悪なものが多く、近年では、ハッグと言えば、邪悪な老婆の妖怪を指すことが多い。日本ではしばしば「妖婆」などと訳される。
一般的なハッグのイメージは、しわくちゃの醜い顔で、大きな鉤鼻とイボが特徴の老婆の姿で、長い爪を生やしている。杖に跨って空を飛んだり、妖術を駆使したり、大鍋で薬を調合したりする。ときには人間を食べるような恐ろしい存在も知られる。中世の「魔女」のイメージの源流となっているとされるが、基本的にはハッグは山野に棲む精霊、あるいは妖怪などの類いで、人間ではないとされる。その意味では、日本の鬼婆や山姥のようなイメージである。
16世紀頃には、寝ている人間の上に乗っかって、悪夢を見せたり、金縛りにするのも、ハッグの仕業として説明された。人喰いの老婆であるブラック・アニスや冬の化身であるカリアッハ・ヴェーラなどは代表的なハッグの仲間である。しばしば、緑の牙のジェニーやペグ・パウラーなどの川の精霊たちも、ハッグの一種として分類される。グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」に登場した人喰いの魔女もハッグの仲間に分類されることもある。
《参考文献》
- 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『シリーズ・ファンタジー百科 世界の妖精・妖怪事典』(著:キャロル・ローズ,監訳:松村一男,原書房,2003年〔1996年〕)
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2024/10/31