スライム

分 類現代ファンタジー
名 称 Slime(スライム)《どろどろしたもの,ヘドロ,粘性》【英語】
容 姿アメーバのような不定形の怪物。
特 徴周辺の生物を体内に取り込んで消化し、巨大化していく。
出 典ブレナン『沼の怪(スライム)』(1953年)ほか

スライムのイラスト

SF世界に登場したグロテスクな人喰いモンスター!?

スライムは、アメーバに似た、どろどろした不定形の生命体である。日本では、鳥山明がデザインしたゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズのスライムがよく知られているため、かわいらしいキャラクターとして造形されることも多いが、もともとはSF作品やホラー作品などに登場する恐ろしい人喰いのモンスターである。

ブレナンが描いた『スライム』

「スライム」という言葉自体は、アメリカの怪奇小説家ジョセフ・ペイン・ブレナンの短編ホラー小説『沼の怪(スライム)(Slime)』(1953年)によって初めて使われた。ブレナンの『沼の怪』では、スライムは地球に海ができた頃から深海に棲息している太古の生物ということになっている。海底火山の噴火で海面まで吹き飛ばされ、陸地に漂着する。夜行性で、昼間は沼の泥の中に潜んでいるが、夜になると沼から這い出し、どろどろした粘着質な身体で生き物を包み込むようにして喰らい、次第に巨大化していく。かなり食欲は旺盛である。その見た目とは異なり、かなり素早く移動することができる。また、不定形であるため、打撃や斬撃の類いが効かない。銃も効かないとされている。弱点は炎で、燃やしてしまえば死んでしまう。

ショゴス、スライム、ブロッブ……

スライムのような形状の怪物の系譜としては、アンソニー・メルヴィル・ラッドの『ウーズ』(1923年)に遡れる(ウーズ参照)。そこでは研究対象だったアメーバが巨大化して、人間を喰らう。また、H.P.ラヴクラフトの『狂気の山脈にて(At the Mountains of Madness)』(1931年)に登場するショゴスがいて、真っ黒い不定形の怪物として描かれている。ブレナンはラヴクラフトの大ファンで、ラヴクラフト作品に多大な影響を受けたとされる。また、SFホラー映画『人食いアメーバの恐怖』(1958年)では、宇宙から飛来したアメーバ状の生命体のブロッブが登場し、その恐ろしい姿が初めて映像化された。

顕微鏡の発達によって、アメーバや粘菌などの生物が発見される以前の神話・伝承、あるいは物語には、このようなグロテスクな不定形の生命体は登場しない。ショゴスやスライム、ブロッブなどは、アメーバなどの生物のイメージから連想されて生み出された新しいタイプの怪物と言える。

近年のスライム事情~スライムは弱く、かわいらしい?

スライムのような不定形の生命体は、ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などを中心に、さまざまなロール・プレイング・ゲームにも登場するようになっていく。酸化能力があるとか、毒を持つなど、特殊能力を備えたさまざまなスライムの仲間が登場しているが、武器による直接攻撃に強く、火には弱いというブレナンが描いたスライムの特徴は、その後、長く踏襲されていく。

『ウィザードリィ』や『ハイドランド』、あるいは『ドルアーガの塔』などで比較的、弱いモンスターとして設定されたため、日本ではスライムは弱いモンスターであるという認識が広く定着している。鳥山明のスライムのイラストもそのイメージに拍車をかけ、グロテスクなイメージは薄れている。『ドラゴンクエスト』シリーズでは、メタルスライム、バブルスライム、ホイミスライム、キングスライムなど、さまざまなスライムの派生形が生み出され、愛されている。

しかし、実際、ブレナンの描いたスライムや、ホラー映画に登場するブロッブなどは、とてもグロテスクで恐ろしい怪物である。

《参考文献》

Last update: 2024/06/20

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