ピョックァグ(壁画狗)
| 分 類 | 朝鮮伝承 |
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벽화구 〔byeog-hwa-gu〕(ピョックァグ)《壁画狗》【朝鮮語】 | |
| 容 姿 | 壁画から抜け出したイヌ。 |
| 特 徴 | 壁画のイヌが吠え、壁画から抜け出して庭を駆けまわった。 |
| 出 典 | 一然『三国遺事』(1281年頃)ほか |
絵から抜け出すイヌは新羅滅亡の象徴!?
壁に描かれたイヌが吠えたり、絵から抜け出して庭を走り回ったりする。そんな怪異が朝鮮半島には伝わっている。それがピョックァグ(壁画狗)だ。舞台となるのは慶州(キョンジュ)市にかつて存在した四天王寺(サチョナンサ)。新羅時代に唐軍の撤退を祈念して建立された寺院で、護国のために五方神が祀られていた。
僧侶の一然(イルヨン)が著した『三国遺事(サムグクユサ)』(1281年頃)によれば、919年、新羅の第54代・景明(キョンミョン)王の時代、四天王寺の壁に描かれたイヌが吠え始めるという怪異が発生したという。3日間、お経を唱えて一度は鎮めたが、その甲斐もなく、半日もしないうちに再びイヌが吠える声が聞こえてきたという。
それだけに留まらず、その7年後には遂に壁に描かれたイヌが絵から飛び出して、庭を駆け回って、再び、絵の中に戻っていったという。そして、その日に、寺の五方神の像が持っていた弓の弦がすべて切れていたと記されている。
新羅は935年に滅亡することになるが、このイヌの出現は新羅の滅亡を暗示していたと解釈されている。滅亡の運命は仏教では止めることができず、また、護国の象徴である五方神も破られたということを暗示していたということになるのだろう。

なお、『三国遺事』には、この怪異そのものには名称は与えられていない。「ピョックァグ(壁画狗)」というのは『韓国妖怪図鑑』の作者のコ・ソンベ氏による命名のようである。
《参考文献》
- 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
Last update: 2026/01/19
