チュクシン(厠神)

分 類朝鮮伝承
名 称 측신cheug-sin〕(チュクシン)《厠神》【朝鮮語】
容 姿16メートルもの長い髪を持つ若い女性。
特 徴離れの便所の守護神。祟り神で、怒らせると人を病気にしたり、肥溜めに落としたりする。
出 典『門前本神話』ほか

トイレの女神には要注意!?

チュクシン(厠神)は朝鮮半島に古来より伝わるカテクシン(家宅神)の1柱で、トイレ(伝統的な裏手にある離れの便所)を司る女神である。

非常に髪の長い若い女性の姿で想像される。一説では、髪の長さは55チャ(約16.6メートル)もあるとされる。華やかに着飾った側室(妾)の姿をしているとされる。トイレの天井に白紙の切れ端や布切れを吊るして、これをご神体とすることもある。

チュクシンはカテクシン(家宅神)の中では最も獰猛で危険な存在とされ、祟り神の側面もある。普段はトイレの中にいて、自分の長い髪の毛を1本1本数えているとされる。誰かが咳払いや足音などの合図なしにトイレに入ると、驚いたチュクシンは激怒し、髪の毛をその人に被せる。チュクシンの髪の毛に触れた人間は呪いに罹り、大病を患ったり急死したりすると恐れられた。

また、小さな子供を嫌い、子供を肥溜めに突き落とす事故を引き起こすとも信じられた。チュクシンは力が強いとされ、指一本で子供を突き落とすこともできるとも言われている。

夜中にトイレに行く際には、チュクシンを驚かせないように、必ず入る前に3回咳払いするか、足音を大きく立てて、チュクシンが身を隠す時間を与えたという。また、万が一、誰かが肥溜めに落ちる事故が発生すると、チュクシンが怒っていると見做され、米粉や高粱(コーリャン)粉を丸めて「糞餅(トントッ)」を作って、トイレに供えて厄払いの儀式を行ったという。

チュクシンは年中、トイレに常駐しているわけではないようで、毎月6日、16日、26日など、6がつく日に現れるとされた。そのため、これらの忌み日にはトイレを慎重に使用し、トイレの修理や掃除は避けたという。

トイレの女神 VS 台所の女神!?

済州島のシャーマンたちの間に伝わる口伝説話『門前本神話(ムンジョンボンプリ)』によれば、昔、済州島にナムソンビ(南仙卑)とヨサン夫人(礪山夫人)という夫婦が7人の息子と暮らしていたという。しかし、ナムソンビが商売をするために五同(オドン)国を訪れた際、ノイルジャデという若い女性に魅了され、妾にして全財産を奪われてしまった。ノイルジャデは本妻のヨサン夫人を騙して池に突き落として殺し、さらに7人の息子たちをも殺そうと画策するが、末子に悪事がばれて、最終的にトイレで首を吊って自殺した。彼女の身体は八つ裂きにされたが、魂はトイレに宿り、凶悪なチュクシン(厠神)になったという。

一方、池に突き落とされて殺された本妻のヨサン夫人は台所を司るカテクシン(家宅神)のジョワンシン(竈王神)になったという。そのため、伝統的な韓屋(ハノク)を建てる際には、台所とトイレが絶対に向かい合わないように、遠く離して建てられた。また、台所の物をトイレに持ち込んだり、トイレの物を台所に持ち込んだりする行為はタブーとされた。

《参考文献》

  • 『의외로 사연 많은 귀신 도감』(著:고성배,絵:파키나미,주니어김영사,2023年)(韓国語)

Last update: 2026/06/13

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