ムンジョンシン(門前神)
| 分 類 | 朝鮮伝承 |
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문전신 〔mun-jeong-sin〕(ムンジョンシン)《門前神》【朝鮮語】 | |
| 容 姿 | 若い男性。甲冑を着て武装した姿。 |
| 特 徴 | 外敵から家を護る正門の神。 |
| 出 典 | 『門前本神話』ほか |
外敵から家を護る門の神!?
ムンジョンシン(門前神)は朝鮮半島に古来より伝わるカテクシン(家宅神)の1柱で、表門を司る神である。
外から侵入する疫病や悪霊、災難などを追い払う門番の役割を果たす。そのため、一般的には甲冑に身をまとって大きな剣や斧などの武器を持った将軍の姿で想像される。済州島(チェジュド)ではカテクシンたちの事実上の最高神だとされる。
多くの朝鮮半島のカテクシン(家宅神)はご神体として壺などを置いて祀るが、門神の場合、新年や立春などに、門の扉に直接、お札や絵を貼り付けた。
門の神こそがナンバーワン!?
済州島のシャーマンたちの間に伝わる口伝説話『門前本神話(ムンジョンボンプリ)』によれば、昔、済州島にナムソンビ(南仙卑)とヨサン夫人(礪山夫人)という夫婦が7人の息子と暮らしていたという。しかし、ナムソンビが商売をするために五同(オドン)国を訪れた際、ノイルジャデという若い女性に魅了され、妾にして全財産を奪われてしまった。ノイルジャデは本妻のヨサン夫人を騙して池に突き落として殺し、さらに7人の息子たちをも殺そうと画策する。しかし、末子のノクディセンインはノイルジャデを疑い、悪事を暴いた。最終的にノイルジャデはトイレで首を吊って自殺し、彼女の身体は八つ裂きにされたという。
末子のノクディセンインは、ヨサン夫人の遺体を池から引きあげると、薬草で復活させた。そして、彼女は台所を司るカテクシン(家宅神)のジョワンシン(竈王神)になったという。そして、末子のノクディセンインは正門を守護するムンジョンシン(門前神)になったという。
また、悪女ノイルジャデの魂はそのままトイレに宿り、凶悪なチュクシン(厠神)になったという。
このような経緯から、末子のノクディセンインはカテクシン(家宅神)たちのリーダー格となったのである。儀式を行う際には、必ずムンジョンシン(門前神)に最初にお供えを奉げ、それから他の神々にお供えを捧げないといけないとされている。そのため、まずは門の前に小さな膳を置き、餅や水をムンジョンシンに捧げた。
また、不浄なものが家に入らないように、葬儀から帰ってきた人は出産した直後の人は、ムンジョンシンの怒りを買わないように、門前で粗塩を撒いたり、火を跨いだりして、身を清めてから門をくぐる必要があったという。また、敷居(ムンテリョン)は、絶対に踏んではいけないとされた。敷居を踏む行為はムンジョンシンへの不敬に当たり、家の財産が逃げたり、不吉なことが起こると信じられた。
済州島ではカテクシン(家宅神)のリーダーはムンジョンシン(門前神)であるが、朝鮮半島本土では、居間を司るソンジュシン(成造神)がリーダーだとされる。外敵からの進入を防ぐ「門」と家を支える「柱」のいずれを重要視するかが、地域によって異なっていることの表れなのかもしれない。
《参考文献》
- 『의외로 사연 많은 귀신 도감』(著:고성배,絵:파키나미,주니어김영사,2023年)(韓国語)
Last update: 2026/06/13
