サムモック(三目狗)
| 分 類 | 朝鮮伝承 |
|---|---|
|
삼목구 〔sam-mog-gu〕(サムモック)《三目狗》【朝鮮語】 | |
| 容 姿 | 3つ目のイヌ。目は青く光っている。 |
| 特 徴 | 地獄の三目大王がイヌに変化したもの。 |
| 出 典 | 李徳懋『青荘館全書』(1795年)ほか |
あの世の王が化身した3つ目のイヌ!?
サムモック(三目狗)は朝鮮半島の伝承に登場する3つ目のイヌの妖怪。李徳懋(イ・ドンム)の『青荘館全書(チョンジャングァンジョンソ)』(1795年)の第3巻に詳しい話が載っている。
新羅(シルラ)の第46代の文聖王(ムンソンワン)が統治していた時代(839~857年)に、陜川(ハプチョン)に李居仁(イ・ゴイン)と呼ばれる人物がいた。あるとき、夜道を歩いていると、足を引きずるイヌを見つけた。黄色い毛に黒い縞模様のイヌだったが、驚いたことに3つ目だった。家までついてくるので、可哀そうに思ったイ・ゴインは「サムモック(三目狗)」と名付けて育てることにした。イヌは1日1食だけを食べ、非常に従順で、主人が家を出るときには玄関まで見送りに来て、帰宅すると出迎えた。3年後にサムモックは亡くなった。イ・ゴインは日当たりのよい場所にイヌを手厚く葬ってやったという。
それから2年後、イ・ゴインも亡くなり、あの世で三つ目の大王に出迎えられた。実は、サムモックの正体はあの世の王の1人である三目大王だったのである。三目大王はかつて過ちを犯して人間界に追放され、イヌの姿になって地上を彷徨っていたとき、イ・ゴインに拾われて育てられ、3年間の務めを終えてあの世に戻っていたのであった。
三目大王は、閻魔王に会ったら大蔵経を書き写そうと思ったが完成させる前に命が尽きたと訴えるようにイ・ゴインに助言した。イ・ゴインが言われたとおりにすると、閻魔王はその言葉に大いに感銘を受け、大蔵経を最後まで完成させるようにイ・ゴインを生き返らせた。イ・ゴインは、閻魔王との約束どおり、大蔵経を書き写して完成させた。
その頃、新羅国の王女が病に伏せた。大蔵経があれば娘を治せると知った王はイ・ゴインを都に呼び出した。イ・ゴインが王女の前に歩み出ると、王女が「あれから元気にしていたか」と三目大王の言葉で話し出した。三目大王が王女の身体に宿っていたのだ。そして、王に向き直ると「彼は大蔵経を完成させるために閻魔王が解放したのだから、彼が成功するように助けるように」と伝えた。そして三目大王はイ・ゴインに別れを告げ、王女の病が治ったとされる。

災いを払う魔除けのイヌ!?
朝鮮時代、人々はサムモックには邪気を追い払う力があるとして、絵に描いて魔除けのお守りにしたとも伝えられている。これは「三目狗図(サムモックド)」と呼ばれ、新年に大門に貼る習慣があった。サムモックの3つ目は三災を捉え、追い払うものだと信じられたのである。
《参考文献》
- 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
Last update: 2026/01/25
