ホニョ
| 分 類 | 朝鮮伝承 |
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호녀 〔ho-nyeo〕(ホニョ)《虎女》【朝鮮語】 | |
| 容 姿 | 女に化けたトラ。 |
| 特 徴 | 女に化けてキム・ヒョンのために身を捧げた。 |
| 出 典 | 一然『三国遺事』(1281年頃)ほか |
女に化けた献身的なトラ!?
ホニョ(虎女)は朝鮮半島の伝承に登場する人間の女に化けた雌のトラである。僧侶の一然(イルヨン)が著した『三国遺事(サムグクユサ)』(1281年頃)の第5巻に『金現感虎(キムヒョンカムホ)』という物語が載っていて、ホニョはその中に登場する。韓国では非常によく知られた物語である。
金現感虎(キムヒョンカムホ)の物語
新羅の第38代の元聖王(ウォンソンワン)の時代、慶州(キョンジュ)の興輪寺(フンリュンサ)で、金現(キム・ヒョン)という青年が熱心にタプドリを行っていた。タプドリというのは「塔回り」のことで、塔の周りを回りながら願い事をする仏教の儀式である。いい加減に儀式を行なう者も大勢いる中で、キム・ヒョンは夜になっても熱心にタプドリをしていた。すると、一緒にタプドリをしていた女と目が合い、そのまま二人は惹かれ合い、恋に落ちた。

タプドリを終えて女は立ち去ろうとするが、キム・ヒョンはどうしても彼女と別れられずに、強引に彼女について行くことにした。彼女が向かった先には西山の麓の小屋だった。そこには老婆も住んでいて、女が事情を説明すると、老婆はキム・ヒョンにすぐに身を隠すように告げた。そこに女の兄だという3頭のトラがやってきた。不思議なことに、トラたちはみんな人間の言葉を話した。そのうち、トラたちは人間の匂いがすると言い出した。そのとき、空から大きな声が聞こえてきた。声が言うには、3頭のトラは悪事を重ね過ぎたため、1頭が死ななければならないという。女がその罰を自分が代わりになって受けると申し出ると、3頭のトラは喜んで逃げていった。
実はこの女の正体は雌のトラであった。彼女は「これから市場で人々を襲うから、自分を殺して王に認めてもらうように」と願い出た。当然、キム・ヒョンは断固としてこれを拒否した。しかし、女はたちまちトラに姿を変えると市場に向かい、人々を襲い始めた。キム・ヒョンはやむなくそれを仕留めた。トラに噛まれた人々は、事前にホニョ(虎女)が教えたとおり、興輪寺の醤(ジャン)を塗って、ラッパの音を聞かせると完治した。
この手柄が認められて、キム・ヒョンは官職を授かり、その後、出世して、最終的には新羅で2番目に高い「伊飡(イチャン)」という官職まで昇進したとされている。
トラを祀った虎願寺(ホウォンサ)
キム・ヒョンは亡くなったトラの冥福を祈って虎願寺(ホウォンサ)を建立した。そして生涯、この寺に僧侶を招いて法会を開き続けた。彼は死の直前、自分とトラの奇妙な縁について記録を残した。これが『論虎林(ノンホリム)』として、後世に伝わったとされている。
ホニョ(虎女)という名称について
『金現感虎(キムヒョンカムホ)』の物語の中で、この女に名前は与えられていない。「ファンタジィ事典」では、韓国一般で用いられている「虎女(ホニョ)」で立項した。
『韓国妖怪図鑑』の作者のコ・ソンベ氏は、雄のトラが化けるのはよく知られているが、雌のトラが人間に化けるのは非常に珍しいと記述している。
《参考文献》
- 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
Last update: 2026/01/09
