ソンジュシン(成造神)

分 類朝鮮伝承
名 称 성주신seong-ju-sin〕(ソンジュシン)《成造神》【朝鮮語】
容 姿白い服を着た白髭の老人。あるいは逞しい大工の姿。
特 徴居間を司る神。
出 典『成造本神話』ほか

建物の中心で家を護る居間の神!?

ソンジュシン(成造神)は朝鮮半島に古来より伝わるカテクシン(家宅神)の1柱で、居間を司る神である。家全体の興亡を握る最高位の神として、新築祝いや引越祝いの場で盛大に祀られている。

ソンジュシン(成造神)は、家の建物そのものを守護し、家全体を守護する。家の中心である大庁(テチョン)、すなわち居間に宿っていると考えられている。一般的には白い服をまとった威厳のある白髭の老人、あるいは木槌や斧を持った逞しい大工のような姿として想像される。

家の梁に宿るとされ、地震や災害から建物を護り、家族の繁栄を見守るとされる。家の中心にいるため、家の中で喧嘩が起きたり、不浄なものが持ち込まれると、ときに激怒して家を出て行ってしまう。そうなると、その家は一瞬で没落して破産や一家離散になると信じられた。

ソンジュシン(成造神)のご神体は成造紙(ソンジュジ)で、居間の天井の一番高い梁(はり)や柱の接合部に、お米の粒を包んで四角く折りたたんだ白紙を貼り付けられている。地域によっては居間の片隅の棚に新米を入れた小さな瓷(かめ)を置いて、それをご神体とする場合もある。この場合、毎年、秋になると新米に入れ替えられる。

カテクシン(家宅神)のトップ!?

朝鮮半島本土、特にソウル、京畿道、全羅道、慶尚道などで広く歌い継がれてきた『成造本神話(ソンジュボンプリ)』によれば、昔、天界の宮殿に成造(ソンジュ)という優れた神がいた。その頃、人間たちはまだ家を知らず、洞窟で寒さに震えながら暮らしていた。

彼は天命で人間たちに家造りを教えるために人間界に降り立つ。そして松の木などの様々な木々の種を山に撒いた。そして木々が育つと、斧や鋸(のこぎり)で木を伐り、柱を立て、梁を渡して瓦を葺き、初めて「家」を完成させた。こうして、人々は家で暮らすことができるようになったのである。

しかし、それを妬んだソジンハンガという男が「どちらが素晴らしい家を建てられるか」と賭けを挑む。ソンジュは松の木で丁寧に立派な家を建てたが、ソジンハンガは幻術を使って黄金の宮殿のような偽者の家を一瞬で作り出して、賭けに勝った。こうしてソンジュは衣服を剥ぎ取られ無人島に流刑にされた。

ソンジュは無人島で食べるものも着るものもなく、島の松の葉を食べて飢えをしのぎ、木の皮を身体に巻きつけて長い歳月を耐え忍んだ。やがてソンジュの無実と苦境を知った天界はソンジュを救い出した。ソジンハンガは自分が建てた家は暴風雨によって崩壊し、ソジンハンガもその下敷きになって死んでしまう。そして、ソンジュは家の柱や梁に宿り、家を守護する神になったという。

朝鮮半島では古来より、新たに家を建てたときや引越の際には儀式(クッ)を執り行ってきた。ムーダン(巫堂)が家に招かれて、踊りながら『成造本神話』が歌い上げられた。ソジンハンガの祟りを追い出し、家の崩壊が生じないように祈り、その後、成造紙を天井に貼りつけた。こうして、その家はソンジュシンに守護された安全な家になると考えられたのである。また、ソンジュシン(成造神)は建築の神としてだけでなく、林業や木材の神としても崇拝されたという。

現在の韓国ではマンション暮らしが9割を占めるという。ソンジュシンが宿る大庁(テチョン)や木の梁がある伝統家屋は少なくなった。それでも、マンションを購入したときや引っ越したときなどには、居間のテレビ台の上などに米を入れた器を置くなどの家庭は少なくないという。

朝鮮半島本土ではソンジュシン(成造神)がカテクシン(家宅神)たちのリーダーだが、済州島ではカテクシン(家宅神)のリーダーは正門の神であるムンジョンシン(門前神)だ。外敵からの進入を防ぐ「門」と家を支える「柱」のいずれを重要視するかが、地域によって異なっていることの表れなのかもしれない。

《参考文献》

  • 『의외로 사연 많은 귀신 도감』(著:고성배,絵:파키나미,주니어김영사,2023年)(韓国語)

Last update: 2026/06/13

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