チャングィ(倀鬼)
| 分 類 | 朝鮮伝承 |
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창귀 〔chang-gwi〕(チャングィ)《倀鬼》【朝鮮語】 | |
| 容 姿 | トラに食べられて死んだ幽霊。 |
| 特 徴 | 1匹のトラに3人の霊がとり憑く。トラを手助けする。 |
| 出 典 | 朴致遠『熱河日記』(1780年)、李徳懋『青莊館全書』(18世紀後半)ほか |
トラに食われた人間とトラの手先に!?
チャングィ(倀鬼)は朝鮮半島に伝わる妖怪。トラに食べられた人間は、死後、チャングィとなってトラに使役されると信じられた。1匹のトラには大抵、3人のチャングィがとり憑いているという。チャングィたちはトラの手先となって、仕掛けられた罠を先に見つけてトラに教えてしまう。また、悲しげに泣いたり、歌ったりして、人間をトラの元へと誘い、トラの餌食にする。
トラにとり憑く3人のチャングィ!?
朴致遠(パク・チウォン)の『熱河日記』(1780年)の第4篇「関内程史」によれば、トラが最初に食べた人間は「クルガク(굴각)」というチャングィになるという。クルガクはトラの脇の下にとり憑き、トラを他人の家の台所へと案内する。クルガクが鍋の外側を舐めると、家主はご飯を炊きたくなり、炊事を始めるという。
トラが2人目に食べた人間は「イオル(이올)」というチャングィになる。イオルはトラの頬骨にとり憑き、高い所に登って猟師の動きを監視する。また、仕掛けられた罠があれば事前にそれを壊してしまうという。
トラが3人目に食べた人間と「ユコン(육혼)」というチャングィになる。ユコンはトラの顎にとり憑き、かつて親しかった知人を呼び寄せて誘い出す役割を負うという。
これらのチャングィ同士は仲が悪く、しょっちゅう意見が衝突するという。
身内を襲うのがチャングィの恐ろしさ!?
トラが新しい人間を食べて、新しいチャングィが生まれると、元々とり憑いていたチャングィはトラから解放される。そのため、チャングィたちは家族でも友人でも構わず、知っている人間をトラに差し出そうとする。特に、チャングィがトラの呪縛から逃れて成仏するためには、赤の他人ではなく自分の家族や親族、あるいは配偶者でなければならないとも言われている。そのため、チャングィは真っ先に自分の家へと向かい、家族を山へと誘い出そうとする。その信仰のため、かつてはトラに襲われた人間がいる家は「チャングィにそそのかされる」として、その家との結婚を避ける風習まであったという。
トラに殺されたら虎食塚に埋葬しよう!?
トラに食べられた人間の遺体を見つけた場合、その人間は通常の墓には埋葬しない。ただちにその場で火葬し、火葬した場所に石の塚を作って、その上に蒸し器(シル)を伏せて置いた。そして蒸し器に空いた穴に、串のような鉄の棒を差し込んだ。これはチャングィが生まれないようにするための呪いである。
こうして作られた塚は「虎食塚(ホシクチョン、호식총)」 と呼ばれ、比較的、近年まで作られていたようだ。結構、たくさんの石を積み上げて、立派な塚を作っているところから、かなりチャングィが恐れられていたことが分かる(画像参照)。
李徳懋(イ・ドンム)の『青莊館全書』(18世紀後半)には、チャングィを利用してトラを捕らえる方法が記されている。チャングィは酸っぱいものが好きなので、罠としてウメの実を置いておけば、そこにトラを誘導するので、人食いトラを捕らえることができるという。
中国の倀鬼(チャングイ)が朝鮮半島に伝わった!?
チャングィは元々は中国伝承の倀鬼(チャングイ)で、これが朝鮮半島に伝わったものである。中国では、山でトラに襲われた人間は倀鬼になるが、倀鬼は偶然、山を訪れた人間をトラの元に誘う存在であった。しかし、朝鮮半島のチャングィは、より積極的に自分の家族や知人をトラに与える点で、より強力で悲しい存在になっている。
ベトナムにもマーチャインという倀鬼(チャングイ)と同様の存在が知られる。その他、ラオスやミャンマーなどにも類似の存在がいるようだ。
《参考文献》
- 『의외로 사연 많은 귀신 도감』(著:고성배,絵:파키나미,주니어김영사,2023年)(韓国語)
- 『한국 요괴 도감』(著:고성배,위즈덤하우스,2019年)(韓国語)
Last update: 2026/05/31
