鳳凰(フォンホアン、ポンファン、ほうおう)

分 類中国伝承朝鮮伝承日本伝承
名 称 鳳凰(凤凰)〔fèng-huáng〕(フォンホアン)【中国語】
봉황bong-hwang〕(ポンファン)【朝鮮語】
鳳凰(ほうおう)【日本語】
容 姿五色絢爛の鳥。さまざまな鳥や獣の特徴を持つ。
特 徴四霊のひとつ。偉大な君主が現れると出現する。鳥類の長。
出 典『書経』、沈約『宋書』(488年)ほか

五色の色彩を放つ中国の霊鳥!?

鳳凰(フォンホアン)は古代中国で信じられた瑞獣(めでたい動物)。麒麟霊亀應竜とともに四霊のひとつに数えられる。朝鮮半島ではポンファン(鳳凰)、日本では鳳凰(ほうおう)と呼ばれる。鳳凰は雄の鳳(フォン)と雌の凰(ホアン)を合わせて呼ぶ呼称で、雌雄で非常に仲がいいとされる。

さまざまな鳥や獣が混じった姿の霊鳥で、その姿は書物によって異なる。たとえば、中国最古の辞書『爾雅』(前5~前2世紀頃)によれば、頭はニワトリ、顎はツバメ、首はヘビ、背中はカメ、尾はサカナ、色は黒、白、赤、青、黄色の五色とされる。許慎の著した最古の漢字辞典『説文解字』(100年)では、胴体の前半分はヒシクイ(カモの仲間)、後半分は麟(雌の麒麟)、首はヘビ、尾はサカナ、額はコウノトリ、顎はオシドリやツバメ、紋様は竜、背中はトラ、クチバシはニワトリだと説明された。沈約の著した歴史書『宋書』(488年)では、身体の前半分はヒシクイ、頭はヘビ、顎はツバメ、背中はカメ、腹はスッポン、首はツル、クチバシはニワトリ、尾はサカナで、クジャクくらいの大きさと説明されている。『山海経』(前4~前3世紀頃)では頭に「徳」、首に「義」、背中に「礼」、胸に「仁」、尾に「信」の紋があるとされた。現在の中国では、頭が金鶏、クチバシはオウム、首は竜、胴体の前半分はオシドリ、後半分は麒麟、足はツル、翼はツバメ、尾はクジャクなどと説明される。

鳳凰と鳥類の長

鳳凰の姿はさまざまな記述があるが、いずれにしても、クジャクに似て、五色絢爛の色彩を持ち、偉大なる君主が現れるのを待って、この世に出現するとされる。後代にはa href="zhuque.html">朱雀と同一視されることもある。羽蟲(羽を持った獣)の長とされ、鳥類を支配しているとされる。「百鳥朝鳳」という言葉があって、鳳凰が飛ぶときにはあらゆる鳥がその後に続くとも言われている。

鳳凰と竹の実

鳳凰は竹の実を食べるとされるが、竹は60~120年に一度しか花をつけず、そのタイミングにしか実はならないので、鳳凰は竹の実がなるまでは何も食べないとされる。また、鳳凰は梧桐(アオギリ)の木にしか止まらないと信じられている。

鳳凰と音楽

中国の伝説の皇帝・舜が「簫韶」を演奏させたところ、あまりの音色の素晴らしさに鳳凰が舞い降りてきて、宮廷の庭で踊ったというエピソードが『書経』に書かれている。また、鳳凰の鳴き声は非常に美しく、中国音階の5音の基準になったという伝説もある。

李氏朝鮮の第4代の世宗大王(セジョンデワン)は訓民正音(ハングル)を制定したが、鳳凰が舞い降りるほど平和な世をつくろうという意志を込めて、『鳳来儀(ポンレウィ)』という舞楽をつくらせたという。

鳳凰と女性

鳳凰を積極的に政治利用したことで有名なのは則天武后だ。中国史上唯一の女性皇帝で、彼女が相違する直前、宮廷の庭に鳳凰が舞い降りてしばらく留まり、その後、飛び去ったと報告されている。当時、女性が皇帝になることは反発があったが、則天武后は「鳳凰が来たのだから正当な皇帝だ」と主張したわけである。彼女は最高行政機関も「鳳閣」と命名し、明堂という建物を建立し、建物の頂上に巨大な金の鳳凰を据えたと言われている。

以降、鳳凰には「高貴な女性」のイメージがついた。明や清の時代ころになると、皇帝を「龍」、皇后を「鳳凰」として、それらを組み合わせて表現されるようになった。

新羅の第27代の善徳女王(ソンドクニョワン)の時代、安東(アンドン)に鳳凰寺(ポンファンサ)が建立されているが、大雄殿の極彩色の壁画は鳳凰が描いたという伝説がある。絵師に化けた鳳凰がお堂に籠って口にくわえた筆で壁画を描いていたが、完成直前に人が中を覗いたために、空に飛んで行ってしまい、未完成の部分が残ったという。

鳳凰寺の場所

日本の鳳凰

日本では鳳凰は仏法を守護する聖なる鳥、あるいは極楽に棲む鳥として描かれた。平等院鳳凰堂の屋根にある鳳凰像が有名で、金閣寺の屋上にも同様の鳳凰像がある。1万円札にも鳳凰の姿が描かれている。

鳳凰とフェニックス

しばしばポイニクス(フェニックス)との類似が指摘され、しばしば「東洋のフェニックス」と呼ばれる。本来、鳳凰は「火の中で死んで蘇る」という性質は持っていないが、近年、郭沫若の詩などの影響で、フェニックスのイメージと融合し、中国においても「浴火重生(火を浴びて再生する)」という概念が鳳凰の要素として語られることもある。

《参考文献》

Last update: 2026/01/13

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