ナーサリー・ボギー

分 類イギリス伝承(イングランド)
名 称 Nursery Bogie(ナーサリー・ボギー)《子供部屋のボギー》【英語】
容 姿妖精の一群。さまざまな姿をしている。
特 徴子供たちを危険な場所から遠ざけ、悪さをしないように脅かす。
出 典-

子供を脅かして行儀よくさせるボギーたち!?

子供たちを危険な場所から遠ざけたり、行儀よくさせておくために、大人たちによって利用される妖怪がいる。それがナーサリー・ボギー、すなわち「子供部屋のボギー」である。しばしば、しつけ妖精とかしつけ妖怪などと言われている。民俗言語学者のエリザベス・メアリー・ライトは『田舎言葉とフォークロア』(1913年)の中で、「子供部屋のボギー」に関する言葉と用例を多数、紹介している。たとえば、「気をつけないとジャック・アップ・ジ・オーチャードを拝ませることになるぞ!」とか「早く帰ってこないとオールド・スクラッティに捕まっちゃうぞ!」とか「マムポーカーに追い掛けさせるぞ!」などと言って、大人たちは子供たちを脅かした。

「子供部屋のボギー」と言いつつも、彼らは子供部屋に巣食っているわけではない。たとえば、果樹園にはさきほど名前を挙げたジャック・アップ・ジ・オーチャードやオウド・ゴッギー、グーズベリー・ワイフ、チャーンミルク・ペグ、メルシュ・ディック、ナット・ナン、レイジー・ローレンスなどの恐ろしいボギーたちがいて、子供たちがまだ熟していない果実を食べて腹を下したり、登った木から落ちて怪我をしないように、あるいは果樹園の果実を盗むような悪さをしないように仕向けたのである。

その他にも、子供にとって危険な川や池、沼などには必ずグリンディローやジェニー・グリーンティース、ネリー・ロングアームズ、ペグ・パウラーなどの水のボギーがいて、子供たちを水の中に引き込んでしまうと言って脅かし、これらの危険な場所に近づかないように仕向けた。刃物などがある作業場などにはトム・ドッキンが巣食い、倉庫や物置、地下室や屋根裏などの暗がりにはオールド・スクラッティのほかにローヘッド・アンド・ブラッディ・ボーンズ、タンカラボガス、トム・ポーカーなどがいて、日没になると子供をさらってしまうトット・ローリーなどが現れる。このようにして、子供部屋で語られるさまざまなボギーたちは、一様に子供たちを脅かし、危険な場所に近づかないようにし、悪さをしないように戒めるのである。

なお、これらの子供部屋のボギーは、幼い子供向けにはてきめんに効果を発揮するが、10歳を過ぎる頃にはまるで怖くなくなってしまう。ちなみに、哲学者のジョン・ロックは『教育に関する考察(Some Thoughts Concerning Education)』(1693年)という著作の中で、ローヘッド・アンド・ブラッディ・ボーンズを例に挙げて、教育現場における「子供部屋のボギー」が子供に恐怖を植え付けるものとして手厳しく批判している。17世紀という時代に、教育の場には恐怖は必要ないと宣言していて、その是非はともかく、とてもジョン・ロックらしい。

《参考文献》

Last update: 2026/10/11

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