古代・中世博物誌

古代ギリシアの時代より、遠くの世界には未知の動物がいると信じられ、架空の動物たちが博物学の一環として、書物に詳細に記録された。たとえば、古代ではクテーシアスの『インド誌』や『ペルシア誌』(前5世紀頃)、アリストテレースの『動物誌』(前4世紀)やプリーニウスの『博物誌』(77年)、アイリアノスの『動物の特性について』(2~3世紀頃)などだ。中世に入ってからも『フィシオロゴス』(5世紀頃)として広く親しまれ、時代が下っても、マルコ・ポーロ『東方見聞録』(13世紀頃)やジョン・マンデヴィル『東方旅行記』(14世紀)は事実として信じられ、大航海時代の船乗りたちのバイブルであったし、その後もゲスナー『怪物誌』(1551-58年)、アンブロワズ・パレ『怪物について』(1573年)、トプセル『四足獣の歴史』(1607年)など、大真面目に怪物が議論されている。

ここでは、主にヨーロッパの著作を中心に、古代・中世に博物学としてまとめられた架空の生き物について整理する。

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