メルシュ・ディック
| 分 類 | イギリス伝承(イングランド) |
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Melsh Dick(メルシュ・ディック)【英語】 | |
| 容 姿 | 緑や茶色の服を着た不気味な小人の老人。 |
| 特 徴 | まだ熟れていないヘーゼルナッツを食べようとする人間を連れ去ってしまう。 |
| 出 典 | - |
ハシバミの低木林に1匹で棲む小人の老人!?
メルシュ・ディックはイギリス伝承に登場するナーサリー・ボギー(子供部屋のボギー、あるいはしつけ妖怪)の一種である。イングランド北部のヨークシャー州やランカシャー州に伝わる。ハシバミ(ヘーゼルナッツ)の低木を守護する精霊で、まだ熟していないナッツを盗み食いしようとする子供たちを脅かし、連れ去ってしまうと信じられた。
ヘーゼルナッツの実は、まだ青くて熟していない段階に子供が食べると、激しい腹痛や消化不良を引き起こす。melshというのは、イギリスの北部方言で《熟しきっていない》という意味で、まさに熟しきっていない危険なヘーゼルナッツを象徴している。また、DickはRichard(リチャード)の愛称なので、メルシュ・ディックは「熟しきっていないリチャード」という意味になる。メルシュ・ディックは茂みに隠れる小人のような存在で、緑や茶色の衣服を身にまとった不気味な老人の姿をしているとされる。大人たちは「ヘーゼルナッツの藪に入るとメルシュ・ディックに捕まって連れ去られるぞ!」などと脅して、子供たちを青いヘーゼルナッツの茂みから遠ざけた。
実はヨークシャー州やランカシャー州には、ハシバミの実を護る3種類のボギーが知られていて、そのひとつはこのメルシュ・ディックで、ハシバミの茂みに隠れる小人の老人である。縄張りがあるようで、ハシバミの低木林に1匹で暮らしているようだ。その他にも、パイプを咥えて煙を吐き出すチャーンミルク・ペグや、長い爪で威嚇してくるナット・ナンなどがいる。7月~8月初頭はまだナッツが半熟で腹を下すことが多い。この危険な時期に出現するのがチャーンミルク・ペグやメルシュ・ディックである。2つの違いは男性か女性かの語り手によるバージョン違いである。ナット・ナンについては時期を問わず出没する。季節限定の守護霊の枠を飛び出して、通年、ハシバミの茂みを見張っている。このように、イングランド北部では、さまざまな守護霊たちが熟していないヘーゼルナッツの危険を警告しに出現するわけである。
《参考文献》
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年)
- 『妖精 Who's Who』(著:キャサリン・ブリッグズ,訳:井村君江,ちくま文庫,1996年)
- 『THE ELEMENT ENCYCLOPEDIA OF FAIRIES: An A-Z of Fairies, Pixies, and other Fantastical Creatures』(著:Lucy Cooper,画:Andy Paciorek,HarperElement,2014年)(英語)
Last update: 2026/10/12
