アスラ
分 類 | インド神話、仏教 |
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असुर 〔asura〕(アスラ)【サンスクリット】 阿修羅(あしゅら)【日本語】 | |
容 姿 | 人間と同じような姿のものもいれば、多数の手があったり、蛇の怪物だったりさまざま。 |
特 徴 | ヴァルナらが率いる秩序の神。やがてインドラらと敵対する種族となり、魔族となった。 |
出 典 | 『リグ・ヴェーダ』(前1500-900年)ほか |
神族デーヴァに抵抗する魔族!?
アスラはインド神話に登場する魔族の総称。もともとはインドラ率いるデーヴァ族に敵対するヴァルナやミトラが率いるもうひとつの神の一族だった。デーヴァ族は太陽や火、風などの自然崇拝の神々で、アスラ族は世界の秩序や倫理を司り、しばしば秩序のために人々を罰した。現世利益的なデーヴァ信仰が強くなるにつれて、次第にアスラ信仰は衰え、最終的にはデーヴァ族と敵対する魔族となった。
主なアスラ族
- ヒラニヤークシャ:大地を海に沈めた悪魔。
- ヒラニヤカシプ:三界を支配した魔王。
- ターラカ:シヴァ神の息子意外には殺されない悪魔。
- マヒシャースラ:水牛の悪魔。魔王。
- シュムバとニシュムバ:三界を支配した魔王の兄弟。
- ラクタビージャ:血液で殖え続ける悪魔。
- カンサ:悪王。アスラと人間のハーフ。
- シャカタ:カンサ王の手下。車の悪魔。
- トリナーヴァルタ:カンサ王の手下。竜巻の悪魔。
- バカ:カンサ王の手下。白鷺の悪魔。
- アガースラ:カンサ王の手下。大蛇の悪魔。
- ケーシー:カンサ王の手下。馬の悪魔。
一方で、同じアーリア系のペルシア人の神話では、デーヴァと同語源のダエーワの方は魔族となり、アスラはゾロアスター教の最高神であるアフラ・マズダーとなった。これはゾロアスター教の開祖ザラスシュトラが秩序や知性を重んじ、荒々しい自然崇拝を否定したためである。
アスラは仏教に取り込まれ、阿修羅と呼ばれ、釈迦の説法の邪魔をしたが、説法を聞いて改心し、仏教の守護者となった。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2020/10/10