ダエーワ
分 類 | ペルシア・ゾロアスター神話 |
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𐬛𐬀𐬉𐬎𐬎𐬀〔daēva〕(ダエーワ)【アヴェスター語】 | |
容 姿 | |
特 徴 | アンラ・マンユに従う下位の悪神たち。もともとは《神》だったが「悪」を選択した。 |
出 典 | 『アヴェスター』(6世紀頃)ほか |
悪神に従う悪魔たち!?
ダエーワはゾロアスター教において、悪魔を指す言葉。悪神アンラ・マンユの下に仕え、人々を悪の道に引き込もうとしたり、地獄で責め苦を与えたりする。本来、ダエーワは古いイランで「神」を意味する言葉だったが、堅苦しい儀式やイニシエーションの乱痴気騒ぎ、牛の供犠などを否定したザラスシュトラ(ゾロアスター)の宗教改革によって、彼らは邪悪な悪魔にされてしまった。原初の世界で、善霊スプンタ・マンユが「善」を選択し、悪霊アンラ・マンユは「悪」を選択したが、下位の神々であるダエーワたちも「悪」を選択し、アエーシュマのもとに馳せ参じたという。
ダエーワたちの元締めはもちろんアンラ・マンユで、最高神アフラ・マズダーに対抗し、冬や病気などのさまざまな災難をこの世界に撒き散らすが、実際にその実行部隊はダエーワたちである。『ウィーデーウダート』(その名も《悪魔に対抗する法》という意味)には6人の魔王が登場する。アカ・マナフ《悪思》、ドゥルジ《虚偽》、サルワ《無秩序》、タローマティ《背教》、タルウィ《熱》、ザリチュ《渇き》である。それぞれ、善神であるウォフ・マナフ《善思》、アシャ・ワヒシュタ《最善なる天則》、フシャスラ・ワルヤ《善き統治》、アールマティ《敬虔》、ハルワタート《完全》、アマルタート《不滅》に対応している。そのほかにもアストー・ウィーザートゥやウィーザルシャ、クンダなど多数のダエーワが知られている。
ちなみにイランとインドは同じアーリア人に起源を持つが、インドの方では、ダエーワと同語源のデーヴァが「神」として崇拝されていて、アフラ・マズダーと同語源のアスラたちが悪魔として扱われている。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
《参考文献》
Last update: 2012/11/08