インドラ
分 類 | インド神話、仏教 |
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इन्द्र 〔indra〕(インドラ)【サンスクリット】 帝釈天(たいしゃくてん)【日本語】 | |
容 姿 | 一面四臂。全身が黄色に輝く。雷の象徴であるヴァジュラを持つ。白い象アイラーヴァタに乗る。 |
特 徴 | 雷霆神。軍神。神々の王。 |
出 典 | 『リグ・ヴェーダ』(前12世紀頃)ほか |
ヴェーダ神話の雷霆神!?
インドラは古代インドの神話に登場する雷霆神。古くは神々の王として君臨していた。嵐を巻き起こす雷神で、暴風神であるマルト神群を率い、天空を戦車で駆け巡った。雷を象徴したヴァジュラと呼ばれる武器を手に、勇敢な軍神としてさまざまな悪魔たちと戦った。 元々、インドラは天空神ディヤウスと地母神プリティヴィーとの間に生まれたが、あまりに巨躯で、凄まじいパワーを持っていたため、世界の秩序が引っ繰り返るのを恐れた母親に捨てられた。また、父親もインドラに対して敵意を向けた。インドラは放浪生活をしながら、次第に軍神としての力を蓄えていったのである。やがて、旱魃を引き起こして人々を苦しめた悪竜ヴリトラを退治し、ヴリトラが塞き止めていた水を世界に取り戻した。このことから、वृहन्त्र〔vṛtrahan〕(ヴリトラハン)《ヴリトラ殺し》という別名で呼ばれることもある。また、魔王ラーヴァナ率いる大軍をヴァジュラで一撃にしている。
古代インドでは非常に人気のある神さまだったようで、神々の讃歌集である『リグ・ヴェーダ』では、全体の約4分の1がインドラに捧げられている。けれども、ヒンドゥー教のブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの三大神が台頭するようになり、その立場は後退して、東方の守護神となった。ヒンドゥー教では、しばしば白い象アイラーヴァタに乗った姿で描かれている。
帝釈天って実はインドラなのだ!!
インドラは仏教に取り入れられて「帝釈天(たいしゃくてん)」となった。「帝」という文字がついているのは、インドラが神々の王だった名残である。彼の武器であるヴァジュラは煩悩を打ち砕く法具となった。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 7 東洋神名事典』(監修:山北篤,新紀元社,2005年)
- 『Books Esoterica エソテリカ事典シリーズ 5 世界の神々の事典 神・精霊・英雄の神話と伝説』(監修:松村一男,学研,2004年)
Last update: 2012/09/17