2025年2月5日 妖怪たちがあの世からやって来る!?

朝鮮の妖怪を更新した。「ヤグヮングィ」と「サンモックー」である。本当はタイとフィリピンとベトナム、朝鮮でバランスよく更新していく計画だったんだけど、ここのところ、朝鮮語を勉強している関係で、ノリにノッてしまって、朝鮮の妖怪を2つ更新だ。

ヤグヮングィは韓国の子供向け番組に登場していたので調べてみた。旧暦の1月16日になるとあの世から地上にやって来て、靴を盗もうとするらしい。ちなみに沖縄でも旧暦の1月16日は「ジュールクニチー」と言って、あの世(グソー)とこの世が繋がる日とされている。日本でも「閻魔賽日」と言って、閻魔王がお休みするので、地獄の釜の蓋も開くと言われている。朝鮮半島でも同じで、この日は「鬼の日」とされて、ヤグヮングィは地上にやって来るのである。

サンモックーは、チョスンサジャについて詳しく調べていたら、関連ワードとして出てきた。閻魔王の下で働く三目大王がイヌの姿になって地上にやってきたものなので、こちらもあの世と繋がりのある妖怪だ。チョスンサジャもヤグヮングィもサンモックーも、ある種、閻魔王とゆかりのある妖怪たちなので、今回、一緒に紹介してみた次第。さてはて。

  

2025年2月1日 「マーカーゾン」を描いてみた。

「アジアの妖怪をドドドドン!」(1月16日の記事)で「マーカーゾン」をイラストに描き起こしたいと宣言したが、早速、描いてみた。

マーカーゾンのイラスト

ベトナムには主に2種類の吸血鬼がいるようだ。北部の吸血鬼「マーカーゾン」と南部の吸血鬼「マーライ」だ。マーライはフィリピンのウンガウンガやタイのピー・グラスー、マレーシアのペナンガランみたいに、夜になると身体から頭だけが抜け出し、臓器をぶら下げながら空を飛んで獲物を狙う吸血鬼だ。

一方のマーカーゾンは夜になると独特のポーズで吸血鬼に変身する。両足の親指を鼻の穴に突っ込み、両手は耳を掴む。そして、空を飛んで獲物を探すのである。ベトナム人が描くマーカーゾンは結構、年配の女性である場合が多いが、ボクは比較的、若い女性で描いてみた。だって、うら若き女性がこんな変なポーズで出没すると考えたら、結構、面白い。

実際に鏡の前でこのポーズをやってみて(結局、硬くてうまくいかなかったが……)、描いてみたので、足の部分なんかはそれっぽく描けているのではないか。ポーズにこだわったあまりに、あんまり吸血鬼のおどろおどろしさとか怖さがでなかったが、まあ、それもご愛敬。

  

2025年1月28日 東南アジアの妖怪サイトへの道のり

ベトナムの妖怪とタイの妖怪を粛々と更新している。

ベトナムの妖怪では、「クイニャップチャン」を更新した。クイニャップチャンは死にそうな人間に乗り移って身体を乗っ取ってしまう幽霊だ。病床に臥せっていたおじいさんやおばあさんが急に元気になって動き出すので、家族は大喜びである。しかし、空腹を訴えて、たくさんの食事を食べる。それに飽き足らず、アヒルやニワトリなどの家畜、果ては人間の子供まで食べようとする。結構、丁寧に調査してまとめたので、よく書けた記事だと思うので、是非、読んでみて欲しい。クイニャップチャンとタイのピー・ポープは非常に似ているので、共通の概念なのだと思う。

タイの妖怪では「ピー・ターボー」を更新した。普通の人間の姿をしているが、眼窩に目がない妖怪で、近づいてきて驚かす。そして目玉を奪おうと襲い掛かってくるという。『DACO 380号 バンコク怪奇物語』などの書籍にも載っているので、結構、有名な妖怪なのかもしれないが、タイ語のウェブサイトではあまり情報が載っていない。ピー・ターボーそのものが《目玉がないお化け》という意味なので、もしかしたら、目玉がないという外見が先行している妖怪なのかもしれない。『DACO 380号 バンコク怪奇物語』では類似の存在として口裂け女を挙げている。確かに人間に近づいてきて、裂けた口を見せて、鎌で切り付けてくるという構造は、ピー・ターボーに似ている。そういう構造の伝承なのかもしれない。

いずれにしても、絶賛、東南アジアの妖怪を更新中である。結構、項目数も集まってきたので、ベトナム妖怪やタイ妖怪のウェブサイトとしてのスタート地点には立てたのではないか。もう少し頑張って、それぞれのカテゴリィで20項目くらいの妖怪が掲載できるようになれば、ボクもベトナムの妖怪サイトとかタイの妖怪サイトと自信満々に名乗れるようになるかもしれない。そこまで頑張ろうと思う。フィリピンの妖怪については、まあ、結構、頑張っているよ? ふふふ。

  

2025年1月26日 創作から普遍的な妖怪への道のり

そういえば、今年は巳年なのである。毎年、1月1日に「近況報告の本」を刊行していて、その表紙の題材として、干支に因んだイラストを描く。すっかり忘れていたけれど、今年は「姦姦蛇螺」を描いた。今更ながらの「あけおめことよろ」のイラストである。

姦姦蛇螺のイラスト

姦姦蛇螺は、ネットロアの妖怪だ。初出は、今はなき「怖い話投稿:ホラーテラー」という投稿サイトらしい。2chオカルト板のスレッド「洒落怖」に転載されたので、洒落怖の妖怪として認知されているケースも見受けられる。

「姦姦蛇螺」の投稿において、若者たちが姦姦蛇螺と遭遇するシーンは滅茶苦茶臨場感があって怖い。厳重に封印されている区画の描写も丁寧だし、姦姦蛇螺が現れて「いぃぃ~っ」と笑うシーンは圧巻だ。そして、蜘蛛のように6本の手足でフェンスを伝ってくる描写なんて戦慄する。

「姦姦蛇螺」は投稿サイトに投稿されたものなので、明らかに創作だ。名乗り出ないけれども、どこかに作者がいるはずだ。それなのに、まるでネットロアのように語られ、都市伝説のジャンルで取り扱われる。この辺の境界の曖昧さが妖怪らしいところである。

大昔だって、実は作者がいたはずだ。ギリシア神話だって、ヘーシオドスの「創作」と目されている部分がある。いつも書いているとおり、「ドラキュラ」はブラム・ストーカーの創作だし、「フランケンシュタインの怪物」はメアリー・シェリーの創作だ。「クトゥルフ」だってラヴクラフトの創作だし、「オーク」はトルキーンの創作だ。そうやって、誰かのcopyrightがいつの間にか普遍的な妖怪になっていく。姦姦蛇螺もその意味では、普遍的な妖怪に片足を一歩、突っ込んでいる。そこが面白いなあと思うのである。

  

2025年1月20日 需要と供給

「ご趣味は何ですか」と問われることがある。相手との関係性によって答え方はケース・バイ・ケースだが、ボクの趣味は「妖怪研究」と「創作活動」、そして「ウェブサイト運営」なのだと思う。「妖怪研究」と「創作活動」は、それこそ子供の頃から続けている趣味だが「ウェブサイト運営」は大学生の頃から絶えることなく続けているから、きっと趣味なのだろう。

昔はhtmlタグ打ちのウェブサイトにこだわっていた時期がある。途中、blogを取り入れたこともあるし、今は「日々の雑記」だけはWordPressを援用している。それでも、やっぱり、ほとんどのページは今でもhtmlのタグ打ちだ。「ファンタジィ事典」なんかは事典なので、本来はWordPressの方が向いているのかもしれない。でも、現時点では全項目をExcelで管理をしていて、Excelのマクロでメモ帳を立ち上げて、そこにhtmlでベタ打ちするという手法を採っている。

ちなみに、「日々の雑記」はWordPressなので、独自のアクセス解析がついている。こうやって日々、徒然に何かを書くわけだけど、急にアクセスが増えるときもある。最近だと『ダンダダン』に言及した記事を書いたら一気にアクセスが増えた。『ダンダダン』系の単語で検索して訪ねてくる人が多いということなのだろう。ミュージシャンについて書いても多少は伸びる。ファンが検索して来てくれるのだと思う。ちょっと前だとファントムシータについての記事がちょっとだけアクセスが多かった。

まあ、だからそっちに寄せて記事を書いていこうということではない。そうではなくって、こんなに辺境のウェブサイトであっても、ちょっと知名度のあるものを書くだけでアクセスが増えるという厳然たる事実が面白いなと思う。当然、マイナな「フィリピンの妖怪」ばっかり更新していても、ちっともアクセスは増えないのである。

ちなみに、我が家の実績から行くと「日本の妖怪」とか「中国の妖怪」の方が人気がある。でも、残念ながら、ボクはあんまり得意なジャンルじゃない。だから、更新頻度は少ない。「ベトナムの妖怪」は、他の記事に比べれば、アクセスがわずかばかり増える。どういう理由なのかは現時点では定かではない。どこかしらに需要があるのかもしれない。

  

2025年1月16日 アジアの妖怪をドドドドン!

アジアの妖怪をドドンと一気に更新した。フィリピンの妖怪からはキスをするだけで仲間を増やす吸血鬼バンキラン、ベトナムの妖怪からはおかしなポーズで空を飛ぶことでお馴染みの吸血鬼マーカーゾン、朝鮮の妖怪からは殺されても尚、運気を向上させてくれる聖獣ミョドゥサ、そしてタイの妖怪からは赤ん坊を守護する獣頭の女神メースーをエントリー。ちょっと本気を出してみた。「今年もアジアの妖怪を頑張る!」と宣言したので、その意気込みを形にして示してみた格好。

フィリピンは英語圏なので、比較的、資料は豊富だし、検索もしやすいし、訳すのも難しくはない。ベトナムの妖怪はベトナム語、朝鮮の妖怪は朝鮮語、タイの妖怪はタイ語のウェブサイトを参照して調査をしたので、結構、頭の中がぐるぐるしている。でも、とてもドーパミンがドバーっと出て、楽しい時間だった。結構、雑には扱わずに、丁寧に裏取りをしながら調べたので、それなりの品質の立項になっていると思う。

マーカーゾンは足の親指を鼻の穴に突っ込んで飛ぶので、近いうちにイラストに描き起こしたいと思う。ミョドゥサも文献だけ見ると子ネコの頭にヘビの身体と記されているんだけど、最近の子供向けの韓国アニメでは、でっぷり太った胴体の長いネコとして描かれているので、ちょっとそういう要素も取り込みつつ、イラスト化したいなと思う。妄想は膨らむなあ。

  

2025年1月14日 ベトナムのマーとクイ

ベトナムの妖怪については、基本的にはズイ・ヴァン氏のウェブサイト「Ma Quỷ Dân Gian Ký」(ベトナム語)を参考にしている。水木しげるが描く妖怪に感銘を受けて、ベトナムで妖怪を蒐集し、イラストに描き起こしている人物だ。最近、日本でも取り上げられることがある(ベトナムスケッチ:ズイ・ヴァンが紐解くお化けの話など)。

そんなこともあって、ベトナム妖怪の調査にも精を出しているところで、ベトナム語も少しだけ勉強し始めた。ベトナム語は漢字文化圏のひとつだ。文字コード的にもCJKVとして体系化されている。中国、日本、韓国はよく知られていると思うけれど、4番目の「V」はベトナムの「V」である。現在のベトナム語では、文字はフランス語みたいにアルファベットにいろいろと装飾がついたみたいな感じになっている。でも、音を元を辿れば漢字に直せるものがほとんどだ。

たとえば、マーライとかマーヴーザーイなどの「マー」というのは漢字にすれば「魔」であるし、クイモッゾーの「クイ」は「鬼」である。ベトナム語の妖怪関連のウェブサイトを回っていると「マー」と「クイ」が併記されている表現が多い。「ma đưa lối, quỷ dẫn đường」(マーが道を示して、クイが道で導く)という表現はベトナムではよく知られた言葉らしい。

面白いのは、ベトナム語と中国語で意味が逆転しているところだ。中国語だと「鬼」は死者であり、幽霊だ。日本語にもその名残があって「鬼籍に入る」とか「鬼門」などは、この中国の鬼の《霊》という意味が残っている。一方の「魔」というのは「悪魔」とか「魔神」とか「魔物」という意味である。これがベトナム語では逆になっていて、マーが幽霊で、クイが魔物になっている。いつの間にか意味が逆転しているのが面白い。

そんなことをベトナム語を学びながら、ベトナム語のウェブサイトを散策しながら、楽しんでいるところである。

  

2025年1月12日 朝鮮半島で一括り

「ベトナムの妖怪」と「朝鮮の妖怪」を更新してみた。

ベトナムの妖怪は「クイモッゾー」。一本足で毛むくじゃら。森の中を跋扈する妖怪だ。タイの森にはピー・コンコーイがいるし、日本の山の奥には「山精」がいる。どちらも一本足だ。森や山の奥深くには、こういう一本足の妖怪が潜んでいるのかもしれないなあ。

朝鮮の妖怪として今回、チョイスしたのは「シンギウォンヨ」だ。「バラバラの実」を食べたバギーみたいな妖怪で、天井の梁に姿を現し、ボトリ、ボトリと手や足、頭などがバラバラになって降ってくる。想像するにとても怖い。そして、それを見た人は驚いて死に至ることもある。

ちなみに「朝鮮の妖怪」については全体的にかなり改訂した。もともとは「韓国の妖怪」というタイトルで打ち出していたし、妖怪の名称の原語も「韓国語」という風に表現していた。でも、最近、韓国の歴史とか韓国語をよくよく勉強してみると、どうも「韓国」という定義は厳密ではないっぽいと印象を受けた。もっと大きな括りで「朝鮮」にしてやらないと、歴史的につながっていかないし、言葉だって、厳密には韓国語ではなくて朝鮮語だ。韓国語としてしまうと、それなら北朝鮮で話されている言葉は何なのだという問題が生じる。たまたま現代の我々に馴染みがある国が韓国なのであって、韓国で話されている言葉を学んでいるだけだ。

そんなわけで、ウェブサイト「ファンタジィ事典」では、「韓国の妖怪」を改め「朝鮮の妖怪」とし、韓国語を改め朝鮮語とした。別に韓国を軽んじているわけではない。「韓国の妖怪」と限定してしまうと「北朝鮮の妖怪」も定義しなければいけなくなる。でも、それって大部分が同じものである。

たとえば、キジムナーを「沖縄の妖怪」として捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか、コロポックルを「北海道の妖怪」と捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか。まあ、ね。厳密には昔は沖縄には琉球王国があったし、北海道にはアイヌの人々が暮らしているわけで、歴史的にも文化的にも違いがある。でも、今は日本だ。朝鮮半島だって、韓国と北朝鮮に分かれているけれど、第2次世界大戦の前はひとつの国だった。李氏朝鮮という国だった。もっと遡れば、新羅、百済、高句麗に分かれていた。そういう意味では、朝鮮半島を一括りにした方が妖怪を整理しやすいんだと思う。

  

2025年1月8日 文脈を補う難しさ

ウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新する際に、どの妖怪を選んで調査し、更新するかというのは、常々、悩むところだ。そこで、『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)をランダムに開いて、そのページに出てきた最初の妖怪を更新するというやり方を採用することも多い。何を更新するか考えるのが結構、面倒くさいので、こうやってシステマティックにやることで、考える手間が省けるので、手が止まることなく、黙々と作業ができる。

一方で、それとは別に、東南アジアの妖怪を更新する際には、恣意的に選んでいく作業が必要になる。結構、面倒臭いので、サボりがちになる。これではいかんと思って、久々に「ベトナムの妖怪」の「マーザウ」を更新した。決して、東南アジアの妖怪シリーズをやめたわけではないのだ、というアピールだ。

さて、結構、東南アジアの妖怪は資料が少ないので、多少は想像で補ってやる必要が生じる。たとえば、現地の人にとっては当たり前の感覚とか習慣、文化みたいなものが、日本人であるボクたちには分からない。地理とか歴史も分からない。そういうのが文章で省略されている可能性もある。あんまり、現地の感覚から外れると嫌なので、必死になって行間を読む努力をするし、いろいろと別の文献を調査して、想像力を高めてやる必要もある。そうやって補って、何とか形にしている。

最近、『ダンダダン』がアニメ化されて、海外に輸出されているが、モモの友人のムーコ(原作だとケイなんだけど)がどこまで海外で正しく理解されているかは謎だ。ボクたち日本人はムーコを見ると、ガングロとかヤマンバとか、当たり前に「ギャル」だと認識する。でも、多分、海外の人はムーコが何なのかよく分からないのではないか。一部ではポリコレの主張のネタにされて、ムーコは黒人の声優が担っている。実は、息子のツクル氏も、ガングロとかヤマンバという文化が分からないので、ムーコがよく理解できないらしい。

つまり、こういうことが東南アジアの妖怪を調査するときにも生じるわけだ。フィリピン人やベトナム人、タイ人にとっての常識が、ボクたちには常識じゃない。認識のズレやギャップがあって、うまく翻訳できていない可能性はある。そういうのを、どこまで想像力で補えるか。そんな挑戦を常々、やっている。

ちなみに、ボクが東南アジアの妖怪を日本語に翻訳して紹介すると、あっという間にピクシブ百科に転載される。ボクはこういう妖怪たちの知名度が上がることを願っているので、まあ、よいのだけれど、でも、正しさの保証はないので、大丈夫かな、と心配になる。現地の人からしたら、それこそ「ムーコは黒人」みたいな全く的外れな解説になっている可能性だってあるのだ。

  

2025年1月6日 ブループを調べて感じたこと。

本日、久々にウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新してみた。今回は「ブループ」という妖怪を紹介している。

実は、年末に息子のツクル氏がまいぜんシスターズの動画を見ていて、そこにブループというクジラのような怪物が登場した。まいぜんシスターズはときどき、マニアックな妖怪を企画に取り入れる。八尺様なんかも登場したこともあるので、もしかしたらブループも神話・伝承のバックグラウンドがあるのかもしれない。そう思って調べたら、予想通り、未確認生物の類いだった。こんな妖怪、全然、知らなかったなあ。

とは言え、実際には観測されているのが「音」だけで、目撃した人はいないので、未確認生物にしてはちょっと珍しいパターンだ。アメリカ海洋大気庁が1997年に南太平洋で「謎の音」を観測して、この低周波がクジラの鳴き声に似ていて、音の大きさから逆算すると、その体長は215メートルを超える。そんな推定から誕生した怪物である。

今回の「ブループ」の記事の中ではちょっとしか触れていないが、同じ「音」だけ観測されている怪物として「ユリア」というのもいて、こちらは800メートルを超えると言うから、とんでもない大きさだ。史上最大の動物はシロナガスクジラで、30メートルなので、800メートルになると荒唐無稽という感じがする。でも、「音」の大きさから逆算して生き物の大きさを決めていくという発想は、ちょっと面白いなと思う。

ちなみに、身体が大きくなればなるほど、身体を動かすのにエネルギーが必要になる。畢竟、獲物を追い掛けて捕食するというのが現実的ではなくなる。だから、巨大な海洋生物というのは、プランクトンを吸い込んで食べる「濾過摂食」というやり方を採用している場合が多い。そんな生物学的な背景もあって、ブループもユリアもヒゲクジラの仲間のような姿・形や生態が想定されている。仮に空想の生き物であっても、科学的な発想で姿・形が組み立てられていく。そういう点も、ちょっと面白いなと思う。

  

2024年12月2日 「置いてけ堀」を描いてみた。

日本の妖怪の「置いてけ堀」を描いてみた。

置いてけ堀のイラスト

本所七不思議のひとつで、たくさん魚が獲れる堀で釣りをしていると「置いてけ、置いてけ……」と声が聞こえる。無視して帰ると、魚籠(びく)の魚が消えてしまったという話。

イラストは歌川国輝の浮世絵ヴァージョン。

  

2024年11月27日 「アムピスバイナ」を描いてみた。

ヨーロッパ伝承の「アムピスバイナ」を描いてみた。

アムピスバイナのイラスト

Ἀμφίσβαινα(アムピスバイナ)とは古代ギリシア語で《両方向に進むもの》という意味で、その名前が示すとおりに、両端に頭がついている。

プリーニウスは『博物誌』(1世紀)の中で「猛毒を吐くのにひとつの口では足らないかのようだ」と説明している。

ちなみに、今回、イラストを描くに当たってヘビの骨格図とか写真とかをいろいろと調査していたら、ヘビって、口を開けた状態で舌を出したりはしないらしい。今まで口を開いた状態で舌を出したようなヘビを描いてきた気がするなあ。……というわけで、今回は厳密に、口を開けたヘビは舌を出さず、口を閉じたヘビからは舌をチロチロと覗かせている。わっはっは。

  

2024年11月23日 「ターボババア」を描いてみた。

都市伝説の「ターボババア」を描いてみた。

ターボババアのイラスト

ターボババアは1990年代の中頃から都市伝説、あるいは学校の怪談などの文脈で語られ始めた存在だ。夜の高速道路などで自動車と並走し、時には自動車の窓を叩いたり、追い抜いて振り返るとニヤリと渡って運転手を驚かせる。たったそれだけなのに、100キロババアとかマッハババア、ジェットババアなど、いろんな名前で日本各地で知られている。リヤカーババアとか、ホッピングババア、ヘリコプターババアなどの変種も多種多様だ。

最近は「ダンダダン!」の中で大活躍なので、一躍、有名になった感じがする。めでたくタイにも進出したらしく、タイでは「ピー・ヤーイ・サピート」と呼ばれて、やっぱりタイの高速道路を走っているらしい。でも、長い舌を伸ばしているという点が、タイらしさ満載である。

  

2024年11月19日 オーソ・ワンを描いてみた。

アメリカの宇宙人「オーソ・ワン」を描いてみた。

オーソ・ワンのイラスト

日本では「アウッソ」として紹介されることもある。ヒグドン氏がワイオミング州で遭遇した宇宙人で、ヒグドン氏を立方体型の宇宙船に乗せて誘拐したとされる。テレパシーで会話する。16万3,000光年離れた惑星に棲む。

最近、アメリカの妖怪にも手を出している。意外とアジアに目を向けて、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマーの妖怪を調べていたけれど、アメリカの妖怪というのも盲点で、知名度は低いよなあ、と思っている。

ちなみに、Xの方では、イラストに署名を入れてみた。海外では、署名のないイラストはフリー素材だと認知されることもあるという記事を読んで、それは困るなあと思っての対応だ。

  

2024年11月15日 あぎょうさんを描いてみた。

学校の怪談に登場する「あぎょうさん」を描いてみた。

あぎょうさんのイラスト

あぎょうさんは謎掛け系の現代妖怪で、天井から降りてくる老婆の妖怪で、抱きついてきて、首筋を舐めてくる。そして「あぎょうさん、さぎょうご、いかに?」と問うてくる。これにうまく答えられれば、あぎょうさんは退散するが、答えられないとかぶりつかれるという。

こういう質問とそれに対応する答えがあるというのが、学校な怪談っぽさがある。世の中の大半の課題には必ずしもピタッとした答えがないのだよ、と子供たちに諭したくなる。

巷のイラストでは、結構、たくさんの人が蜘蛛のような姿で描いている。まさに8本足で描いている人もいるし、蜘蛛のようにたくさんの複眼を描いている人もいるんだけど、特に姿について明確な描写はないみたいなので、あんまり蜘蛛には寄せずに、人の要素を多く残してみた。それでも、上からぶら下がっている点は強調してみた。そんなこんな。

  

2024年11月11日 テケテケを描いてみた。

学校の怪談に登場する「テケテケ」を彩色してみた。白黒のときには感じなかったが、色をつけたら結構、グロテスクだ。

テケテケのイラスト

最近、腰を据えて都市伝説の調査をしている。資料そのものはかなりの部分、朝里樹氏がまとめてくれている。その一方で、朝里氏もそうなんだけど、2ちゃんねるのオカルト板とか、洒落怖系で語られる怪異は、創作的な側面が強い。匿名性は担保されていながら、作者の存在について考えさせられる。また、昔ながらの「友達の友達(FOF)」を介在させずに、自分の体験談としてまとめられる点で特異性がある。その辺をもう少し自分なりに検討したいなと思っている。

そんなこんなで、昔ながらの都市伝説も再整理しながら、洒落怖系やアメリカの現代妖怪(宇宙人的なものも含む)を調査しているこの頃である。

  

2024年11月7日 エンフィールド・ホラーを描いてみた。

アメリカの未確認生物の「エンフィールド・ホラー」を描いてみた。

エンフィールド・テラーのイラスト

エンフィールド・ホラーはイリノイ州のエンフィールド村に出没した怪物で、1973年にヘンリー・マクダニエル氏が遭遇。その身長は約1.4メートルで、3本足に小さな手がある。ピンク色に光る大きな目で、15メートルを3歩で跳躍したという。

マイナーな妖怪を紹介した方が面白いかと思いつつ、アクセス解析を見ると明らかにメジャーな妖怪を紹介した方が伸びるので、悩ましいところだ。今回、アメリカの妖怪に挑戦してみた。結構、アメリカは未確認生物や都市伝説の妖怪がたくさんいる。昔ながらの伝承がない分、ネイティヴ・アメリカンから借りてきたものと、その後、入植した人々が想像したものに溢れている。

歴史が新しいので、比較的、突飛なものが多い。エンフィールド・ホラーは「3本足」という変わった妖怪。ペットのカンガルーが脱走したものを見間違えたのではないかとの説もあるので、ちょっとカンガルーっぽさも残してイラスト化してみた。

  

2024年11月2日 ザガンを描いてみた。

ソロモン72柱の「ザガン」を描いてみた。

17世紀頃の魔法書『ゴエティア』によれば、彼は地獄の王の一人で、33個の悪魔の軍隊を率いている。あらゆる金属から硬貨を造り、水をワインに、血液を油に、愚者を賢者に変える。当の本人は自分を賢く見せている。

ザガンのイラスト

本来はグリュプスの翼をはやした雄ウシの姿か、その後、人間に変身した姿を描くべきなのだろうけれど、今回はその中間ら辺を狙って描いてみたので、若干、原典から見ると厳密さには欠けるイラストになっている。そのせいで、ちょっとファンタジー漫画のイラストっぽくなってしまった。

でも、自分を賢く見せかけている雰囲気を醸すべく、眼鏡をかけて本を持つというスタイルにしてみた。中世の学者っぽい服装も身につけさせてみた。そんなこんな。まあ、ソロモン72柱は、大抵の場合、ブルトンのイラストにみんな、引っ張られるので、ブルトンが挿絵をつけていない悪霊なので、自由に描いてみてもよいだろうと思っている。

  

2024年10月29日 ハッグを描いてみた。

イギリス伝承のハッグを描いてみた。

森に棲む魔女の妖怪で、邪悪なものが多い。妖術を駆使し、大鍋で薬を調合する。人を喰らうこともある。一見すると人間のようだが、人間ではなくて、森の精霊である。『ヘンゼルとグレーテル』に登場する人喰い魔女もハッグの一種とされる。日本の鬼婆や山姥のイメージに近い。

ハッグのイラスト

いかにも「イーヒッヒッヒ!」と笑い出しそうな感じのイラストに仕上がって満足している。ハロウィンが近いしね。それっぽいイラストをアップロードしておいた方がいいじゃん。そんな感じ。

  

2024年10月25日 口裂け女を描いてみた。

日本の都市伝説に登場する「口裂け女」を描いてみた。

口裂け女のイラスト

都市伝説と言えば「彼女」というほどに有名な現代妖怪だと思う。最近だと赤いコートとか赤い傘みたいな装飾で語られることが多い。でも、ボクが子供の頃は、普通にOLのイメージだった印象だ。派手な赤いコートじゃない。赤い傘で空を飛ぶみたいなトンデモ設定もなくって、普通のOLの女性がマスクをしているからこそリアリティがあって怖かった。そんなイメージを伝えたくて、80年代っぽい感じのトレンチコートを着た女性を描いてみた。肩からショルダーバックを下げている。とある女優に似ているとして週刊誌に掲載されていた。そのときに週刊誌に載っていたイラストに髪型は寄せてみた。少なくとも、ボクのイメージする口裂け女はこんな感じである。

もう少しデフォルメしてでっかい鎌にしてもよいのだろうし、真っ黒い長い黒髪にしてもよかった。美人でもよかった。でも、80年代の当世っぽくすると、こんな感じではないだろうか。どうだろうか。