アムピスバイナ
分 類 | ヨーロッパ伝承 |
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Ἀμφίσβαινα(アムピスバイナ)《両方向に進むもの》【古代ギリシア語】 Amphisbaena,Amphisbæna(アムピスバエナ)【ラテン語】 Amphisbaena(アンフィスバエナ)【英語】 | |
容 姿 | 身体の両端に頭がついた蛇。後代には翼や鳥の脚が生えたものもある。 |
特 徴 | 両方に進める。猛毒を吐く。 |
出 典 | プリーニウス『博物誌』(1世紀)ほか |
頭としっぽ、両方に頭がある蛇の怪物!?
アンピスバイナは身体の両端に頭がついた蛇の怪物。日本語では「両頭蛇」などと呼ばれるが、その名前は、古代ギリシア語のἀμφίς(アムピス)《両方に》、βαίνω(バイノー)《進む》に由来する。要するに《両方向に進むもの》という意味で、その名のとおり、前にも後ろにも進むことができるという。1世紀の古代ローマ時代のプリーニウスが『博物誌(Naturalis historia)』で紹介しているが、プリーニウスは「猛毒を吐くのにひとつの口では足らないかのようだ」と説明している。
中世になるとしばしば紋章の題材として描かれるようになる。両端に頭がついている点では変わらないが、鳥の身体やドラゴンの身体を持っていたり、コウモリのような翼がついたり、足がついたりしたデザインで描かれるようになる。でも、こうなってしまうと原義の《両方向に進むもの》ではないような気もする。
ちなみに、学名を体系化したことで知られる博物学者のリンネは、「ミミズトカゲ」という生き物に「amphisbaena」という学名を与えている。このミミズトカゲは、四肢が退化してミミズのような姿になった爬虫類で、ヘビともトカゲとも別の種類に分類されている。通常、ヘビの蛇腹(じゃばら)では後ろに下がることができないが、ミミズトカゲは体の節を伸縮させて移動するため、前にも後ろにも進むことができる。非常に凶暴な性質で、ときには小動物も襲うこともあるというので、まさにアムピスバエナという名前に相応しい生き物である。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2020/04/12