シンギウォンヨ
分 類 | 朝鮮伝承 |
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신기원요 〔Singiwon
yo〕(伸妓寃妖)(シンギウォンヨ)【朝鮮語】 | |
容 姿 | 女性の幽霊。身体がバラバラになる。 |
特 徴 | 身体がバラバラになって天井から降ってくる。 |
出 典 | - |
天井からバラバラの身体が降ってくる怪!?
李氏朝鮮の第11代国王中宗(チュンジョン)の時代に、曺光遠(チョ・グァンウォン)という人物が使者として中国に向かう途中、平安道の村で夜を明かすこととなった。チョ・グァンウォンが宿屋を訪れようとすると、村の役人がやってきて「止めた方がよい」と言う。どうやら、宿屋に正体不明の悪霊が出没し、宿泊客が死んでいくらしい。チョ・グァンウォンは王の命を受けた使者が宿屋に泊まるのは当然のことだと、客室に案内させて一晩を明かすこととなった。
夜になり、客室の天井から噂の悪霊が現れた。梁から身体が現れると、腕、足、頭、胸、腹の順にボタボタと落ちてきて、まるで生きているかのように身もだえし始めた。しばらくすると、それぞれの部分が勝手に動いてつながり、女性の姿になった。チョ・グァンウォンが驚いて叫ぶと、女性は動きを止め、悲しそうに泣き始めた。チョ・グァンウォンが女性になぜ人を殺したのか尋ねると、女性は殺すつもりはなかったが、自分の姿を見て、みんな、驚いて死んでしまった。自分は不満を訴えようとしただけだと説明した。
女性はもともと村の妓生(キーセン)だったが、あるとき、1人の役人に強姦された。激しく抵抗すると、怒った彼は大きな岩の下敷きにして彼女を押し潰してしまった。このとき、全身がバラバラになって死んだという。チョ・グァンウォンは彼女の不満を解消すると約束すると、その女性はすぐに姿を消した。
翌日、葬儀屋と死体を運搬しに来た村の人々は、チョ・グァンウォンが生きているのを見て驚いた。チョ・グァンウォンはすぐに役人を逮捕して尋問した。彼はすべての罪を告白し、鞭打ち刑に処された。大きな岩の下敷きになっていた女性の遺体も回収され、葬儀が行われた。以降、悪霊は二度と現れなかったという。
《参考文献》
Last update: 2025/01/11