マーライ

分 類ベトナム伝承
名 称 Ma Lai(マーライ)【ベトナム語】
Ma Lai Rút Ruột(マーライゾッゾー)【ベトナム語】
容 姿内臓をぶら下げた頭部のみの少女の妖怪。
特 徴空を飛んで、人間の排泄物などを食べる。
出 典

マーライのイラスト

頭と内臓だけの少女の妖怪!?

マーライはベトナム伝承に登場する少女の妖怪で、昼間は普通の少女として村の中で暮らしているが、月夜になると頭が胴体から抜け出す。首から下はずるずると心臓や胃、肝臓、腸などの内臓がそのまんまぶら下がってついてくる。そして空中をふわふわと漂って移動する。内臓は光を発することもある。

マーライは比較的、何でも食べるとされ、干してある衣類や人間の排泄物、腐った動物の死骸などを食べる。ときには人間の子供も食べて、ぶら下がっている内臓でそれらを消化するとされる。

頭と臓器だけが宙を舞うという奇妙な妖怪だが、実は東南アジアには似たような妖怪が多数、知られている。たとえば、タイのグラスー、マレーシアのペナンガラン、フィリピンのマナナンガルウンガウンガなどが知られる。これらはマーライと同様、昼間は人間として暮らし、夜になると頭の下に臓器をぶら下げて狩りに出掛けることで知られる。

ただし、ベトナムのマーライは他の国の首だけお化けたちとは異なり、直接、人間を襲うことはないとも言われている。というのも、マーライは飛ぶ速度は非常に遅く、また、内臓が剥き出しになっているため、簡単に茂みや木などに引っ掛かって傷ついてしまう。そのため、ベトナム人の多くは、マーライは人間の排泄物を狙うと信じている。そして、マーライに自分の排泄物を食べられてしまった人間は腸の病気になって、やがて重篤化して死んでしまうと信じられた。

昼間、マーライと人間を区別する方法も知られている。異様に白い肌をしていて、首筋に3本の赤い輪の線がついているようだ。そのため、それを隠すためにスカーフなどで首を隠していることが多いという。ちなみに、日本の轆轤首も、首に類似の痕があると言われているので、その点では非常に似ている。

《参考文献》

Last update: 2024/08/12

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