置いてけ堀(おいてけぼり)
分 類 | 日本伝承 |
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置いてけ堀(お-いてけ-ぼり)【日本語】 置行堀(おいてけぼり)【日本語】 | |
容 姿 | 声だけ。あるいは水の中から手が伸びる。 |
特 徴 | 釣り人に「置いてけ」と声を掛け、怪異を起こす。 |
出 典 | - |
どこからともなく「置いてけ、置いてけ」と声が聞こえる!?
置いてけ堀は「本所七不思議」と呼ばれる怪談に登場する妖怪。本所(東京都隅田区)にはよく魚が釣れる堀(一説では錦糸町の近くとされる)があり、そこで魚を釣っていると、どこからともなく「置いてけ、置いてけ」と声がする。声だけで姿は見えない。その声を無視して帰ると、いつの間にか釣った魚がいつの間にか消えているという。あるいは金縛りに遭うとか、水の中から手が伸びてきて水中に引きずり込まれるというヴァージョンもある。
似たような話は墨田区だけでなく、足立区や台東区にも残されていて、たとえば足立区では千住七不思議のひとつとされ、声を掛けられた際に、釣った魚のうち3匹を戻せば無事に帰ることができるが、無視して帰ろうとすると、道に迷わされるだけでなく、魚籠(びく)を引っ繰り返されて全ての魚を取られてしまうという。埼玉県の川越にも似たような伝承が伝わっている。
また、一説では、置いてけ堀は河童(カッパ)の仕業、あるいはタヌキの仕業であるとも言われる。基本的には声だけの妖怪ではあるが、三代目歌川国輝の浮世絵(1886年)では、白っぽい幽霊が水面から浮かび上がる姿が描かれている。
トップのイラストは、歌川国輝の浮世絵を参考に幽霊の姿で描いてみた。
《参考文献》
- 『日本妖怪大事典』(編著:村上健司,画:水木しげる,角川文庫,2015年〔2005年〕)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2024/11/30